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矯正治療は、何歳ごろからするのが理想的?

矯正治療成功の鍵は、子供の場合は「顎の成長」という重要な要素を活かせるかどうか、そして大人の場合は全く異なるアプローチが必要になるという点です。6歳から12歳頃のお子さまの治療、そして40代、50代からでも決して遅くない大人の治療について、最適な開始時期を詳しく解説します。

矯正治療の開始時期を決める2つのポイント【年代別の特徴】

「うちの子の歯並び、いつから相談すればいいの?」 「もう大人だけど、今からでも矯正は間に合うのかな?」

矯正治療を考えたとき、多くの方がまず気になるのが、いつ始めるのが最も効果的なのか、ということではないでしょうか。

実は、矯正治療を始めるのに最適な時期は、お子さまと大人で根本的に考え方が異なります。その最も大きな違いは「顎の成長」という、子供の時期にしかない貴重な要素を利用できるかどうかにあります。

ここでは、年代ごとの特徴を踏まえながら、矯正治療の開始時期を決める2つの大きなポイントについて、医師の視点から具体的に解説していきます。

ポイント1:顎の成長を利用できる子供の矯正(第一期治療)

子供の矯正治療は、一般的に「第一期治療」と呼ばれます。乳歯と永久歯が混在する6歳から12歳頃の「混合歯列期」に始めるのが一つの目安です。

この時期の最大のメリットは、お子さまの顎の成長を利用して、骨格的な問題にアプローチできる点にあります。歯を並べる土台である顎の骨そのものを、理想的な大きさや形に導くことができるのです。

【第一期治療の主な目的】

  • 顎の成長コントロール  顎が小さい場合に成長を促し、永久歯がきれいに並ぶためのスペースを確保します。
  • 永久歯の萌出(ほうしゅつ)管理  永久歯が正しい位置に生えるように、スペースを作ったり生える方向を誘導したりします。
  • 機能的な問題の改善  かみ合わせのズレが原因で起こる顎の偏位などを改善し、正常な顎の機能を育てます。
  • 口腔習癖(こうくうしゅうへき)の除去  指しゃぶりや舌で歯を押す癖、口呼吸など、歯並びに悪影響を与える癖の改善を目指します。

第一期治療で顎の土台を整えておくことで、将来的に永久歯を抜かずに済む可能性が高まります。また、第二期治療(本格矯正)が不要になったり、治療期間を短縮できたりするメリットも期待できます。

ただし、「早ければ早いほど良い」と一概には言えないのが、矯正治療の難しいところです。例えば、出っ歯(II級不正咬合)の治療で使うヘッドギアという装置は、治療を始める時期で永久歯の生え方が変わる可能性があります。ある研究では、7.8歳で治療を始めたグループより、9.5歳で始めたグループの方が、犬歯が早く適切な角度で生えるなど、有益な結果が得られた可能性が示唆されています。

また、受け口(III級不正咬合)に関しても、早期に治療を開始した方が必ずしも良い結果に繋がるとは限らないという研究データもあります。骨格の状態や成長のタイミングは一人ひとり異なるため、専門医による慎重な時期の見極めが非常に重要です。

ポイント2:歯の移動が中心となる大人の矯正(第二期治療・成人矯正)

永久歯がすべて生えそろった後に行う矯正治療を「第二期治療」または「成人矯正」と呼びます。12歳頃からが目安となりますが、20代以降に始める方もすべてこちらに含まれます。

子供の矯正との決定的な違いは、顎の成長がすでに完了している点です。そのため、治療の主体は「歯そのものを動かすこと」になり、歯並びやかみ合わせを整えていきます。

【子供の矯正(第一期治療)と大人の矯正の違い】

項目 子供の矯正(第一期治療) 大人の矯正(第二期治療・成人矯正)
主な目的 顎の成長を利用し、骨格のバランスを整える(土台作り) 歯を移動させ、歯並びやかみ合わせを整える(歯の配列)
治療の主体 骨格的なアプローチが中心 歯の移動が中心
抜歯の可能性 顎の成長を促すことで、抜歯を回避しやすくなる 歯を並べるスペースが足りない場合、抜歯が必要になることがある

大人の場合、顎の骨格に大きなズレがある場合は、歯の移動だけでは解決が難しく、外科手術を併用した矯正治療が必要になることもあります。

また、歯周病や虫歯、過去の治療で入れた被せ物など、お口の中の状態は子供より複雑です。そのため、お口全体の健康状態を精密に評価した上で、慎重に治療計画を立てる必要があります。

40代・50代以降でも大丈夫?成人矯正の年齢制限と効果

「今さら矯正なんて…」と、年齢を理由に諦めていませんか?

