TEL03-6455-7010矯正相談受付中

WEB予約

ブログ

静脈内鎮静麻酔法によるリラックスした状態で行うインプラント手術

「インプラント手術は痛そう」「歯を削る『キーン』という音がどうしても苦手…」。このような不安から、必要な治療をためらっていませんか?歯科治療への恐怖心は、決して特別なことではありません。

そんなお悩みを抱える方のために、まるで「うたた寝」している間に手術が終わる「静脈内鎮静麻酔法」という選択肢があります。点滴によってリラックスした心地よい状態になり、多くの方が「気づいたら終わっていた」と感じるほど、心身の負担を大幅に軽減できる方法です。

この記事では、全身麻酔や笑気麻酔との違いから、静脈内鎮静麻酔法のメリット・注意点、手術当日の流れまでを詳しく解説します。不安を安心に変え、快適なインプラント治療への第一歩を踏み出しましょう。

静脈内鎮静麻酔法とは?全身麻酔や笑気麻酔との3つの違い

「インプラント手術は痛そう」「キーンという歯を削る音が怖い」。 このように、歯科治療に対して不安や恐怖心をお持ちの方は少なくありません。

そのようなお悩みを抱える方でも、リラックスした状態で手術を受けていただくための方法が「静脈内鎮静麻酔法(じょうみゃくないちんせいますいほう)」です。

この方法は、意識を完全になくす「全身麻酔」や、効果が比較的マイルドな「笑気麻酔」とは異なる特徴を持っています。 ここでは、それぞれの麻酔方法との違いを詳しく解説し、静脈内鎮静麻酔法がどのようなものかを明らかにします。

点滴で鎮静薬を投与し、うたた寝のようなリラックス状態へ

静脈内鎮静麻酔法は、腕の血管から点滴で鎮静薬を少しずつ入れていく方法です。 このお薬の作用によって、脳の働きが穏やかにコントロールされ、まるで「うたた寝」をしているような、ぼんやりと心地よい状態になります。

意識が完全になくなるわけではないので、呼びかけに応じることはできます。 しかし、手術に対する不安や恐怖心は大きく和らぎ、リラックスして治療を受けられるのです。

この方法の大きな特徴の一つに、「健忘(けんぼう)効果」が期待できる点があります。 多くの方が、手術中のこと、例えば歯を削る音や振動などをほとんど覚えていません。 「気づいたら手術が終わっていた」という感覚になるため、歯科治療に強い苦手意識がある方でも、精神的な負担が少なく治療を終えられます。

意識を完全に失う「全身麻酔」との違い

静脈内鎮静麻酔法と全身麻酔は、しばしば同じものと思われがちですが、全く異なる状態です。 一番の違いは「意識が残っているかどうか」と「自分で呼吸ができるかどうか」にあります。

全身麻酔は、麻酔薬によって意識を完全に失わせる方法です。 そのため、ご自身で呼吸をすることができなくなり、のどに管を入れて人工呼吸器で呼吸を管理する必要があります。

一方、静脈内鎮静麻酔法は、あくまで「鎮静(ちんせい)」、つまり気持ちを落ち着かせることが目的です。 うとうとした状態にはなりますが、意識は保たれており、ご自身の力で呼吸を続けられます。 そのため、身体への負担が少なく、インプラントのような歯科手術で広く用いられています。

項目 静脈内鎮静麻酔法 全身麻酔
意識の状態 うたた寝のような状態(意識は残る) 完全に意識がなくなる
呼吸 自分で呼吸ができる(自発呼吸) 人工呼吸器による呼吸管理が必要
身体への負担 比較的少ない 大きい
回復にかかる時間 比較的短い 長い
歯科手術での使用 よく用いられる 特別な事情がある場合に限られる

このように、全身麻酔はより大掛かりな手術で用いられる方法です。 静脈内鎮静麻酔法は、安全性を確保しながら患者さんの負担を軽くするために適した方法といえます。

効果が穏やかな「笑気麻酔」との違い

歯科治療で使われるもう一つのリラックス方法に「笑気麻酔」があります。 これは、ほんのり甘い香りのする笑気というガスを、鼻から吸い込む方法です。 お酒に酔ったときのような、ふわふわとした気持ちになり、不安を和らげる効果があります。

