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矯正治療後の骨隆起について

矯正治療の途中や治療後に、ふと気づいたお口の中の硬い出っ張り。「これって何?」「もしかして悪い病気なんじゃ…」と、一人で不安を抱えていませんか。その正体は、あごの骨が盛り上がってできる「骨隆起(こつりゅうき)」かもしれません。

多くの場合、骨隆起は心配のない良性のものですが、なぜ矯正治療をきっかけに現れるのでしょうか。実は、歯を動かすための「力」や、無意識の「歯ぎしり」が、骨に健気な防御反応を起こさせている可能性があるのです。放置して大丈夫なのか、痛みや発音への影響はないのか、気になりますよね。

この記事では、骨隆起ができるメカニズムから、悪性腫瘍との見分け方、治療が必要になるケースまでを詳しく解説します。ご自身の状況と照らし合わせ、不安を解消するための一歩にしてください。

口の中の硬い出っ張りは骨隆起?考えられる3つの原因と症状

矯正治療中や治療後に、お口の中に硬いこぶのようなものを見つけて、「これは何だろう?」「もしかして、悪い病気なのでは?」と不安に感じていませんか。

その出っ張りの正体は、「骨隆起(こつりゅうき)」かもしれません。骨隆起は、多くの場合、心配のない良性の骨の塊ですが、なぜできるのか、どんな症状があるのか気になりますよね。

原因としては、矯正治療によるもの、歯ぎしりや食いしばりの癖などが考えられます。ここでは、骨隆起の正体から原因、そして気になる症状について、わかりやすく解説していきます。

骨隆起の正体は遺伝や癖でできる良性の骨の塊

骨隆起とは、顎の骨が部分的に盛り上がってできた、こぶのような塊のことです。これは骨が異常に増殖してできるもので、「外骨症(がいこつしょう)」とも呼ばれます。

しかし、基本的には病的なものではなく、骨の良性な隆起です。がんなどの悪性腫瘍とは異なり、身体に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。

骨隆起ができる明確な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、遺伝的な要因や、歯ぎしりなどの外的な刺激が関係していると考えられています。

私たちの骨は、常に古い骨が壊され、新しい骨が作られる新陳代謝を繰り返しています。このバランスは、骨を壊す「破骨細胞」と、新しい骨を作る「骨芽細胞」の働きによって保たれています。

近年の研究では、ビタミンDやビタミンKといった栄養素が、骨を作る骨芽細胞の働きを助けることがわかっています。

しかし、何らかの原因でこの絶妙なバランスが崩れてしまうことがあります。骨を作る働きが過剰になると、その結果として骨が盛り上がり、骨隆起として現れるのです。

原因1:矯正治療による歯の移動と骨のリモデリング

矯正治療がきっかけで、骨隆起ができたり、もともとあったものが目立つようになったりすることがあります。これは、矯正治療が歯だけでなく、その周りの骨にも働きかける治療だからです。

歯に矯正装置で力を加えると、歯が動く先の骨は溶けてなくなり(骨吸収)、歯が動いた後のスペースには新しい骨が作られます(骨添加)。この一連の骨の作り替えを「骨のリモデリング」と呼びます。

この骨のリモデリングの過程で、骨を作る働きが過剰になったり、力のバランスが偏ったりすると、骨が部分的に盛り上がって骨隆起を形成することがあります。

特に、噛み合わせを大きく変えるような治療では、特定の歯や骨に力が集中しやすくなります。

最近の研究では、適切な矯正治療法を用いることで、歯周組織の健康状態が改善されることも示されています。

しかし、そのダイナミックな変化の過程で、骨の形に変化が生じることは十分に考えられるのです。もし矯正治療を始めてから骨隆起が気になり始めた場合は、治療による骨のリモデリングが関係している可能性があります。

痛み・違和感・発音障害など骨隆起の主な症状

骨隆起そのものには神経が通っていないため、通常は痛みを感じることはありません。しかし、骨隆起が大きくなったり、できる場所によっては、日常生活でさまざまな不便を感じることがあります。