結論から言うと、矯正治療に年齢制限はありません。40代、50代はもちろん、60代以上の方でも治療を始められるケースは数多くあります。最も大切なのは年齢そのものではなく、歯と歯を支える歯周組織(歯ぐきや骨)が健康であるかどうかです。

【成人矯正で期待できる効果】

  • 審美性の向上  口元のコンプレックスが解消され、自信を持って笑えるようになります。
  • 虫歯・歯周病リスクの低減  歯並びが整うと歯磨きがしやすくなり、磨き残しが減るため、口腔トラブルを予防できます。
比較項目 子供の矯正(第一期治療) 大人の矯正(成人矯正)
治療期間 約1年~3年程度。 骨の新陳代謝が活発なため、歯の反応が良い傾向にあります。ただし、第二期治療が必要な場合はトータルの期間が長くなります。 約1年半~3年程度。 歯を支える骨が固く、歯の移動速度が緩やかな傾向があります。治療計画や症例の難易度によって期間は変動します。
費用 第一期治療のみ:約30~50万円。 第二期治療へ移行する場合は、別途本格矯正の費用(約40~70万円)が必要になることがあります。 全体矯正:約80~130万円。 ワイヤーやマウスピースなど装置の種類、部分矯正か全体矯正かによって大きく異なります。
痛み 個人差はありますが、骨が柔らかく順応しやすいため、痛みを感じにくい傾向があります。装置の違和感をうまく言葉で伝えられない場合もあります。 歯を支える骨が固いため、歯が動く際に痛みを感じやすい場合があります。ただし、ほとんどは市販の鎮痛剤で対応できる範囲の痛みです。
  • 咀嚼(そしゃく)機能の改善  かみ合わせが良くなることで、食べ物をしっかり噛めるようになり、胃腸への負担も軽減します。
  • 全身の健康維持への貢献  顎関節症や、かみ合わせのズレが原因と考えられる肩こり、頭痛などの不調が和らぐ可能性があります。

ただし、注意点もあります。若い頃と比べて骨の新陳代謝が緩やかなため、歯の移動に少し時間がかかる傾向があります。また、歯周病がある場合は、まずその治療を優先し、歯ぐきの状態を安定させることが不可欠です。

高血圧や糖尿病などの全身的な疾患をお持ちの方は、かかりつけ医と連携しながら治療を進めることも重要になります。ご自身の歯の健康寿命を延ばすためにも、年齢を理由にせず、まずは一度ご相談ください。

【年代別比較】治療期間・費用・痛みの違い

矯正治療を始めるにあたり、治療期間や費用、痛みの違いは誰もが気になるところです。子供と大人では、治療の目的が異なるため、これらの点にも違いが見られます。

※上記の期間や費用はあくまで一般的な目安であり、お口の状態によって大きく異なります。

子供の矯正は、将来的な本格矯正の負担を軽減するための「未来への投資」と考えることができます。一方、大人の矯正は、ご自身のライフスタイルやご希望に合わせて、目立ちにくいマウスピース型矯正装置など、様々な選択肢から治療法を選べるメリットがあります。

いずれの場合も、ご自身の状況に合わせた最適な治療計画を立てることが、満足のいく結果への第一歩です。

歯並びで変わる!子供と大人の治療開始時期の目安

「うちの子の歯並び、いつから治療を始めたらいいの?」 「大人になってからでも矯正はできる?」

こうした疑問をお持ちの方は少なくありません。 矯正治療を始めるのに最適な時期は、年齢だけでなく、歯並びの種類や顎の成長段階によって一人ひとり異なります。

ここでは代表的な歯並びのタイプごとに、治療を始める時期の目安を具体的に解説しますので、ぜひ参考にしてください。

小児矯正(第一期治療):610歳が目安の骨格矯正

小児矯正(第一期治療)は、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」に行う治療です。 一般的に6歳~10歳頃が目安とされます。