静脈内鎮静麻酔法と笑気麻酔は、どちらもリラックスを目的としますが、効果の深さや特徴に違いがあります。 笑気麻酔は効果が穏やかで、ガスの吸入をやめるとすぐに元の状態に戻るという手軽さが利点です。 しかし、鎮静効果は比較的浅く、治療中のことを忘れる「健忘効果」はほとんど期待できません。

一方、静脈内鎮静麻酔法は、より深い鎮静状態を作ることが可能です。 健忘効果も高いため、恐怖心が非常に強い方や、長時間の手術でも楽に受けていただけます。

項目 静脈内鎮静麻酔法 笑気麻酔
投与方法 腕からの点滴 鼻からのガス吸入
鎮静効果の深さ 深いリラックス状態 穏やかなリラックス状態
健忘効果 期待できる ほとんどない
回復にかかる時間 少し時間が必要(院内で休憩) 早い(数分で回復)
適した方 恐怖心が非常に強い方、長時間の治療 軽い不安がある方、短時間の治療

嘔吐反射や歯科恐怖症が強い方への適応

静脈内鎮静麻酔法は、特に以下のようなお悩みを持つ方に適した方法です。

  • 嘔吐反射(おうとはんしゃ)が強い方  お口の中に治療器具が入ると「オエッ」となってしまい、治療が難しいという方は少なくありません。静脈内鎮静麻酔法を用いると、この反射が大幅に抑えられるため、スムーズに治療を進めることができます。
  • 歯科恐怖症の方  過去のつらい経験から、歯医者さんに行くこと自体に強い恐怖を感じる「歯科恐怖症」の方にとって、静脈内鎮静麻酔法は非常に有効な選択肢です。治療中の記憶がほとんど残らないため、治療中の記憶が残りにくいため、歯科治療への苦手意識の軽減が期待できます。今後の通院へのハードルを下げることにもつながります。

その他、以下のような方にも推奨されます。

  • 長時間の治療が必要な方  複数のインプラントを入れるなど、手術時間が長くなる場合でも、体感時間が短く感じられ、心と身体の負担が軽くなります。
  • 持病をお持ちの方  高血圧や心疾患などをお持ちの場合、治療中のストレスや痛みが血圧などに影響を与えることがあります。リラックスすることで、全身の状態を安定させたまま安全に手術を行うことができます。

静脈内鎮静麻酔法は、ただ眠るだけの方法ではありません。 患者さんが抱えるさまざまな不安を取り除き、安全かつ快適に治療を受けていただくための、重要な医療技術なのです。

インプラント手術で静脈内鎮静麻酔法を選ぶ5つのメリットと注意点

メリット1:手術中の痛みや音、振動の不安を大幅に軽減

インプラント手術で不安を感じる原因は何でしょうか。 多くは、痛みへの恐怖や、器具が発する独特の音や振動です。

静脈内鎮静麻酔法では、点滴から鎮静薬を少しずつ体に入れていきます。 すると、意識はあるものの「うたた寝」をしているような状態になります。 ぼんやりと心地よい感覚に包まれ、手術中の不快な感覚が大幅に和らぎます。

具体的には、以下のような不安や苦痛を軽くすることができます。

  • 手術中の痛み  局所麻酔も一緒に行うため、痛みを感じることはほとんどありません。
  • ドリルの音や振動  鎮静状態にあるため、普段なら耳についてしまう音や振動が気にならなくなります。
  • 長時間お口を開けているつらさ  リラックスしているので、手術にかかる時間がとても短く感じられます。
  • 治療への恐怖心や緊張感  心と身体がリラックスすると、血圧なども安定しやすくなります。  その結果、身体への負担も軽くなり、より安全に手術を進められます。

このように、心と身体の両方の緊張をほぐすことが大きなメリットです。 落ち着いて手術を受けられる環境を、お薬の力で作ることができます。

メリット2:健忘効果により治療の記憶がほとんど残らない

静脈内鎮静麻酔法には、「健忘(けんぼう)効果」という大きな特徴があります。 これは、治療中の出来事をほとんど覚えていない、という効果のことです。

多くの方は、点滴が始まって少しすると、心地よく眠ってしまいます。 次に「終わりましたよ」とスタッフに声をかけられた時には、手術は終わっています。 「気づいたら終わっていた」という感想を持つ方がほとんどです。

