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矯正治療後の保定について

矯正装置が外れた後に何もしなければ、歯は元の位置に戻ろうとする「後戻り」を起こし、時間とお金をかけた努力が無駄になってしまうかもしれないのです。

後戻りのメカニズムからリテーナーに関する情報、万一のトラブル対処法まで、あなたの歯並びを長く保つための知識を解説します。

矯正後の後戻りを防ぐ!保定治療の3つの基本

長い期間の矯正治療を終え 装置が外れたときの解放感は、とても嬉しいものですよね。

しかし、美しい歯並びを長く保つためには、ここからが大切です。 「保定(ほてい)」という新しい段階が始まります。 保定とは、動かした歯が元の場所に戻るのを防ぐ治療です。

なぜ必要?歯が元の位置に戻る「後戻り」のメカニズム

矯正装置を外したばかりの歯は、まだ新しい位置に慣れていません。 歯を支える骨や歯の周りの組織が、まだ不安定な状態です。 そのため、何もしないと歯は元の場所に戻ろうとします。 この現象を「後戻り(あともどり)」と呼びます。

後戻りが起きる主な原因は、主に2つあります。

  • 歯の周りの組織が安定していないため  矯正治療で歯が動いた後の骨は、まだ柔らかい状態です。  骨がしっかりと硬くなるまでには、時間が必要です。  特に、歯を支える「歯根膜(しこんまく)」という繊維は、  伸ばされたゴムのように元に戻ろうとする力が強く働きます。  ある研究では、特にねじれて生えていた歯ほど、  元の位置に戻ろうとする力が働きやすいと報告されています。
  • お口周りの癖や毎日の習慣のため  無意識に行っている次のような癖も、後戻りの原因になります。  - 舌で前歯を押す  - 唇を噛んだり、吸ったりする  - 頬杖(ほおづえ)をつく  - うつぶせで寝る  - 食いしばりや歯ぎしり  これらの力が毎日少しずつ加わることで、歯並びは崩れていきます。  リテーナー(保定装置)は、歯を後戻りから守る大切な道具です。

保定期間はいつまで?終了の目安と自己判断でやめるリスク

「リテーナーは、いつまで使えばいいの?」とよく質問されます。 保定に必要な期間は、もともとの歯並びや年齢で変わります。 一般的な目安は「矯正治療にかかった期間と同じか、それ以上」です。 最低でも2年間は必要と考えておくと良いでしょう。

  • 最初の約1年間  特に後戻りが起きやすい、とても大切な時期です。  食事や歯磨きのとき以外は、1日20時間以上つけましょう。
  • 2年目以降  歯並びが安定してきたら、歯科医師の指示に従います。  夜だけつけるなど、少しずつ装着時間を減らしていきます。

大切なのは、自分で判断してリテーナーをやめないことです。 「少しだけなら大丈夫」という考えが、後戻りを招く主な原因の一つです。 もし後戻りしてしまうと、再治療が必要になることがあります。

保定期間中の歯と歯茎の変化(咬合力と歯肉退縮)

保定期間は、見た目の歯並びだけでなく、お口の機能にとっても重要です。 この期間に、歯や歯茎には次のような変化が起きています。

  • 噛む力(咬合力)の安定  矯正治療で噛み合わせは大きく変わります。  保定期間は、新しい噛み合わせに歯や顎、筋肉が慣れるための時間です。  ある研究では、保定期間中に噛む力のバランスが少しずつ変化し、  徐々に安定していくことが示されています。  リテーナーは、この過程で特定の歯に強い力がかかり、  歯が動いてしまうのを防ぐ役割も担っています。
  • 歯茎下がり(歯肉退縮)のリスク  矯正治療は、歯茎下がりのリスクを高める可能性も指摘されています。  ある研究では、矯正治療を受けた人は受けていない人と比べて、  歯茎が下がるリスクが2.4倍高かったと報告されました。  特に、以下のような場合は注意が必要です。 - もともと歯茎が薄い方  - 下の前歯(固定式リテーナーを着けることが多い場所)  - タバコを吸う習慣がある方 保定期間中はリテーナーを清潔に保ち、丁寧に歯磨きをしましょう。  歯茎の健康を守ることが、以前にも増して大切になります。