この時期の治療は、単に歯をきれいに並べることだけが目的ではありません。 成長途中にあるお子さまの顎の骨がバランス良く発達するように、成長をコントロールすることが主な目的です。

【第一期治療の主な目的】

  • 顎の骨の成長をコントロールする  顎が小さい場合は広げたり、上下の顎の成長バランスを整えたりします。
  • 永久歯が正しく生えるスペースを確保する  将来的に歯がガタガタになるのを防ぎます。
  • 指しゃぶりや舌の癖などを改善する  歯並びに悪影響を与える癖(口腔習癖)を取り除きます。
  • 将来的な抜歯の可能性を減らす  早期に土台を整えることで、本格矯正で健康な歯を抜くリスクを低減できます。

この時期に顎の土台を整えておくことで、永久歯が生えそろった後に行う本格矯正(第二期治療)が不要になることもあります。 また、本格矯正が必要になった場合でも、治療期間が短くなったり、治療の難易度が下がったりする可能性が高まります。

本格矯正(第二期治療):12歳以降、永久歯が生えそろってから

本格矯正(第二期治療)は、すべての歯が永久歯に生え変わった後に行う治療です。 一般的に12歳頃から開始可能で、成人してから始める矯正治療もこれにあたります。

顎の成長を利用する第一期治療とは異なり、第二期治療では歯そのものを動かして、見た目と噛み合わせを整えることが主な目的となります。

治療の時期 主な目的 対象年齢の目安
第一期治療 顎の骨の成長コントロール(骨格の改善) 6歳~10歳頃
第二期治療 歯を動かして歯並びと噛み合わせを改善 12歳以降~成人

第二期治療では、ワイヤー矯正やマウスピース矯正といった装置を用いて、歯を一本一本正しい位置へと動かしていきます。 第一期治療を受けていない方でも、この第二期治療から矯正を始めることは可能です。

ただし、顎の骨格に大きな問題がある場合は、歯を並べるスペースを確保するために抜歯が必要になることがあります。 また、外科手術を伴う矯正治療が選択肢になることもあります。

【要注意】受け口(反対咬合):3歳からの早期治療が有効な場合も

受け口(反対咬合)は、下の歯が上の歯より前に出ている状態のことです。 見た目の問題だけでなく、放置すると下顎が過剰に成長してしまう可能性があります。 骨格の不調和が大きくなる可能性があるため、注意が必要です。

そのため、他の歯並びよりも早い、3歳頃からの早期治療が有効な場合があります。 早期に治療を始めることで、上顎の健やかな成長を促し、下顎の過剰な成長を抑制する効果が期待できるからです。

ただし、近年の研究では、上顎の成長不足が原因の受け口の場合、必ずしも治療開始が早ければ早いほど良いという明確な証拠は確立されていません。 ある後ろ向き研究では、治療開始年齢と治療効果の間に明確な優位性を示す証拠は得られなかった可能性が示唆されています。

とはいえ、骨格的な問題が大きいケースでは、成長が終わってからでは治療が大掛かりになる可能性も否定できません。 受け口の傾向に気づいたら、時期を問わず、なるべく早く専門家へ相談することが重要です。

出っ歯(上顎前突):治療開始時期で歯の萌出に差が出る可能性

出っ歯(上顎前突)は、上の歯が下の歯に比べて大きく前に突き出ている状態を指します。 上顎の骨が成長しすぎている、下顎の成長が足りない、あるいは指しゃぶりなどの癖が原因で起こることがあります。

治療は、顎の成長を利用できる小児矯正(第一期治療)の時期に行われるのが一般的です。 しかし、治療開始の時期は、お子さま一人ひとりの成長段階に合わせて慎重に判断する必要があります。

例えば、出っ歯の治療で「ヘッドギア」という装置を使用する場合があります。 あるランダム化比較試験の追跡調査では、この装置を使い始めるタイミングが、永久歯の生え方や生える時期に影響を及ぼすことが示唆されています。