この健忘効果は、特に以下のような方にとって非常に大きなメリットです。

  • 過去の歯科治療で、つらい経験(トラウマ)がある方
  • 「手術」という言葉を聞くだけで、心臓がどきどきしてしまう方
  • 治療中の不快な記憶を、心に残したくない方

手術の記憶が残らないことで、「歯の治療は怖い」というイメージを塗り替えられます。 これは、インプラント治療後の大切なメンテナンスにも繋がる利点です。 前向きな気持ちで、今後の通院を続けられるようになることが期待できます。

メリット3:生体情報モニターで全身状態を常に管理し、安全に配慮しながら治療を進めます。

「麻酔」と聞くと、身体に負担がかからないか心配になるかもしれません。 静脈内鎮静麻酔法では、安全に十分配慮して治療を進めます。 手術中は、患者さんの全身状態を厳重に管理し続けています。

具体的には、「生体情報モニター」という専門の機器を使います。 身体の状態をリアルタイムで数字や波形にして、常にチェックしています。

【常に監視している主な項目】

  • 血圧  急激に上がったり下がったりしていないかを確認します。
  • 脈拍  心臓が安定したリズムで動いているかを監視します。
  • 心電図  心臓に異常な動きがないかを波形でチェックします。
  • 血中酸素飽和度  血液の中の酸素の量を測り、きちんと呼吸ができているかを確認します。

これらの情報を基に、麻酔の専門知識を持つ歯科医師が薬の量を調整します。 患者さんがリラックスした状態を保てる環境は、精密な処置の成功を支えます。

インプラント治療の長期的な成功には、顎の骨との結合が重要です。 それだけでなく、歯ぐきなどの軟らかい組織(軟組織)が安定することも大切です。 近年の研究では、この軟組織との生物学的な統合が非常に重要だとされています。

静脈内鎮静麻酔法でリラックスした状態は、こうした精密な処置の成功を支えます。 また、インプラントに使われる材料も、日々研究が進み進化しています。 例えば整形外科で骨を固定する骨セメントのように、安全性は常に追求されています。 麻酔技術と材料科学の両面から、安全な治療を提供できるよう努めています。

注意点1:術後のふらつきや眠気と当日の運転制限

静脈内鎮静麻酔法には多くのメリットがありますが、注意点もあります。 最も重要なのは、手術が終わった後の過ごし方についてです。

鎮静薬の影響は、手術が終わってもすぐには体から抜けません。 そのため、術後はしばらく、ふらつきや眠気が残ることがあります。 この状態が完全に回復するまでには、人によって差があります。

このふらつきや眠気のため、手術当日は乗り物の運転が絶対にできません。 ご自身の安全だけでなく、周りの方の安全を守るためにも必ずお守りください。

【手術当日の移動と過ごし方】

  • 来院・帰宅の方法  電車やバスなどの公共交通機関を利用するか、ご家族に送迎をお願いしてください。
  • 運転の禁止  自動車、バイク、自転車の運転は、その日は絶対にしてはいけません。
  • 術後の過ごし方  ご自宅に戻られたら、できるだけ安静にお過ごしください。  集中力や判断力も低下しているため、重要な契約などは避けましょう。
  • 付き添いについて  可能であれば、付き添いの方と一緒に来ていただくと、より安心して帰宅できます。

注意点2:保険適用外となる費用と医療費控除の可能性

インプラント治療は、健康保険が使えない「自由診療」です。 これと同様に、静脈内鎮静麻酔法も保険適用外となります。 そのため、費用は全額がご自身の負担となります。

一方で、年間の医療費が高額になった場合に利用できる制度があります。 税金の一部が戻ってくる「医療費控除」という制度です。 静脈内鎮静麻酔法の費用も、インプラント治療費と合算できます。 そして、医療費控除の対象となる可能性があります。

【医療費控除のポイント】

  • 対象となるもの  その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費の合計です。
  • 手続きの方法  翌年の確定申告の時期に、ご自身で申告手続きを行う必要があります。
  • 必要なもの  支払った医療費の領収書です。必ず大切に保管しておきましょう。

医療費控除の詳しい内容や手続きについては、国税庁のホームページで確認できます。 または、お近くの税務署へお問い合わせください。

手術当日の流れと術後の過ごし方に関する4つのポイント

インプラント手術を受けると決まっても、不安はつきものです。 「当日はどんな準備をすればいいの?」「手術の後はすぐに動けるの?」 こうした疑問は、誰もが抱く自然な気持ちです。

