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矯正治療のボーンハウジングとは
矯正治療できれいな歯並びを手に入れたい」そう願う一方で、「治療後に歯茎が下がってしまった」という話を聞いて不安に感じていませんか。その成功と失敗を分ける鍵は、実は歯を支える土台の骨「ボーンハウジング」の状態にあるかもしれません。
このボーンハウジングが薄い、あるいは少ない状態で無理に歯を動かすと、歯の根が骨から露出したり、最悪の場合、歯の寿命を縮めてしまったりするリスクさえあります。時間も費用もかけた治療で後悔しないためには、この「土台」の知識が不可欠なのです。
矯正治療の安全性を左右するボーンハウジングの基礎知識から、治療前にご自身の骨の状態を確認するポイント、そして骨が不足している場合の対策までを詳しく解説します。安心して治療に臨むための第一歩として、ぜひご一読ください。
矯正治療の成功を左右するボーンハウジングの基礎知識
矯正治療を考えたとき、「ボーンハウジング」という言葉を初めて耳にして、少し不安に感じていませんか。
きれいな歯並びを目指す上で、このボーンハウジングは、治療の安全性や仕上がりを左右する、とても大切な要素です。
歯を支えている土台である骨の状態を正しく理解することは、ご自身の治療計画に納得し、安心して矯正治療を進めるための第一歩になります。
歯を支える土台「ボーンハウジング」とは
ボーンハウジングとは、歯の根っこ(歯根)をすっぽりと包み込んでいる、顎の骨のことです。「歯槽骨(しそうこつ)」とも呼ばれます。
歯がグラグラせずに食べ物をしっかりと噛めるのは、このボーンハウジングが歯の根を頑丈に支えてくれているおかげです。
理想的な状態は、歯の根が骨の中心にあり、その周りを十分な厚みの骨が360度しっかりと覆っている状態を指します。
矯正治療は、この骨の「お家」の中で、歯を少しずつ安全な場所に移動させていく作業なのです。そのため、治療を始める前に、土台の状態を正確に把握することが非常に重要になります。
項目 | 説明 |
---|---|
役割 | 歯の根っこを支え、固定する顎の骨(歯槽骨) |
理想的な状態 | 歯根の周囲を、十分な厚みの骨が取り囲んでいる状態 |
矯正治療との関係 | 歯を安全に移動させるための「スペース」であり「土台」 |
ボーンハウジングが薄くなる・少なくなる主な原因
ボーンハウジングの厚みや量は、生まれつきの骨格だけでなく、日々の生活習慣など後天的な要因によっても変化します。
ご自身の状態がどれにあてはまるかを知ることは、適切な治療法を選択する上で役立ちます。主な原因には、以下のようなものが挙げられます。
- 歯周病 歯周病菌によって歯を支える骨が溶かされてしまう病気です。ボーンハウジングが少なくなる最も一般的な原因の一つで、痛みなどの自覚症状がないまま進行することもあります。
- 強い力による負担 歯ぎしりや食いしばりの癖があると、特定の歯に過剰な力がかかり続けます。その結果、周囲の骨が力を逃がそうとして吸収され、薄くなることがあります。
- 加齢 年齢を重ねるにつれて、全身の骨密度が低下するのと同様に、顎の骨も少しずつ痩せてくる傾向があります。
- 先天的な要因 もともとの顎の骨の形や、歯の生えている位置によっては、骨が薄い部分がある方もいらっしゃいます。
これらの原因は一つだけではなく、複数が絡み合っていることも少なくありません。
歯根露出や歯肉退縮(歯茎下がり)との関係性
「矯正治療をしたら歯茎が下がった」という話を聞いて、心配になる方もいるかもしれません。この歯肉退縮(しにくたいしゅく)、いわゆる歯茎下がりは、ボーンハウジングの状態と深く関わっています。
ボーンハウジングという骨の土台が薄くなったり少なくなったりすると、その上を覆っている歯茎も一緒に下がってしまいます。
その結果、本来は歯茎に隠れているはずの歯の根っこが見えてしまう状態が「歯根露出」です。
歯根が露出すると、以下のようなさまざまな問題が起こりやすくなります。
- 見た目の問題 歯が長く見えたり、歯と歯の間の隙間が黒く見えたりします(ブラックトライアングル)。
- 知覚過敏 歯の根は刺激に弱い象牙質でできているため、冷たい水や風がしみるようになります。
- 虫歯のリスク上昇 歯の根は、歯の頭の部分(歯冠)を覆うエナメル質よりも柔らかく、酸に弱いため、虫歯になりやすくなります。
矯正治療で歯を動かす際は、この歯肉退縮のリスクを常に考慮する必要があります。
なぜ矯正治療でボーンハウジングの厚みが重要なのか
矯正治療で歯が動くのは、歯に力を加えることで、進行方向の骨が吸収され(なくなり)、後ろ側の骨が新しく作られる(再生する)という体の仕組みを利用しているためです。
この骨の吸収と再生がスムーズに行われるためには、歯の周りに十分な厚みのボーンハウジングが存在することが不可欠です。
もし、ボーンハウジングが薄い状態で無理に歯を動かそうとすると、骨の再生が追いつかず、以下のような深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。
- 歯の根っこが骨から飛び出してしまう(歯根露出)
- 歯の根っこが溶けて短くなってしまう(歯根吸収)
- 治療後に歯並びが元に戻りやすくなる(後戻り)
- 歯の寿命が短くなる