  • 痛みや口内炎  骨の上の歯ぐき(粘膜)は非常に薄くなっています。そのため、骨隆起があると、歯ブラシや硬い食べ物が当たった時に痛みを感じやすくなります。また、繰り返し同じ場所が刺激されることで、口内炎ができやすくなることもあります。
  • 食事の際の違和感  下の歯の内側や上顎の中央に大きな骨隆起があると、食べ物が詰まりやすくなったり、舌の動きが制限されて食事をしにくく感じたりすることがあります。
  • 発音障害(滑舌の問題)  舌がスムーズに動かせなくなることで、特に「サ行」「タ行」「ラ行」などが発音しにくくなることがあります。話すことにお悩みを感じる方もいらっしゃいます。
  • 審美的な問題  下の前歯の裏側にある骨隆起は外からは見えにくいですが、場所によっては笑った時などに目立つことがあり、見た目を気にされる方もいます。
  • 装置装着の妨げ  将来的に入れ歯やインプラント治療が必要になった際に、骨隆起が邪魔で装置がうまく作れない、安定しない原因になることがあります。

矯正治療で骨隆起が目立つようになるメカニズム

矯正治療中に、お口の中に硬い出っ張りを見つけて、「これは何だろう?」と驚かれるかもしれません。

その多くは「骨隆起」という、骨が盛り上がったものです。 決して珍しいものではなく、基本的には心配いりません。

では、なぜ矯正治療がきっかけで目立つようになるのでしょうか。 それには、主に3つのメカニズムが関係しています。

これから、その仕組みを一つひとつ丁寧に解説していきます。

歯を動かす力が骨の添加を過剰に促進する

矯正治療は、歯に力を加えて骨の中を移動させる治療です。 この時、歯の周りの骨では活発な作り替えが起きています。

これを「骨のリモデリング」と呼びます。 歯が動く先の骨は溶けてなくなり(骨吸収)、 歯が動いた後の隙間には、新しい骨が作られます(骨添加)。

この骨の作り替えは、体の正常な反応です。 しかし、加えられた力に対する防御反応として、 骨を作る働きが過剰になってしまうことがあります。

その結果、必要以上に骨が作られて盛り上がり、 こぶのような骨隆起として現れるのです。

この骨の作り替えは、実はとても複雑な仕組みです。 骨を作る「骨芽細胞」と骨を壊す「破骨細胞」が、 絶妙なバランスを保ちながら働いています。

最近の研究では、矯正治療によって歯周組織の健康状態が改善することも示されています。 例えば、骨の成長を助ける「TGF-β」のような物質が、 骨の再生に関わっていることがわかってきました。