特に静脈内鎮静麻酔法を受ける場合は、お薬の影響も気になりますよね。 事前に当日の流れや注意点を知っておくことは、心の準備につながります。 安心して治療に臨むための、大切なステップです。 ここでは、手術前からご自宅に戻るまでの流れを4つのポイントで解説します。

ポイント1:手術前の準備(絶食の必要性など)と来院後の流れ

安全に手術を行うためには、手術前の準備が非常に重要です。 特に、お食事に関するルールは、ご自身の体を守るために必ずお守りください。

【手術前の準備で大切なこと】

  • お食事の制限(絶食・絶飲)  静脈内鎮静麻酔法では、胃の中に食べ物や飲み物が残っていると危険です。  うとうとしている間に、胃の中身が逆流してしまうことがあります。  それが誤って気管に入ると、重い肺炎(誤嚥性肺炎)を起こす恐れがあります。 最近の研究では、心臓の検査など一部の処置において絶食の必要性が見直されています。  絶食しなくても安全性に大きな差はない、という報告も出始めています。  しかし、お口の中の手術では、誤嚥のリスクを避けることが非常に重要です。  そのため、当院では安全のため、以下の時間をお守りいただいています。
    • お食事:手術が始まる6時間前まで
    • 水分補給(お水・お茶):手術が始まる2時間前まで ※ジュースや牛乳など、糖分や脂肪分を含む飲み物はお食事と同じ扱いです。
  • 服装とメイク  体を締め付けない、ゆったりとした楽な服装でお越しください。  手術中は爪の色で体調を確認することがあるため、マニキュアは落としてください。  お顔の色を確認するため、お化粧も控えていただくようお願いします。

【来院後の流れ】

  1. 受付と問診  ご来院後、受付を済ませ、当日の体調に変わりがないかなどを確認します。
  2. 術前の準備  血圧や体温を測り、リラックスできる手術着に着替えていただきます。
  3. 手術室へ  お手洗いを済ませた後、手術室へご案内します。
  4. モニター装着  血圧計や心電図、指先に酸素の量を測るモニターなどを装着します。  これは、手術中のお体の状態を常に確認し、安全を確保するための準備です。

ポイント2:手術終了から麻酔が覚めるまでの回復時間

インプラント手術が無事に終わっても、すぐにご帰宅とはなりません。 静脈内鎮静麻酔法で使ったお薬の効果が、自然に薄れるまでお休みいただきます。

【手術終了後の流れ】 手術が終わると、鎮静薬の点滴を止めます。 すると、意識が少しずつはっきりしてきます。 多くの方は「もう終わったのですか?」と感じるほど、時間はあっという間に過ぎます。

【回復室での過ごし方】

  • 安静に過ごす  手術後は、リカバリールーム(回復室)でゆっくりお休みいただきます。  リクライニングチェアやベッドで、完全に目が覚めるまでリラックスしてください。
  • スタッフによる状態確認  お休みいただいている間も、看護師などのスタッフがそばにいます。  血圧や脈拍などを定期的に確認し、気分などを伺いながら見守ります。  安心して休めるよう、スタッフが定期的に状態を確認するなど、安全に配慮した体制を整えています。

【回復にかかる時間の目安】 回復にかかる時間は人によって異なりますが、目安は30分から2時間程度です。 ご自身でしっかりと歩けるようになり、意識がはっきりするまでが目安です。 焦らずにゆっくり休み、医師が最終確認をしてからご帰宅となります。

ポイント3:帰宅後の食事や仕事復帰に関する注意点

ご自宅に戻ってからも、手術当日は安静に過ごすことが大切です。 麻酔の影響が残っているため、普段通りに動けるまでには少し時間がかかります。 無理をせず、体を休めることを最優先にしてください。

【帰宅後の注意点チェックリスト】

項目 注意点
過ごし方 ・できるだけ安静にする
・激しい運動や力仕事は避ける
・長時間の入浴は避け、シャワー程度にする
お食事 ・お口の麻酔が完全に切れてから食べる
・おかゆ、スープ、ゼリーなど消化の良いものから
・熱すぎる、冷たすぎる、辛いものは避ける
お薬 ・処方された抗生物質や痛み止めは指示通りに飲む
飲酒・喫煙 ・飲酒は出血の原因になるため数日は控える
・喫煙は傷の治りを遅らせるため控える