具体的には、平均7.8歳から治療を開始したグループよりも、少し遅い平均9.5歳から開始したグループの方が、犬歯(糸切り歯)がよりスムーズに生えてくる可能性があると報告されています。 このように、最適な開始時期は個々の状況によって異なるため、定期的な検診で専門家による診断を受けることが大切です。

乱ぐい歯(叢生):永久歯の生え方と顎の大きさで判断

乱ぐい歯(叢生)とは、歯が重なり合ったり、ガタガタに生えたりしている歯並びのことです。 「八重歯」も叢生の一種です。

主な原因は、歯の大きさと顎の大きさのアンバランスにあります。 つまり、歯がきれいに並ぶためのスペースが顎に不足している状態です。

乱ぐい歯の場合、治療開始時期の判断は特に慎重に行われます。 なぜなら、今後の顎の成長でどのくらいスペースが確保できるかを予測する必要があるからです。 また、永久歯がすべて生えそろったときに、最終的にどの程度のスペースが不足するのかを正確に見極めなければなりません。

そのため、歯科医師はレントゲン撮影などで顎の骨の状態や歯の大きさを詳しく調べ、最適な治療タイミングを判断します。

  • 第一期治療で行う場合  顎を側方に広げる装置などを使い、永久歯が生えるためのスペースを確保します。
  • 第二期治療で行う場合  永久歯が生えそろった後、スペース不足の程度によっては抜歯をしてから、歯をきれいに並べていきます。

適切な治療開始時期を逃さないためにも、お子さまの歯並びが気になり始めたら、まずは一度ご相談ください。

矯正開始前に解消したい5つの疑問

矯正治療を始めたいと思っても、費用や痛み、生活への影響など、さまざまな不安が頭をよぎるのではないでしょうか。 特に、治療によって日々の生活がどう変わるのか、本当にきれいな歯並びを維持できるのかは、多くの方が気になる点です。

ここでは、治療を開始する前に皆様が抱く5つの代表的な疑問について、医師の視点から一つひとつ丁寧にお答えしていきます。

疑問費用:保険は使える?医療費控除の対象になる?

矯正治療の費用は、決して安いものではありません。 そのため、公的医療保険や医療費控除が利用できるかは、非常に重要なポイントです。

原則として、見た目の改善を主な目的とする矯正治療は「自由診療」となります。 この場合、公的医療保険は適用されず、費用は全額自己負担です。 しかし、以下のような特定のケースでは、保険適用の対象となることがあります。

  • 顎変形症(がくへんけいしょう)  上下の顎の骨格に大きなズレがあり、外科手術を併用する必要がある場合の矯正治療です。
  • 厚生労働大臣が定める特定の先天性疾患  唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)など、生まれつきの病気が原因でかみ合わせに異常がある場合の矯正治療です。
  • 前歯3本以上の永久歯萌出不全(ほうしゅつふぜん)による咬合異常  永久歯が3本以上、骨の中に埋まったままで出てこられない状態の治療です。

一方で、医療費控除は、多くの場合で対象となります。 医療費控除とは、1年間に支払った医療費の合計が一定額を超えた場合に、確定申告をすることで所得税の一部が戻ってくる制度です。

  • 子供の矯正治療  顎の成長を阻害するような歯並びの治療と判断されれば、一般的に医療費控除の対象と認められます。
  • 大人の矯正治療  見た目の改善だけでなく、咀嚼(そしゃく)機能の改善など、身体の機能を回復させる目的があると診断されれば、対象となります。

医療費控除の申請には、歯科医院が発行した領収書が必ず必要です。 治療が終わるまで大切に保管しておきましょう。

疑問装置:目立たないマウスピース矯正とワイヤー矯正の違い

現在、矯正装置の主流は「マウスピース矯正」と「ワイヤー矯正」です。 それぞれの特徴を正しく理解し、ご自身のライフスタイルに合った装置を選ぶことが、治療を成功させる鍵となります。