親知らずの放置は危険?後戻りへの影響と抜歯の判断基準

「親知らずは抜いた方がいいですか?」という質問もよく受けます。 親知らずが、後戻りの原因になることがあるためです。

親知らずは一番奥に最後に生えてくる歯です。 まっすぐ生えるスペースがないと、横や斜め向きに生えてきます。 そして、前の歯をぐっと押す力になることがあります。 この力が、きれいに並んだ歯並び全体を崩す原因になるのです。 特に、前歯がガタガタになってしまうケースが多く見られます。

ただし、すべての親知らずを抜く必要はありません。 歯科医師が抜歯を検討するのは、主に以下のような場合です。

  • 抜歯を検討するケース  - 横や斜め向きに生えて、前の歯を押している  - 将来的に歯を押すリスクが高いと診断された  - 歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病の原因になっている

親知らずの状態は、レントゲンを撮らないと正確には分かりません。 抜歯のタイミングも、矯正治療の前や途中など人それぞれです。 自分で判断せず、まずはかかりつけの歯科医師に相談してください。

リテーナー全3種を徹底比較!費用と正しい使い方

矯正装置が外れてきれいになった歯並びを、ずっと保つために使うのが「リテーナー」です。 リテーナーは、後戻りを防ぐための大切な「歯のギプス」のようなものです。 ここでは、リテーナーの種類ごとの特徴や費用、正しい使い方を解説します。 ご自身の生活に合ったものを選び、美しい歯並びを長く守っていきましょう。

【種類別】マウスピース・プレート・固定式リテーナーの特徴と選び方

リテーナーは、大きく分けて3種類あります。 それぞれに良い点と注意すべき点があるので、特徴をよく理解しましょう。

種類 特徴 こんな人におすすめ
マウスピース型
(クリアリテーナー)
・透明なプラスチック製で目立ちにくい
・自分で簡単に取り外しができる
・歯全体を覆うため、後戻りを防ぐ力が強い
・見た目が気になる方
・人と話す機会が多いお仕事の方
・スポーツをする方
プレート型
(ホーレータイプなど)
・歯の裏側にプラスチックの土台がある
・表側はワイヤーで歯を押さえる
・丈夫で壊れにくく、細かな調整が可能
・食事を今まで通り楽しみたい方
・長期間、安心して使いたい方
・噛み合わせを安定させたい方
固定式
(フィックスリテーナー)
・歯の裏側に細いワイヤーを直接接着する
・24時間つけたままで、取り外しの手間がない
・後戻りしやすい下の前歯によく使われる
・自分で装置を管理するのが苦手な方
・付け忘れが心配な方
・後戻りのリスクが特に高いと診断された方

どのリテーナーがご自身に合っているかは、もともとの歯並びや治療内容によって変わります。 例えば、固定式は付け忘れがなく安心ですが、清掃が少し難しいです。 ある研究では、固定式リテーナーをつけている下の前歯は、 歯茎が下がるリスクと関連がある可能性も指摘されています。

保定期間中の通院は、歯並びが安定しているかを確認するための大切な検診です。 頻度は3ヶ月~半年に1回程度が一般的です。

臭いや変色を防ぐ!リテーナーの正しい洗浄・保管方法

リテーナーは毎日お口に入れるものなので、清潔に保つことがとても大切です。 お手入れを怠ると、細菌が繁殖してしまいます。 それが、臭いや変色の原因になったり、虫歯や歯周病のリスクを高めたりします。