【お仕事への復帰について】 お仕事への復帰時期は、手術の内容や回復具合によって変わります。

  • デスクワークなど、体への負担が少ないお仕事  翌日から可能なことが多いですが、無理はしないでください。
  • 力仕事や体を激しく動かすお仕事  2~3日、またはそれ以上お休みいただくと安心です。

最終的な判断は、ご自身の体調と相談しながら、医師の指示に従ってください。

ポイント4:付き添いや送迎の必要性と緊急時の連絡体制

手術当日は、ご自身の安全を確保するために、いくつかお願いがあります。 特に、ご帰宅の方法はとても重要です。

【付き添いや送迎のお願い】 静脈内鎮静麻酔法を受けた当日は、お薬の影響が残っています。 眠気やふらつきがあり、判断力や体の反応も一時的に低下します。 そのため、自動車、バイク、自転車の運転は絶対にできません。

安全にご帰宅いただくため、以下のいずれかの方法をおすすめします。

  • ご家族やご友人に車で送迎してもらう
  • 付き添いの方と一緒に公共交通機関やタクシーを利用する

治療の成功は、手術が精密に行われることだけではありません。 患者さんが手術後も安全かつ快適に過ごせることも、非常に重要な要素です。 ご家族の協力が難しい場合は、事前にクリニックへご相談ください。

【緊急時の連絡体制について】 安全に十分配慮して手術を行いますが、ご帰宅後に万が一のことが起きる可能性もあります。 以下のような症状が出た場合に備え、クリニックの緊急連絡先を確認しておきましょう。

【こんな時はすぐに連絡を】

  • ガーゼを噛んでも出血が止まらない
  • 我慢できないほどの強い痛みがある
  • 顔の腫れがどんどんひどくなる

受付時間外の連絡方法も、事前に聞いておくとより安心です。 不安な症状があれば、ご自身で判断して我慢せず、速やかにご連絡ください。

まとめ

インプラント手術への「怖い」「痛そう」といった不安を和らげる、静脈内鎮静麻酔法についてご紹介しました。

この方法は、点滴によってうたた寝をしているような心地よい状態で手術を受けられるのが大きな特徴です。健忘効果も期待できるため、治療中の音や振動などの記憶はほとんど残らず、「気づいたら終わっていた」と感じる方がほとんどです。歯科治療が苦手な方や嘔吐反射が強い方でも、心身ともにリラックスして治療に臨めます。

手術当日は車の運転ができないなどの注意点はありますが、「怖い」という気持ちを我慢する必要はありません。インプラント治療を諦めていた方も、ぜひ一度、この方法について歯科医師に相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

  1. Pir MS, Mitchell BK, Saqib NU, Saleem MS, Gertz ZM. “Safety of oral intake prior to cardiac catheterization with minimal to moderate sedation: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.” American heart journal 290, no. (2025): 188-200.
  2. Jahani A, Nakhaei M, Moradi A, Ebrahimzadeh MH, Mirbagheri MS, Gharib A, Koohzad F, Jirofti N. “Exploring bioactive bone cement pastes: A promising solution for orthopedic surgeries.” Biomaterials advances 177, no. (2025): 214416.
  3. Chauhan R, Chauhan S, Padiyar N, Kaurani P, Gupta A, Khan FN. “Present status and future directions: Soft tissue management in prosthodontics.” World journal of methodology 15, no. 4 (2025): 104497.
  4. Wang W, Zhang C, Zhou Q, Dan J, Zhang K, Zheng T. “Comparison between butorphanol and nalbuphine for alleviation of catheter-related bladder discomfort and emergence agitation in patients undergoing open spinal surgery: a randomized clinical trial.” Annals of medicine 57, no. 1 (2025): 2534853.
  5. Alexander R, Liu X. “Soft tissue integration around dental implants: A pressing priority.” Biomaterials 324, no. (2026): 123491.