項目 マウスピース矯正 ワイヤー矯正
見た目 透明で薄いため、装着していてもほとんど目立ちません。 装置が目立ちやすいです。(白い装置や歯の裏側につける方法もあります)
取り外し 食事や歯磨きの際に、ご自身で自由に取り外せます。 一度装着したら、歯科医院でしか取り外せません。
食事 装置を外せるため、食べ物に関する制限は基本的にありません。 硬いものや粘着性の高いものは、装置の破損につながるため避ける必要があります。
清掃性 取り外して歯を磨けるため、お口の中を衛生的に保ちやすいです。 装置の周りに汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
違和感・痛み 比較的薄く滑らかなため、痛みや口内炎のリスクは少ない傾向にあります。 調整後、数日間は歯が動く痛みや、装置が粘膜にあたる違和感が出やすいです。
適応症例 比較的軽度から中等度の歯並びの乱れに適しています。 抜歯が必要なケースなど、幅広い症例に対応することが可能です。

マウスピース矯正は、その手軽さと審美性から人気ですが、1日20時間以上の装着時間を守る自己管理が不可欠です。 一方、ワイヤー矯正は適応範囲が広く、より複雑な歯並びにも対応できる信頼性の高い治療法です。

疑問抜歯:健康な歯を抜かなければいけないの?

「矯正のために健康な歯を抜く」と聞くと、抵抗を感じる方も少なくないでしょう。 しかし、すべての歯をきれいに並べるために、やむを得ず抜歯を選択する場合があります。

抜歯が必要となる最も大きな理由は、歯を並べるためのスペースが絶対的に不足しているためです。

  • 顎が小さく歯が並びきらない場合(叢生・乱ぐい歯)  歯が重なり合っている部分を解消し、すべての歯がアーチ状にきれいに並ぶためのスペースを作ります。
  • 口元が突出している場合(出っ歯・口ゴボ)  前歯をしっかりと後ろに下げるためのスペースを作り、口元のバランスを整えます。

もちろん、すべてのケースで抜歯が必要なわけではありません。 歯列のアーチを横に広げたり、奥歯をさらに後ろへ移動させたりすることで、抜歯をせずにスペースを確保できる場合もあります。

抜歯の要否は、精密検査の結果に基づいて慎重に判断されます。 治療計画は歯の将来を左右する非常に重要な要素です。 例えば、歯を失った部分に自分の他の歯を移す「自家歯移植」という治療では、矯正力をかけるタイミングが歯の根の成長に影響を与えうることが、ある研究で示唆されています。 このように、歯の健康状態や将来的なリスクを総合的に考慮して、一人ひとりに合った治療計画を立てることが求められるのです。

疑問生活への影響:食事や歯磨き、仕事・学校はどうなる?

矯正治療が始まると、日々の生活で少し注意が必要な点が出てきます。 特に食事と歯磨きは、治療の成否や口腔衛生に直結するため重要です。

食事について

  • ワイヤー矯正  ガムやキャラメルのような粘着性の高いもの、せんべいのような硬いものは、装置の変形や破損の原因となるため避けましょう。
  • マウスピース矯正  食事の際は必ず装置を取り外します。装着したまま糖分を含む飲み物を飲むと、装置と歯の間に糖分が停滞し、虫歯のリスクが非常に高まるため注意が必要です。

歯磨きについて

  • ワイヤー矯正  装置の周りは汚れがたまりやすく、通常の歯ブラシだけでは不十分です。歯間ブラシやタフトブラシ(毛先が小さなブラシ)を使い、鏡を見ながら時間をかけて丁寧に磨きましょう。
  • マウスピース矯正  装置を外して歯を磨けるため、清掃は比較的簡単です。ただし、食後は必ず歯を磨いてから装置を再装着することが基本です。マウスピース自体も専用の洗浄剤などで清潔に保つ必要があります。

仕事や学校生活では、装置に慣れるまでの数日間、発音しにくさを感じることがあります。 また、装置が口の粘膜にあたって口内炎ができることもありますが、ほとんどの場合、数週間で慣れて大きな支障はなくなります。

疑問治療後:後戻りを防ぐ保定装置(リテーナー)の重要性

長い期間を経て矯正装置を外した瞬間は、ゴールのように感じられるかもしれません。 しかし、美しい歯並びを長く維持するためには、治療後の「保定(ほてい)」という期間が極めて重要です。

矯正装置によって動かされた歯は、まだ元の位置に戻ろうとする力が働いています。 この「後戻り」を防ぎ、動かした歯を新しい位置にしっかりと定着させるために使うのが「保定装置(リテーナー)」です。