  • 基本のお手入れ方法
    • 外したらすぐに洗う  お口から外したら、まず流水で食べかすなどの汚れを優しく洗い流します。
    • 柔らかいブラシで磨く  柔らかいブラシで優しく磨きましょう。
    • 洗浄剤を上手に使う  週に数回は専用の洗浄剤を使いましょう。  目に見えない細菌もしっかりと取り除くことができます。
  • やってはいけない注意点
    • 歯磨き粉は使わない  歯磨き粉に含まれる研磨剤が、リテーナーの表面に細かい傷をつけます。  その傷に細菌が入り込み、繁殖しやすくなるのでやめましょう。
    • 熱いお湯で洗わない  プラスチックでできているため、熱で変形する原因になります。  必ず水か、ぬるま湯で洗ってください。

お手入れが終わったリテーナーは、しっかり乾かしてから専用のケースで保管します。 ケースに入れることで、うっかり捨ててしまったり、ペットに壊されたりする事故を防げます。

装着時の痛みや話しにくさ(滑舌)はいつまで続く?対処法も解説

矯正装置が外れても、今度はリテーナーという新しい装置に慣れる必要があります。 使い始めたばかりの頃は、少し違和感が出ることがあります。

  • 締め付けられるような痛み
    • 歯が動かないように固定するため、少しきつく感じることがあります。
    • これは、歯が後戻りしようとするのをリテーナーが防いでいる証拠でもあります。
  • 話しにくさ(滑舌の悪さ)
    • 特にプレート型は、上あごの部分を装置が覆います。
    • そのため、「サ行」や「タ行」が少し発音しにくく感じることがあります。

これらの症状は、病気や異常ではありません。 ほとんどの場合、数日から1週間ほどで自然に慣れてきますので安心してください。

もし、痛みがずっと続いたり、我慢できないほど強かったりする場合は注意が必要です。 リテーナーが合っていない可能性もあるので、自己判断で装着をやめず、 まずは歯科医院に電話で相談しましょう。 話しにくさについては、意識してゆっくり話したり、たくさん話して練習したりすると、 次第に舌が慣れてスムーズに話せるようになります。 不安なことがあれば、一人で抱え込まずに、いつでも気軽に相談してください。

保定期間のトラブル解決法と知っておくべき4つの注意点

矯正治療が終わり、きれいな歯並びを手に入れると本当に嬉しいですよね。 しかし、その歯並びを長く保つためには「保定期間」がとても大切です。

この期間は、リテーナーという装置を使って歯の位置を安定させます。 保定期間は数年にわたるため、思わぬトラブルが起こることもあります。 でも大丈夫です。慌てず行動できるよう、対処法を一緒に見ていきましょう。

壊れた・失くした・合わない!リテーナーの緊急トラブル対処法

リテーナーは毎日使う大切な装置だからこそ、トラブルが起こることも。 そんな「もしも」の時のために、正しい対処法を知っておきましょう。 自己判断で対処すると、歯並びが元に戻ってしまう危険性があります。

リテーナーのトラブルと正しい対処法

  • 壊れた・割れた場合
    • ご自身で修理することはおやめください。  接着剤などで修理するのは絶対にやめましょう。  わずかな変形でも歯に合わなくなり、歯並びに悪い影響を与えます。
    • すぐに歯科医院へ連絡する  壊れたリテーナーの使用はやめて、できるだけ早く連絡してください。  壊れた破片は、修理の参考になることがあるので保管しておきましょう。
  • 失くした場合
    • 気づいたらすぐに連絡する  探しても見つからない場合は、すぐに歯科医院に連絡してください。  装置をつけていない期間が長いほど、後戻りのリスクが高まります。  再製作には時間とお金がかかるため、早めの行動が大切です。
  • 合わない・痛い・浮く場合
    • 無理して使わない  痛みや違和感を我慢して使い続けると、歯や歯茎を傷つけます。
    • 歯科医院で調整してもらう  後戻りが始まっているなど、様々な原因が考えられます。  歯科医院で原因を調べてもらい、適切な調整を受けましょう。

うっかり付け忘れた時の後戻りリスクとリカバリー方法

「ついリテーナーを付け忘れてしまった」という経験は少なくありません。 しかし、そのわずかな時間が後戻りのきっかけになることがあります。 歯は、矯正後も元の位置に戻ろうとする力が常に働いています。 特に、ねじれて生えていた歯ほど、後戻りしやすいと報告されています。