特に歯周病によって骨が少なくなっている場合は注意が必要ですが、適切な対応をとることで治療の道が開けることもあります。
実際に、歯周組織を再生させる治療(誘導組織再生療法など)を矯正治療と組み合わせることで、歯周環境を整え、見た目や噛む機能を向上させるアプローチも行われています。
ある研究では、歯周病と不正咬合を併発している患者さんに対して、歯周組織再生療法と矯正治療を組み合わせたところ、歯周組織の健康状態が効果的に改善されたと報告されています。
安全で長期的に安定した治療結果を得るためには、治療前の精密な検査と、ボーンハウジングの状態を考慮した無理のない治療計画が非常に大切です。
矯正治療前に確認すべきボーンハウジングの3つのポイント
安全で満足のいく矯正治療のためには、治療を始める前にご自身の骨の状態を正確に知ることが不可欠です。
歯を支える土台である「ボーンハウジング」の状態を正しく理解することは、治療の成功を左右します。
ここでは、安心して治療に臨むために、事前に確認しておきたい3つの大切なポイントを、一つひとつ丁寧に解説していきます。
3次元CT検査でわかる骨の状態と精密診断の重要性
これまでの矯正治療では、主に2次元のレントゲン写真で骨の状態を確認していました。
しかし、平面的なレントゲン写真では、骨の厚みや立体的な形を正確に把握することは困難でした。
そこで現在の矯正治療で重要になるのが、「3次元CT検査」です。 CT検査を用いることで、骨の状態をあらゆる角度から立体的に詳しく調べることができます。
【3次元CT検査でわかること】
- 骨の厚み 歯の根っこを覆っている骨が、どのくらいの厚さで存在するかをミリ単位で確認できます。
- 歯根の位置 歯の根っこが、骨の中心にあるか、それとも外側に偏っているかなどを正確に把握できます。
- 骨の密度や質 歯を支える骨が、硬くしっかりしているか、それとも柔らかく脆いかなどを評価できます。
これらの詳細な情報に基づいて精密な診断を行うことで、歯を安全に動かせる範囲を正確に見極められます。
その結果、歯茎が下がる、歯の根が骨から出てしまうといったリスクを事前に予測できます。 一人ひとりの骨の状態に合わせた、無理のない治療計画を立てることが可能になるのです。
ボーンハウジングが原因で矯正治療が難しいケースとは
精密な検査の結果、ボーンハウジングの状態によっては、すぐに矯正治療を始めるのが難しいと判断される場合があります。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 骨がもともと薄い、または量が少ない場合 歯を動かすための十分なスペースがなく、無理に動かすと歯の根っこが骨の外にはみ出してしまう危険性があります。
- 歯周病が進行している場合 歯周病菌によって歯を支える骨が溶かされているため、矯正の力で歯がさらにグラグラになる可能性があります。
- すでに歯の根っこが骨から露出している場合 矯正治療によって歯を動かすことで、歯の根の露出がさらに進んでしまう恐れがあります。
ただし、これらのケースでも、すぐに治療を諦める必要はありません。
ある研究では、歯周病で骨が減ってしまった方でも、骨の再生を促す治療(誘導組織再生療法など)を矯正治療と組み合わせることで、歯周組織の健康状態を改善しながら治療を進められる可能性が示されています。
適切な処置を事前に行うことで、安全に治療を始められる道が開けることも少なくありません。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正による骨への影響の違い
「ワイヤー矯正とマウスピース矯正では、骨への影響は違いますか?」というご質問をよくいただきます。
どちらの装置も、骨の吸収と再生という体の仕組みを利用して歯を動かす点は同じです。 そのため、どちらの方法でも、無理な力をかければ骨に負担がかかる可能性があります。
矯正方法 | 特徴 |
---|---|
ワイヤー矯正 | ・比較的強い力で、効率的に歯を動かすことが得意・歯科医師が歯一本一本を細かく調整しやすい |
マウスピース矯正 | ・比較的弱い力を、持続的にかけて少しずつ歯を動かす・治療計画のシミュレーションに基づき歯を動かす |
大切なのは装置の種類そのものではなく、「ボーンハウジングの範囲内で、いかに安全に歯を動かすか」という治療計画です。
CT検査による精密診断に基づいた治療計画であれば、ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、骨への負担を抑えながら安全に治療を進めることが可能です。
ご自身の希望と骨の状態を総合的に判断し、ご自身に合った治療法を歯科医師と一緒に考えていきましょう。
ボーンハウジングが不足している場合の主な治療法と対策
歯科医師から「歯を支える骨が少ないですね」と言われると、矯正治療はもう無理なのかな、と不安になってしまいますよね。
しかし、すぐに諦める必要は全くありません。 歯を支える土台であるボーンハウジングが足りない場合でも、お口の状態に合わせて治療の道を開く方法があります。
ここでは、その代表的な方法を3つご紹介します。 ご自身の状況と照らし合わせながら、どのような選択肢があるのかを一緒に見ていきましょう。
骨を増やす治療法「骨造成(GTR法)」