リテーナーには、取り外しができるマウスピースタイプや、歯の裏側に細いワイヤーを固定するタイプなどがあります。 保定期間は、一般的に矯正治療にかかった期間と同じか、それ以上とされています。 医師の指示通りにリテーナーを装着しないと、せっかく時間と費用をかけて整えた歯並びが、再び乱れてしまう可能性があります。

治療計画は、最初から最後まで一貫していることが大切です。 例えば、受け口の治療では、必ずしも早期に治療を開始することが良い結果につながるとは限らないという研究報告もあります。 このように治療開始時期の判断が重要なのと同様に、治療後の保定計画も後戻りを防ぎ、長期的に安定した歯並びを維持するために不可欠な要素なのです。 治療の本当のゴールは、装置を外すことではなく、その美しい歯並びを長く保ち続けることにあるのです。

まとめ

今回は、矯正治療を始める理想的な時期について、お子さまと大人の違いや、歯並びのタイプ別の目安を解説しました。

お子さまの矯正は、顎の成長を利用できる6歳〜12歳頃がひとつの目安です。この貴重な時期に骨格の土台を整えることで、将来的な抜歯のリスクを減らしたり、本格矯正の負担を軽くしたりできる可能性があります。

一方、大人の矯正に「もう遅い」はありません。歯と歯ぐきが健康であれば、年齢を問わず、美しい歯並びと機能的なかみ合わせを目指せます。

最適な開始時期は一人ひとり異なります。大切なのは、自己判断せずに専門家の診断を受けることです。「うちの子、どうかな?」「今からでも間に合うかな?」と感じた時が、相談に最適なタイミングです。まずは気軽に専門の歯科医師に相談してみましょう。

参考文献

  1. Käsmä K, Silvola AS, Vuollo V, Julku J. Effects of early and later timed cervical headgear treatment on the eruption timing and pattern of permanent upper canines and molars from 7 to 18 years of age: follow-up of a randomized controlled trial. European journal of orthodontics 47, no. 4 (2025).
  2. Declerck E, EzEldeen M, Wyatt J, Begnoni G, Willems G, Jacobs R, Fieuws S, de Llano-Pérula MC. Application of orthodontic force in autotransplanted teeth: a longitudinal study. Clinical oral investigations 29, no. 1 (2025): 69.
  3. Li Y, Alifu A, Peng Y. Is maxillary protraction the earlier the better? A retrospective study on early orthodontic treatment of Class III malocclusion with maxillary deficiency. The Journal of clinical pediatric dentistry 48, no. 6 (2024): 133-143.

追加情報

[title]: Effects of early and later timed cervical headgear treatment on the eruption timing and pattern of permanent upper canines and molars from 7 to 18 years of age: follow-up of a randomized controlled trial.

早期と晩期における頸部ヘッドギア治療が7歳から18歳までの永久上顎犬歯と臼歯の萌出時期とパターンに及ぼす影響:ランダム化比較試験の追跡調査 【要約】

  • 本研究は、II級不正咬合の矯正治療において広く用いられる頸部ヘッドギア(CH)の治療開始時期(早期vs. 晩期)が、永久上顎犬歯と臼歯の萌出時期と傾斜に及ぼす影響を評価することを目的としたランダム化比較試験の追跡調査である。
  • 7歳でII級不正咬合と診断された67人の子供を、早期治療群(7.8歳にCH治療開始、n=33)と晩期治療群(9.5歳にCH治療開始、n=34)にランダムに割り当てた。
  • 治療はI級臼歯関係が達成されるまでCHを行い、その後は個別矯正治療を行った。5時点(7.3歳、9.6歳、11.5歳、15.3歳、17.8歳)でパノラマX線撮影を行い、各時点での群間比較をt検定、Mann-Whitney U検定、線形混合モデルを用いて行った。
  • 晩期治療群では、犬歯の萌出時期が早期治療群よりも早く、垂直的な傾斜が大きかった。早期治療群では、第二大臼歯の遠心傾斜が大きかった。第二大臼歯の萌出時期は晩期治療群の方が早かった。また、第三大臼歯と第二大臼歯の重なりは早期治療群で多かった。全てのp値は0.05未満であった。
  • 結論として、晩期治療開始の方が、犬歯の早期萌出と垂直的な傾斜、第二大臼歯の遠心傾斜の減少、第二大臼歯の早期萌出、第三大臼歯と第二大臼歯の重なりの減少といった点で有益である可能性が示唆された。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40576200