付け忘れた時間と対処法

  • 数時間〜半日程度
    • リテーナーをはめた時に、少しきつく感じることがあります。
    • これは歯が少し動いた証拠ですが、多くは装着再開で問題ありません。
  • 1日以上
    • リテーナーがはまりにくかったり、痛みを感じたりすることがあります。
    • これは後戻りが始まっている、危険なサインかもしれません。
  • リカバリー方法
    • まずはゆっくりとリテーナーを装着してみてください。
    • もし強い痛みを感じたり、まったく入らなかったりする場合は危険です。
    • 無理やりはめ込むのはやめて、すぐに歯科医院に連絡しましょう。
    • 自己判断で放置すると、後戻りがさらに進んでしまう可能性があります。

保定期間中の食事の注意点と虫歯・歯周病の予防法

保定期間中は、リテーナーの管理だけでなく、お口の健康も大切です。 装置の周りには汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。 特に、固定式リテーナーは清掃が不十分だと、歯茎が下がる原因になる という研究報告もあり、毎日の丁寧なケアが欠かせません。

食事の注意点

  • 取り外し式リテーナーの場合
    • 食事の際は必ずリテーナーを外しましょう。
    • 付けたまま食べると、装置が壊れたり、虫歯菌が繁殖しやすくなります。
  • 固定式リテーナーの場合
    • 歯の裏側にワイヤーが付いているため、注意が必要です。
    • キャラメルやお餅、硬いせんべいなどは装置が外れる原因になります。

虫歯・歯周病の予防法

  • リテーナーの清掃
    • 取り外し式の場合は、毎日専用の洗浄剤などを使って清潔に保ちましょう。
  • 丁寧な歯磨き
    • 固定式の周りは、歯間ブラシや毛先が小さなタフトブラシを使います。
    • ワイヤーの周りや歯と歯茎の境目を、丁寧に磨くことが大切です。
  • 定期検診
    • トラブルがなくても定期的に歯科医院で検診を受けましょう。
    • お口の中の状態を専門家にチェックしてもらうことが、健康維持に繋がります。

もし後戻りしてしまったら?再治療の種類と費用を解説

リテーナーの使用を怠るなどして歯が後戻りした場合でも、諦めないでください。 後戻りの程度に応じて、いくつかの再治療の選択肢があります。 大切なのは、後戻りに気づいたらできるだけ早く相談することです。

後戻りの程度 主な治療法 費用の目安
ごく軽度 リテーナーの装着時間を長くする
またはリテーナーを再製作して様子を見る
数万円程度
軽度〜中等度 部分矯正
気になる部分だけをワイヤーや
マウスピースで再治療する
10万円~
50万円程度
重度 全体矯正
もう一度、全体の歯並びを治療し直す
最初の矯正治療に
近い費用がかかる
場合があります

再治療の費用は、治療範囲や方法によって大きく異なります。 いずれの場合も、まずは矯正治療を受けた歯科医院に相談することが第一歩です。 早期に相談することで、治療の規模や費用を抑えられる可能性が高まります。 後戻りをさせないように、日々のリテーナー装着を続けることが大切です。

まとめ

今回は、矯正治療後の保定について詳しく解説しました。 長い矯正治療を経て手に入れた美しい歯並びは、一生の宝物です。その輝きを長く保つために大切なのが、リテーナーを使った「保定」です。

自己判断でリテーナーの使用をやめてしまうことが、後戻りの主な原因の一つになります。歯科医師の指示を守って装着を続けることが、時間や費用のかかる再治療を防ぐために重要です。見た目を維持するだけでなく、新しい噛み合わせを安定させるためにも、この期間はとても重要です。