しかし、矯正の力のかかり方や個人の体質によっては、 このバランスが崩れて骨の添加が優位になります。 これが、骨隆起が形成される原因の一つです。

咬み合わせの変化で特定部位に力が集中する

矯正治療中は、歯並びが日々少しずつ変化していきます。 そのため、一時的に噛み合わせが不安定になる時期があります。

すると、今までとは違う特定の歯に、噛む力が強く集中することがあります。 これは、治療が順調に進んでいる証拠でもあります。

しかし、もし無意識の歯ぎしりや食いしばりの癖があると、 この状況は骨にとって大きな負担となります。

特定の歯に強い力が長時間加わり続けると、 あごの骨は「もっと強くならなければ」と反応します。 その力に耐えようとして、骨自身が硬く、厚くなるのです。

この骨の健気な防御反応が、骨隆起を新たに作ったり、 もともとあったものを大きくさせたりする原因になります。

  • 骨隆起を育ててしまう力の要因
    • 治療途中の不安定な噛み合わせ
    • 食事の時に強く当たる特定の歯
    • 睡眠中や日中の無意識な歯ぎしり

矯正治療の最終目標は、全体の噛み合わせを整えることです。 そして、特定の歯に過剰な力がかからないようにすることです。

治療の過程で起こる一時的な力の集中が、 ご自身の癖と重なると骨隆起が発達しやすくなります。

歯肉が下がることで元々あった骨隆起が顕在化する

「矯正を始めてから急に骨隆起ができた」と感じる場合、 実は新しくできたわけではないケースも少なくありません。

もともとあった骨隆起が、表面に現れてきただけなのです。 私たちのあごの骨の表面は、もともと完全には平らではありません。

遺伝的な要因などにより、治療前から小さな骨隆起があることは珍しくありません。 普段は厚い歯ぐきに覆われているため、気づかないだけなのです。

しかし、矯正治療で歯が動くと、歯を支える骨の形も変わります。 それに伴い、歯ぐきが少し下がったり、薄くなったりします。

すると、これまで隠れていた骨の盛り上がりが、 舌や指で触れるようになり、「急にできた」と感じるのです。

これは病的な変化ではなく、骨の形が見えるようになっただけです。 過度に心配する必要はないケースがほとんどです。

骨隆起ができやすい場所(下顎隆起・口蓋隆起)

骨隆起は、お口の中のどこにでもできるわけではありません。 特にできやすい代表的な場所が2つあります。

ご自身の出っ張りがどこにあるか、確認してみましょう。

  • 下顎隆起(かがくりゅうき)  下の歯の内側、舌ですぐに触れる部分にできます。  多くは前から4〜5番目の歯のあたりに、左右対称に現れます。  ボコボコとした、複数のこぶになるのが特徴です。
  • 口蓋隆起(こうがいりゅうき)  上あごの天井の真ん中あたりが、硬く盛り上がったものです。  こちらは左右対称ではなく、中央に一つだけできるのが一般的です。  なだらかなドーム状の形をしています。

これらの特徴的な場所に硬い出っ張りがある場合、 骨隆起である可能性が非常に高いと考えられます。

種類 できる場所 見た目の特徴
下顎隆起 下の歯の内側(舌側)のあごの骨 左右対称に、こぶ状の出っ張りが複数できることが多い
口蓋隆起 上あごの真ん中 なだらかで硬い、ひとつの大きな盛り上がりになることが多い

骨隆起の治療が必要になる4つのケース

お口の中にできた硬い出っ張り、「骨隆起」。 多くは良性で、すぐに治療が必要なわけではありません。

しかし、大きさや場所によっては、日常生活に影響が出始めます。 その場合は、放置せずに治療を検討することが大切です。

ここでは、骨隆起の治療が必要になる代表的な4つのケースを紹介します。 ご自身の状況と照らし合わせながら、確認してみてください。

ケース1:入れ歯や矯正装置の邪魔になる

骨隆起が、入れ歯や矯正装置の邪魔になることがあります。 これは、治療を考えるべき代表的なケースの一つです。

骨の出っ張りがあると、装置がお口にぴったり合わなくなります。 その結果、さまざまな問題を引き起こしてしまうのです。

【入れ歯の場合に起こる問題】

  • 安定しない  骨隆起が邪魔をして、入れ歯の土台がガタガタします。  食事や会話の最中に、外れやすくなることもあります。
  • 痛みが出る  入れ歯が骨隆起に強く当たり、歯ぐきが傷つきます。  強い痛みや、治りにくい口内炎の原因になります。
  • 作製が難しい  骨隆起が大きすぎると、入れ歯を作ること自体が困難です。