追加情報

[title]: Safety of oral intake prior to cardiac catheterization with minimal to moderate sedation: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)前の絶食の安全に関するランダム化比較試験の系統的レビューとメタ分析 【要約】

  • 経皮的心臓血管インターベンション(PCI)前の絶食は一般的だが、質の高いエビデンスに乏しい。本研究は、非絶食戦略の安全性を評価するために、系統的レビューとメタ分析を行った。
  • Medline、Cochrane CENTRAL、Google Scholarなどのオンラインデータベースを検索し、8件のランダム化比較試験(3382例)を対象に、Rソフトウェアを用いて定量分析を行った。
  • 解析対象としたアウトカムは、吐き気、嘔吐、誤嚥、挿管、低血糖、低血圧、急性腎障害、患者の満足度、入院期間とした。
  • 吐き気/嘔吐、低血糖、誤嚥、急性腎障害、低血圧については、絶食群と非絶食群間に有意差はなかった。いずれの群においても気管挿管は行われなかった。
  • 患者の満足度と入院期間についても有意差はなかった。
  • ただし、サブグループ解析では、絶食群は非絶食群と比較して吐き気/嘔吐のオッズ比が高く、急性腎障害のオッズ比が低かった。
  • 結論として、本解析では、大部分の安全性のアウトカムにおいて、絶食戦略と非絶食戦略間に有意差は見られなかったものの、絶食により吐き気/嘔吐が増加し、急性腎障害が減少する可能性が示唆された。これらの差異をより深く理解するためには、さらなる研究が必要である。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40609715

[quote_source]: Pir MS, Mitchell BK, Saqib NU, Saleem MS and Gertz ZM. “Safety of oral intake prior to cardiac catheterization with minimal to moderate sedation: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials.” American heart journal 290, no. (2025): 188-200.

[title]: Exploring bioactive bone cement pastes: A promising solution for orthopedic surgeries.

生体活性骨セメントペースト:整形外科手術における有望な解決策 【要約】

  • 骨セメントは整形外科手術で約50年間効果的に使用されてきた生体材料であり、外部剤を必要とせずに欠損部位への注入後硬化します。
  • 骨セメントは、インプラント固定、人工関節置換、外傷手術、骨粗鬆症治療、抗生物質送達などに一般的に使用されます。
  • 患者の骨の解剖学的構造は異なるため、体内で骨セメントが最終的に硬化することで、インプラントと骨の隙間や異常が修正されます。
  • 最も一般的な注射可能な骨セメントは、セラミックまたはポリマー化合物に基づいています。セラミックセメントの化学組成は骨と類似しており、化学反応によって硬化しますが、ポリマー系骨セメントでは重合によって硬化します。
  • 整形外科手術における骨セメントの著しい進歩にもかかわらず、その限界と考慮事項を認識する必要があります。長期的な分解はインプラントの緩みにつながる可能性があり、硬化中の発熱反応は組織壊死を引き起こす可能性があります。
  • これらの限界に対処するために、さまざまなアプローチが継続的に評価されてきました。
  • このレビューの主要な目的は、整形外科手術における有望なアプローチとしてのセラミック系およびポリマー系骨セメントを包括的に評価することです。
  • 適切な知識は、骨セメントの性能を向上させる戦略の導入につながります。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40680565

[quote_source]: Jahani A, Nakhaei M, Moradi A, Ebrahimzadeh MH, Mirbagheri MS, Gharib A, Koohzad F and Jirofti N. “Exploring bioactive bone cement pastes: A promising solution for orthopedic surgeries.” Biomaterials advances 177, no. (2025): 214416.

[title]: Present status and future directions: Soft tissue management in prosthodontics.

補綴処置における軟組織管理:現状と将来展望 【要約】

  • 補綴処置において、患者の快適性、安全性、術者のアクセスと視認性を確保するため、手術部位の完全な制御が不可欠である。
  • 固定義歯の成功は、支台歯の調整された縁辺部の正確な印象採得に依存する。
  • 固定修復体の長期的な予後を最適化するためには、修復物と調整された支台歯との間の辺縁不適合を減少させるために、歯肉退縮術を用いるべきである。
  • 支台歯の調整された縁辺部への修復物の正確な辺縁位置合わせは、治療的、予防的、審美的目的のために重要である。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40900871

[quote_source]: Chauhan R, Chauhan S, Padiyar N, Kaurani P, Gupta A and Khan FN. “Present status and future directions: Soft tissue management in prosthodontics.” World journal of methodology 15, no. 4 (2025): 104497.

[title]: Comparison between butorphanol and nalbuphine for alleviation of catheter-related bladder discomfort and emergence agitation in patients undergoing open spinal surgery: a randomized clinical trial.