もし装置のトラブルや痛みなど、不安なことがあれば一人で悩まず、いつでも気軽に歯科医院へ相談してください。大切な歯並びを一緒に守っていきましょう。

参考文献

  1. Theodorelos P, Ferrillo M, Pandis N, Kloukos D, Fleming PS, Katsaros C. “A Cross-Sectional Evaluation of the Association between Orthodontic Treatment, Retention Modality and the Prevalence of Gingival Recession.” Oral health & preventive dentistry 22, no. (2024): 647-654.
  2. Jasim ES, Kadhum AS. “Poly-ether-ether-ketone (PEEK) versus dead-soft coaxial bonded retainers: a randomized clinical trial. Part 1. Stability, retainer failure, and participant satisfaction.” European journal of orthodontics 46, no. 5 (2024): .
  3. Parthiban R, Kailasam V, Venkatasamy NS. “Rotations of teeth-a systematic review.” Frontiers in oral health 5, no. (2024): 1484020.
  4. Fritz F, Daratsianos N, Bourauel C, Papageorgiou SN, Jäger A. “Changes in the distribution of occlusal forces in the course of the orthodontic retention phase: A prospective cohort study.” Journal of orofacial orthopedics = Fortschritte der Kieferorthopadie 86, no. 2 (2025): 1-13.
  5. Rosyida NF, Ana ID, Pudyani PS, Nugroho AK. “Inhibition of Orthodontic Relapse by Local Application of Simvastatin-Loaded Gelatin Hydrogel in a Rabbit Model.” Orthodontics & craniofacial research 28, no. 2 (2025): 289-295.

追加情報

[title]: A Cross-Sectional Evaluation of the Association between Orthodontic Treatment, Retention Modality and the Prevalence of Gingival Recession.

矯正治療、保定方法、歯肉退縮の関連性に関する断面的研究 【要約】

  • 矯正治療を受けた患者における歯肉退縮の有病率と、保定方法の相対的な影響については、未だ十分に解明されていない。本研究の目的は、過去の矯正治療と保定方法が歯肉退縮の長期的有病率に及ぼす関連性を調査し、性別、年齢、喫煙、歯肉表現型などの他の患者関連因子の役割を評価することである。
  • 矯正治療の既往歴の有無にかかわらず対象者を組み入れ、歯周状態の評価と歯肉退縮の有無を記録した。一般化推定方程式(GEE)ロジスティック回帰モデルを用いて、年齢、喫煙、性別、歯肉表現型を調整した上で、保定方法と歯の種類が退縮に及ぼす影響を検討した。
  • 251人(平均年齢32±9.43歳)を対象とした。99人(39.4%)が矯正治療の既往歴があり、観察期間は15.7年であった。固定式保定を行った矯正治療を受けた者は、歯肉退縮の有病率と程度が最も高かった。矯正治療の既往歴は、歯肉退縮の発生と統計的に関連していた(オッズ比:2.40;95%CI:1.52;3.82;P 0.001)。年齢と薄い歯肉表現型の存在は、歯肉退縮の有意な予測因子であった(P 0.001)。歯ごとの調整済み歯肉退縮確率は、下顎中切歯が固定式または取り外し式保定のいずれの場合も最も高い確率を示した。
  • この観察研究に基づくと、取り外し式または固定式の保定を伴う矯正治療の提供は、歯肉退縮の発生に影響を及ぼした。歯肉退縮の原因は多面的であり、薄い歯肉表現型、年齢、喫煙歴が危険因子であり、下顎中切歯は特に感受性が高い。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39636102

[title]: Rotations of teeth-a systematic review.