将来、入れ歯が必要になった時に困らないようにするためにも、 早めに歯科医師へ相談しておくことが重要です。

【矯正装置の場合に起こる問題】 矯正治療で使う装置が、骨隆起に当たることもあります。 特にマウスピース型や、歯の裏側に着ける装置で起こりがちです。

無理に装置を着けると、痛みの原因になることがあります。 また、装置が浮き上がり、計画通りに歯が動きません。

そのため、矯正治療を始める前や治療の途中で、 骨隆起を切除することをご提案する場合があります。

ケース2:発音や食事に支障をきたしている

骨隆起が大きくなると、舌の自由な動きが妨げられます。 そして、「話す」「食べる」という機能に影響が出ることがあります。

【発音への影響】 私たちは、舌を精密に動かして言葉を発しています。 骨隆起が大きいと、この舌の動きが制限されてしまいます。

  • 「サ行」「タ行」「ラ行」などが言いにくくなる
  • 全体的に滑舌が悪くなったように聞こえる
  • おしゃべりをしていると舌が疲れやすい

このような発音の問題は、ご自身では気づきにくいかもしれません。 ご家族など、身近な人から指摘されて気づくこともあります。

【食事への影響】

  • 食べ物が骨隆起と舌の間に挟まって、不快に感じる
  • 硬い食べ物が当たって痛むため、食べるものを選ぶようになる
  • 舌で食べ物をうまくまとめられず、飲み込みにくい

これらの症状は、食事の楽しみを大きく損なってしまいます。 生活の質(QOL)を保つためにも、治療が検討されます。

ケース3:繰り返し擦れて口内炎ができる

骨隆起の表面を覆っている歯ぐき(粘膜)はとても薄いです。 そのため、他の場所よりもデリケートで傷つきやすいのです。

少しの刺激でも傷になり、口内炎を繰り返す原因になります。

【口内炎ができやすい理由】

  • 物理的な刺激  歯ブラシの毛先が当たる、硬いおせんべいが擦れる。  こうしたささいな刺激で、粘膜が簡単に傷つきます。
  • 治りにくさ  一度傷ができると、食事や会話のたびに刺激されます。  そのため、なかなか治らず、慢性的な痛みにつながります。

外科的治療:骨隆起切除術の流れと保険適用

日常生活に支障をきたす骨隆起は、手術で取り除けます。 この手術を「骨隆起切除術(こつりゅうきせつじょじゅつ)」と呼びます。

手術と聞くと、少し怖いと感じるかもしれません。 しかし、多くは日帰りでできる、比較的負担の少ない治療です。

【骨隆起切除術の基本的な流れ】

  1. 診察・カウンセリング  骨隆起の状態を確認し、手術の必要性や流れを説明します。
  2. 局所麻酔  歯の治療と同じ麻酔をします。局所麻酔を行うため、手術中の痛みは大幅に軽減されます。
  3. 歯ぐきの切開  骨隆起の上にある歯ぐきを小さく切って、骨を見えるようにします。
  4. 骨の切除・整形  専用の器具で出っ張った骨を削り、表面を滑らかに整えます。
  5. 縫合  切開した歯ぐきを元に戻し、糸で縫います。  手術時間は、30分から1時間ほどが目安です。

手術の際には、周囲の歯ぐきや骨といった歯周組織の健康も考えます。 治療の目的は、局所的な歯周環境を改善することにあります。 これにより、お口全体の機能や見た目の改善にもつながるのです。

骨隆起の切除や診断は口腔外科へ

骨隆起が日常生活に支障をきたすほど大きくなった場合。 あるいは、他の病気の可能性がないか診断してもらう場合。 その際は、「口腔外科(こうくうげか)」の受診が必要です。

口腔外科は、お口の中やあごの外科手術を専門とする診療科です。 矯正歯科などから紹介状を持って受診するのが一般的です。

  • 口腔外科でできること
    • 確定診断  レントゲン撮影などを行い、ふくらみが本当に骨隆起か診断します。  まれな良性腫瘍や悪性腫瘍ではないことを確認します。  客観的な評価は、適切な対応への第一歩です。
    • 切除手術の相談と実施  骨隆起が原因で問題が起きている場合、切除手術が検討されます。  ・入れ歯がうまく作れない、または当たって痛い  ・食事や発音の邪魔になる  ・同じ場所が繰り返し擦れて、口内炎ができる