開放脊椎手術におけるカテーテル関連膀胱不快感と覚醒時せん妄軽減のためのブトルファノールとナルブフィンの比較:ランダム化臨床試験 【要約】

  • カテーテル関連膀胱不快感(CRBD)と覚醒時せん妄(EA)の軽減における、異なるκオピオイド受容体親和性を有するオピオイド薬の効果を比較検討したランダム化臨床試験。
  • 開放脊椎手術を受けた120人を生理食塩水群、ブトルファノール群、ナルブフィン群の3群に無作為に割り付けた。手術終了30分前に静脈内投与を実施。
  • 主要評価項目は、気管挿管抜去後5分における中等度から重度のCRBDおよびEAの発生率。
  • 副次的評価項目として、CRBDの重症度(数値評価尺度:NRS)、リッチモンドアジテーション・鎮静尺度(RASS)(気管挿管抜去後5時点)、レスキュー鎮痛薬の必要性、有害事象の発生率などを記録。
  • ブトルファノール群は、ナルブフィン群と比較して、全時間点において中等度から重度のCRBDの発生率が有意に低かった(p<0.001)。
  • ブトルファノール群は、ナルブフィン群および生理食塩水群と比較して、重症CRBD患者数が有意に少なく、T1およびT2においてNRSスコアも低かった(p<0.001)。
  • T1ではブトルファノール群のRASSスコアがナルブフィン群および生理食塩水群より低く、T2、T3、T4ではブトルファノール群とナルブフィン群で生理食塩水群と比較してNRSスコアが有意に低かった(p<0.001)。
  • レスキュー鎮痛薬の必要性は、生理食塩水群、ナルブフィン群、ブトルファノール群の順に減少した(p<0.001)。
  • EAの発生率は、ブトルファノール群とナルブフィン群で生理食塩水群より有意に低かった(p<0.001)。
  • オピオイド受容体作動薬/拮抗薬は、重篤な有害事象なくCRBDとEAの予防に有効であり、ブトルファノールは術後早期においてナルブフィンよりも優れた効果を示した。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40711580

[quote_source]: Wang W, Zhang C, Zhou Q, Dan J, Zhang K and Zheng T. “Comparison between butorphanol and nalbuphine for alleviation of catheter-related bladder discomfort and emergence agitation in patients undergoing open spinal surgery: a randomized clinical trial.” Annals of medicine 57, no. 1 (2025): 2534853.

[title]: Soft tissue integration around dental implants: A pressing priority.

歯周組織インプラント周囲の軟組織統合:喫緊の課題 【要約】

  • 歯槽骨との結合(オッセオインテグレーション)に加え、長期的なインプラント成功には、強靭で生物学的に統合された軟組織シール(歯肉など)の形成が非常に重要であることが、最近の研究で強調されている。
  • 本論文では、インプラント周囲の軟組織統合を促進するための分子、細胞、材料科学戦略に関する最近の進歩(主に過去5年間)を批判的に検討している。
  • 重要な要素として、マイクロおよびナノスケールレベルでの精密に設計された表面構造、濡れ性とタンパク質吸着を向上させる表面化学修飾、細胞外マトリックス由来ペプチド、ケモカイン、成長因子を含む生体模倣コーティングが挙げられる。
  • レーザーマイクロ・ナノテクスチャリング、プラズマ処理、生体機能化による線維芽細胞と上皮細胞の挙動調節、組織付着の促進、初期炎症反応の軽減に関する最近の研究結果が示されている。
  • プラットフォームスイッチングや粘膜透過性ジルコニアアバットメントなどの新しいインプラント・アバットメント設計は、軟組織の安定性を向上させ、骨頂部骨吸収を軽減する。
  • 次世代材料の免疫調節の可能性は、マクロファージの分極を制御し、創傷治癒を促進する有望な手段を提供する。
  • 本レビューは、安定した軟組織界面を設計するための材料駆動型および生物学的戦略に関する最新の証拠を総合的に示し、歯科インプラントにおける重要な未充足ニーズに対処する、長期的な軟組織の健康に最適化されたインプラントシステムの開発のためのトランスレーショナルロードマップを提供している。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40505390

[quote_source]: Alexander R and Liu X. “Soft tissue integration around dental implants: A pressing priority.” Biomaterials 324, no. (2026): 123491.