[quote_source]: Käsmä K, Silvola AS, Vuollo V and Julku J. “Effects of early and later timed cervical headgear treatment on the eruption timing and pattern of permanent upper canines and molars from 7 to 18 years of age: follow-up of a randomized controlled trial.” European journal of orthodontics 47, no. 4 (2025): .

[title]: Application of orthodontic force in autotransplanted teeth: a longitudinal study.

自家歯移植歯への矯正力の適用:縦断的研究 【要約】

  • この縦断的研究は、自家歯移植された歯への矯正治療開始時期が根の長さに及ぼす影響を評価することを目的とした。
  • 18歳未満で、少なくとも1本の開根尖の自家移植された小臼歯(AP)を中央切歯の位置に置換した患者を含めた。移植後3~6ヶ月間隔で撮影された根尖写真から根冠比(RCR)を算出した。矯正治療を行わなかった患者と、矯正治療開始時期(3、6、9、12、18ヶ月)が異なる患者のAPのRCRを比較した。
  • 52本の自家移植された小臼歯と315枚の根尖写真を用いた解析では、自家移植と矯正力(OF)の適用開始までの期間中央値は8.5ヶ月(IQR 2~23ヶ月)、平均追跡期間は32ヶ月(IQR 9~46ヶ月)であった。自家移植後の早期OFは、根の発育の早期停滞と関連していた。OFを遅らせた場合、APはより多くの根長延長を示す傾向があった。OFの遅延は、力が導入されると外側根尖吸収(EARR)の発生率の上昇につながったが、最終的な根の長さは早期OFの場合と比較して同等であった。OFの有無が、APの最終的な根の長さに最も影響を与える因子であった。
  • 矯正力の適用時期は、自家歯移植歯の最終的な根の長さを損なわなかった。癒合を防ぐための早期OFは、根の長さに影響を与えることなく実行可能である。今後の研究では、3D画像を用いて、矯正治療が自家歯移植歯に及ぼす影響をより深く理解する必要がある。
  • この研究は、癒合を回避するための早期の矯正力適用とEARRのリスクのバランスを取りながら、自家歯移植歯における矯正介入の時期を調整することの重要性を強調している。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39828868

[quote_source]: Declerck E, EzEldeen M, Wyatt J, Begnoni G, Willems G, Jacobs R, Fieuws S and de Llano-Pérula MC. “Application of orthodontic force in autotransplanted teeth: a longitudinal study.” Clinical oral investigations 29, no. 1 (2025): 69.

[title]: Is maxillary protraction the earlier the better? A retrospective study on early orthodontic treatment of Class III malocclusion with maxillary deficiency.

上顎前突:早期治療ほど良いのか?上顎不足を伴うIII級不正咬合に対する早期矯正治療に関するレトロスペクティブスタディ 【要約】

  • 本研究は、上顎不足を伴うIII級不正咬合に対する早期矯正治療(上顎前突)の有効性について、レトロスペクティブスタディ(後ろ向き研究)を用いて検討した。
  • 早期治療開始が、III級不正咬合の改善にどの程度寄与するのか、治療効果と治療開始年齢との関連性を分析した。
  • 研究の結果、早期治療開始による明確な治療効果の優位性を示す証拠は得られなかった可能性がある。(具体的な結果数値や結論は原文を参照する必要がある)
  • 治療開始年齢と治療成績との関連性については、更なる検討が必要であることが示唆された。
  • 本研究は、上顎不足を伴うIII級不正咬合に対する最適な治療開始時期の決定に役立つ知見を提供する。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39543890

[quote_source]: Li Y, Alifu A and Peng Y. “Is maxillary protraction the earlier the better? A retrospective study on early orthodontic treatment of Class III malocclusion with maxillary deficiency.” The Journal of clinical pediatric dentistry 48, no. 6 (2024): 133-143.