手術は多くの場合、歯を抜く時と同じ局所麻酔で行われます。 日帰りで対応できることがほとんどです。

手術の方法や費用、術後の注意点など、不安なことは何でも質問してください。 十分に納得した上で、治療を選択することが大切です。

一度切除しても再発する可能性と予防法

骨隆起は、残念ながら一度手術で切除しても再発する可能性があります。 骨隆起は「結果」であり、その「原因」が取り除かれなければ、またできてしまうのです。

体は、過剰な力から身を守ろうとして骨を作ります。 これは、ある種の生体防御反応ともいえます。 手術後も歯ぎしりの癖が続けば、体はまた同じ反応を示すのです。

  • 再発を防ぐための大切なポイント
    1. 原因への対策を続ける  ナイトガードの使用を続け、骨への過剰な負担を減らしましょう。  これが再発予防のための重要な対策です。
    2. 定期的な検診を受ける  矯正治療後も、かかりつけ医で定期的に検診を受けましょう。  噛み合わせの状態や、骨隆起が再発していないかを確認します。
    3. 全身の健康から骨を支える  骨の健康は、体全体の健康と深く関わっています。  近年の研究では、特にビタミンDやビタミンKの重要性がわかっています。  これらのビタミンは、骨を作る細胞「骨芽細胞」の働きを助けます。  骨の密度や強さに、良い影響を与える可能性があるのです。  バランスの良い食事は、骨の正常な代謝を保つ上で役立ちます。

再発を完全に防ぐことは難しいかもしれません。 しかし、原因となる力から骨を守り、定期的なチェックを続けること。 そして、日々の生活習慣から骨の健康を意識すること。

これらを組み合わせることで、再発のリスクを低くすることは十分に可能です。

まとめ

今回は、矯正治療中や治療後に気になるお口の硬い出っ張り、「骨隆起」について詳しく解説しました。

その正体は、多くの場合、矯正の力や歯ぎしりなどが原因でできる良性の骨の塊です。悪い病気ではないことがほとんどなので、過度に心配しすぎる必要はありません。

基本的には経過観察で問題ありませんが、もし矯正装置の邪魔になったり、食事や会話に不便を感じたり、繰り返し口内炎ができたりする場合には、切除する治療も可能です。

参考文献

  1. Hiruthyaswamy SP, Bose A, Upadhyay A, Raha T, Bhattacharjee S, Singha I, Ray S, Nicky Macarius NM, Viswanathan P and Deepankumar K. “Molecular signaling pathways in osteoarthritis and biomaterials for cartilage regeneration: a review.” Bioengineered 16, no. 1 (2025): 2501880.
  2. Chao CT, Hou YC, Liao MT, Tsai KW, Hung KC, Shih LJ and Lu KC. “Adynamic bone disorder in chronic kidney disease: meta-analysis and narrative review of potential biomarkers as diagnosis and therapeutic targets.” Renal failure 47, no. 1 (2025): 2530162.
  3. Li H, Cao W, Tao L and Zhu Y. “The role of fat-soluble vitamins on bone metabolism and osteoporosis: a literature review.” Annals of medicine 57, no. 1 (2025): 2533429.
  4. Liang Y, Zou J and Meng X. “Clinical Efficacy Analysis of Guided Tissue Regeneration Combined with Microscrew Implant Anchorage Technique in the Treatment of Periodontitis with Malocclusion.” Journal of investigative surgery : the official journal of the Academy of Surgical Research 38, no. 1 (2025): 2507233.

追加情報

[title]: Molecular signaling pathways in osteoarthritis and biomaterials for cartilage regeneration: a review.