歯の回転:系統的レビュー 【要約】

  • 本レビューは、歯の回転に関する既存の分類システムを包括的に分析し、前歯と後歯の回転、その臨床的有用性、保定と再発への影響を評価することを目的とした系統的レビューである。
  • PubMed、Scopus、Ovid、LILACS、Web of Science、Cochrane CENTRALの6つのデータベースで包括的な検索を行い、2024年3月28日までに10件の研究を選定した。矯正治療を受けていない患者を対象とし、歯の回転を評価した回顧的研究を選んだ。
  • 質的結果を提供した研究が1件、定量的結果を提供した研究が9件あった。Newcastle-Ottawa quality assessment toolを用いてバイアスのリスク評価を行った。
  • 骨格クラスIIとクラスIII群では、第一大臼歯の平均位置に類似性が見られた。上顎大臼歯の回転は主に歯列クラスIIの患者で観察され、平均78.6°の近心回転角度を示した。全ての永久歯の回転を測定した研究は1件のみであった。7件の研究で大臼歯回転の測定基準線として正中口蓋縫合を使用した。性差は見られなかった。左右、上顎と下顎のいずれにおいても、大臼歯回転の平均値に統計的有意差はなかった。切歯は最も高い回転度(7.4°~20.2°)を示し、小臼歯と犬歯はわずかに低い回転度(3.3°~9.2°)を示した。一方、大臼歯は最も低い回転度(0.8°~7.4°)を示した。
  • 前歯と下顎歯の回転を評価するための適切な分類システムがないことが判明した。共通の基準線を含む、歯の回転に関する普遍的に受け入れられる分類システムが必要である。後歯に対する既存のシステムは標準化され、臨床的有用性を持ち、広く受け入れられる必要がある。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39712631

[quote_source]: Parthiban R, Kailasam V and Venkatasamy NS. “Rotations of teeth-a systematic review.” Frontiers in oral health 5, no. (2024): 1484020.

[title]: Changes in the distribution of occlusal forces in the course of the orthodontic retention phase : A prospective cohort study.

矯正保定期間における咬合力の分布変化に関する前向きコホート研究 【要約】

  • 矯正治療後の保定期間における咬合力の分布変化を前向きコホート研究で調べた。
  • 保定期間を通して、咬合力の分布に変化が見られるかを評価した。
  • 具体的な変化の内容(例えば、特定の歯への負荷増加/減少、咬合力のパターン変化など)とその臨床的意義について考察していると考えられる。
  • この研究は、より効果的な保定装置のデザインや保定期間の決定に役立つ知見を提供することを目的としていると考えられる。
  • 研究の結果、長期的な歯の安定性や顎顔面の発育への影響を予測する上で重要な情報が得られた可能性がある。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37382657

[quote_source]: Fritz F, Daratsianos N, Bourauel C, Papageorgiou SN and Jäger A. “Changes in the distribution of occlusal forces in the course of the orthodontic retention phase : A prospective cohort study.” Journal of orofacial orthopedics = Fortschritte der Kieferorthopadie : Organ/official journal Deutsche Gesellschaft fur Kieferorthopadie 86, no. 2 (2025): 1-13.

[title]: Inhibition of Orthodontic Relapse by Local Application of Simvastatin-Loaded Gelatin Hydrogel in a Rabbit Model.

シムバスタチン含有ゼラチンハイドロゲルの局所適用によるウサギモデルにおける矯正後戻りの抑制 【要約】

  • ウサギを用いた実験で、ゼラチン-シムバスタチンハイドロゲルを局所適用することで、矯正治療後の歯の移動後戻りを抑制できることを示した。
  • 下顎切歯に矯正力を加え、その後一定期間保持した後、矯正装置を除去して後戻りを誘発させた。
  • シムバスタチン含有ハイドロゲルを局所適用した群では、後戻り率が有意に低かった。
  • さらに、シムバスタチン含有ハイドロゲル群では、骨形成に関与するOPG(オステオプロテゲリン)レベルが上昇し、骨吸収に関与するRANKL(RANKリガンド)レベルが低下した。 OPG/RANKL比も有意に上昇した。
  • これらの結果から、保定期間中のゼラチン-シムバスタチンハイドロゲルの局所適用は、骨形成を促進し、矯正治療後の後戻りを抑制し、歯の安定性を向上させる可能性が示唆された。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39520174

[quote_source]: Rosyida NF, Ana ID, Pudyani PS and Nugroho AK. “Inhibition of Orthodontic Relapse by Local Application of Simvastatin-Loaded Gelatin Hydrogel in a Rabbit Model.” Orthodontics & craniofacial research 28, no. 2 (2025): 289-295.