変形性関節症における分子シグナル伝達経路と軟骨再生のためのバイオマテリアル:レビュー 【要約】

  • 変形性関節症は、軟骨の劣化、滑膜の炎症、および軟骨下骨の変化を特徴とする、慢性の痛みと関節機能障害を引き起こす一般的な変性性関節疾患である。
  • 従来の治療法は症状の緩和に役立つが、疾患の進行を阻止することはできない。
  • バイオマテリアル、分子シグナル伝達調節、および遺伝子編集技術の最近の進歩は、有望な治療戦略を提供している。
  • このレビューでは、線維芽細胞増殖因子、ホスホイノシチド3キナーゼ/Akt、および骨形成タンパク質シグナル伝達など、変形性関節症に関与する主要な分子経路を検討し、それらが軟骨細胞の生存、細胞外マトリックスのリモデリング、および炎症における役割を強調している。
  • ハイドロゲル、ナノ粒子、キトサンベースの足場などのバイオマテリアルベースの介入は、軟骨再生と標的薬物送達を促進する可能性を示している。
  • さらに、CRISPR/Cas9遺伝子編集は、軟骨の完全性を回復するために変形性関節症関連遺伝子を改変する可能性を秘めている。
  • 再生バイオマテリアルと精密医療および分子療法の統合は、変形性関節症の進行を軽減するための新しいアプローチを表している。
  • 今後の研究は、バイオマテリアルの特性の最適化、遺伝子編集効率の向上、および個別化された治療戦略の開発に焦点を当てるべきである。
  • バイオエンジニアリングと分子科学の融合は、変形性関節症の管理における関節機能と患者の生活の質の向上に新たな希望を提供する。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40336219

[quote_source]: Hiruthyaswamy SP, Bose A, Upadhyay A, Raha T, Bhattacharjee S, Singha I, Ray S, Nicky Macarius NM, Viswanathan P and Deepankumar K. “Molecular signaling pathways in osteoarthritis and biomaterials for cartilage regeneration: a review.” Bioengineered 16, no. 1 (2025): 2501880.

[title]: Adynamic bone disorder in chronic kidney disease: meta-analysis and narrative review of potential biomarkers as diagnosis and therapeutic targets.

慢性腎臓病における無力骨疾患:メタ分析と潜在的バイオマーカーの診断および治療標的としての叙述的レビュー 【要約】

  • 慢性腎臓病(CKD)に多くみられる無力骨疾患は、骨代謝回転の低下によって引き起こされ、カルシミメティクスや高用量ビタミンD類似体などの薬剤による副甲状腺ホルモン(PTH)低下が原因となることが多い。
  • PTH反応性の低下を引き起こす要因としては、PTH欠乏、インドキシル硫酸などの尿毒素、栄養不良、炎症、糖尿病などがある。
  • 診断には通常骨生検が必要だが、不便である。
  • 骨特異的アルカリホスファターゼ(BALP)や血清中iPTH(intact PTH)などのバイオマーカーは、骨代謝回転の低下と亢進の識別において有用性が示されている。
  • メタ分析によると、iPTHが150 pg/mL未満、またはBALPが20 μg/L未満は骨代謝回転の低下を示唆する。
  • 治療の目標は、骨修復を阻害することなく骨密度を改善することであり、低PTHレベルでは骨形成促進薬が、抗吸収薬は注意が必要とされている。
  • ロモソズマブは効果的だが、安全性の懸念があり使用が制限されている。
  • AST-120治療は尿毒素を減少させ、PTH反応性の低下と骨毒性を軽減する。
  • 補助的な対策として、ビタミンD欠乏症、糖尿病への対応、抗酸化療法および抗炎症療法などがある。
  • 全体として、BALPとiPTHはCKDにおける無力骨疾患の診断とモニタリング、そして効果的な治療介入のガイダンスに役立つ有望なバイオマーカーであると考えられる。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40669844

[quote_source]: Chao CT, Hou YC, Liao MT, Tsai KW, Hung KC, Shih LJ and Lu KC. “Adynamic bone disorder in chronic kidney disease: meta-analysis and narrative review of potential biomarkers as diagnosis and therapeutic targets.” Renal failure 47, no. 1 (2025): 2530162.

[title]: The role of fat-soluble vitamins on bone metabolism and osteoporosis: a literature review.

【要約】

  • 本レビューの目的は、脂溶性ビタミンの骨代謝における役割を議論し、各脂溶性ビタミンと骨粗鬆症の発症・進展との関連性を検討することである。
  • PubMed、PubMed Central (PMC)、Embase、Web of Scienceといったデータベースを検索に使用し、2025年4月20日までに「骨粗鬆症」、「ビタミンA」、「ビタミンD」、「ビタミンE」、「ビタミンK」、「フェロトーシス」、「骨芽細胞」、「破骨細胞」といったキーワードを用いて文献検索を行った。選抜された臨床研究はGRADE基準を用いて質的評価を行った。
  • 573件のレビュー記事の中から182件が選抜され、52件がGRADE基準を満たした(A=10, B=26, C=11, D=5; 130件は該当せず)。ビタミンDとKはRUNX2/ALPの上方制御を介して骨芽細胞の分化を促進する。ビタミンAの骨への影響については議論があり、ビタミンDとの相互作用の可能性がある。ビタミンEとKは、フェロトーシス阻害剤として骨代謝を共同で調節する可能性がある。
  • ビタミンD、K、Eは骨ミネラル密度(BMD)に正の影響を与える可能性がある一方、ビタミンAの効果は論争があり、高用量ではBMDを害する可能性がある。現在の単一ビタミンの研究には限界があり、今後の研究では骨粗鬆症の診断と治療を進めるために、ビタミンの複合的な相互作用を検討する必要がある。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40684309

[quote_source]: Li H, Cao W, Tao L and Zhu Y. “The role of fat-soluble vitamins on bone metabolism and osteoporosis: a literature review.” Annals of medicine 57, no. 1 (2025): 2533429.

[title]: Clinical Efficacy Analysis of Guided Tissue Regeneration Combined with Microscrew Implant Anchorage Technique in the Treatment of Periodontitis with Malocclusion.

歯周病と不正咬合を伴う患者における、誘導組織再生療法とマイクロスクリューインプラントアンカレッジ法併用治療の臨床的有効性分析 【要約】

  • 歯周病と不正咬合を併発する60人の患者を、従来の矯正治療と誘導組織再生療法(GTR)を併用する対照群(30人)と、マイクロスクリューインプラントアンカレッジ法とGTRを併用する観察群(30人)に無作為に割り当てた。
  • 歯肉指数(GI)、歯溝出血指数(SBI)、プラーク指数(PLI)、プロービング深度(PD)、臨床付着レベル(CAL)などの歯周指標、咬合力、咀嚼効率、ピンク審美スコア(PES)などの審美指標、さらに歯肉溝液中のインターロイキン-6(IL-6)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP-8)、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)のレベルを両群で測定した。
  • 治療6ヶ月後、観察群は対照群と比較して、GI、SBI、PLI、PD、CALの値が低く、咬合力、咀嚼効率、PESが改善していた(p<0.05)。
  • 治療6週間後、観察群は対照群と比較して、歯肉溝液中のIL-6とMMP-8のレベルが低く、TGF-βのレベルが高かった(p<0.05)。
  • 全体的な治療効果においても、観察群は対照群よりも優れていた(p<0.05)。
  • マイクロスクリューインプラントアンカレッジ法とGTRの併用は、歯周病と不正咬合を伴う患者において、優れた治療効果を示すことが結論づけられた。このアプローチは、歯周組織の健康状態を効果的に改善し、局所的な歯周環境を最適化し、咀嚼機能を向上させ、審美的な結果を促進する。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40488382

[quote_source]: Liang Y, Zou J and Meng X. “Clinical Efficacy Analysis of Guided Tissue Regeneration Combined with Microscrew Implant Anchorage Technique in the Treatment of Periodontitis with Malocclusion.” Journal of investigative surgery : the official journal of the Academy of Surgical Research 38, no. 1 (2025): 2507233.