骨造成(こつぞうせい)とは、歯を支える骨が足りない部分に、骨が作られるのを助けるための治療法です。
歯周病などで失われた骨を、ご自身の力で再生できるようにうながします。 中でも「GTR法」は、骨ができてほしい場所に特殊な膜を置き、骨の赤ちゃんが育つための特別な部屋を作るような治療です。
矯正治療で歯を安全に動かすには、しっかりした骨の土台が欠かせません。 この治療は、その土台を整えるために行われます。
特に、歯周病と歯並びの乱れが同時に見られる場合に、このGTR法と矯正治療を組み合わせることで、良い効果が期待できるという研究報告があります。
【GTR法と矯正治療を組み合わせるメリット】
- 歯周組織の健康状態の改善 歯茎の腫れや出血といった歯周病のサインが改善し、健康な状態に近づきます。
- 噛む機能の向上 骨の土台がしっかりすることで、食べ物を噛む力が強まり、食事を楽しめるようになります。
- 見た目の美しさの改善 歯茎の状態が良くなることで、口元の見た目もより美しく整います。
これは外科的な処置になるため、治療期間や費用について、事前に歯科医師とよく相談することがとても大切です。
歯茎を補強する治療法「歯肉移植術」
歯肉移植術(しにくいしょくじゅつ)は、歯茎が下がって歯の根っこが見えてしまっている部分を改善するための治療です。
ボーンハウジングという骨の土台が薄いと、その上の歯茎も一緒に下がりやすい傾向があります。 この治療は、主に上あごの裏側などから健康な歯茎の一部を採取し、歯茎が足りない部分に移植して、歯茎を厚く丈夫にするものです。
矯正治療で歯を動かしたときに、歯茎がさらに下がってしまうリスクを減らす目的で行われます。
【歯肉移植術の主なメリット】
- 見た目の改善 露出して長く見えていた歯の根っこを覆い、歯と歯茎のバランスが整い、自然な見た目に近づけます。
- 知覚過敏の緩和 刺激に弱い歯の根っこが歯茎で覆われるため、冷たいものなどがしみる症状を和らげることができます。
- 歯茎の強化 移植によって歯茎が厚く強くなるため、日々の歯磨きの刺激にも強くなり、健康を保ちやすくなります。
セカンドオピニオンを求めることは、患者さんの正当な権利です。 担当の先生に遠慮する必要はありません。 ご自身の歯の将来のために、納得できるまで情報を集めて、最適な治療法を一緒に探していくことが大切です。
まとめ
安全で美しい歯並びを手に入れるためには、歯を支える土台である骨の状態を、治療前に正確に把握することが何よりも大切です。3次元CT検査などの精密な診断によって、歯茎下がりなどのリスクを避け、一人ひとりに合った無理のない治療計画を立てることが可能になります。
もし骨が薄いなどの不安な点があっても、骨を増やしたり歯茎を補強したりと、すぐに対策を講じられる可能性があります。まずは専門の歯科医師に相談し、ご自身の状態を正しく知ることから始めましょう。納得して治療に臨むことが、後悔のない矯正治療への第一歩です。
参考文献
- Natarajan P, Kumar SM, Natarajan S, Sridharan DKS, Narayana Kalkura DS. “Nano-particle coated or impregnated acrylic resins in dental applications: A systematic review of in Vivo Evidence on mechanical properties, biocompatibility and clinical performance.” Journal of oral biology and craniofacial research 15, no. 6 (2025): 1190-1199.
- Yang K, Nugraha AP, Chen J, Yang H, Wang J, Sáenz JRV, Hong G. “Utilization of cellulose nanofiber in dental applications: A systematic review of in vitro evidence.” The Japanese dental science review 61, no. (2025): 103-111.
- Liang Y, Zou J, Meng X. “Clinical Efficacy Analysis of Guided Tissue Regeneration Combined with Microscrew Implant Anchorage Technique in the Treatment of Periodontitis with Malocclusion.” Journal of investigative surgery: the official journal of the Academy of Surgical Research 38, no. 1 (2025): 2507233.
- 睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に対する下顎前進装置による治療:ポルトガル肺臓学会、ポルトガル口腔・歯学部会、ポルトガル歯科医師会、およびポルトガル団体による声明
追加情報
[title]: Nano-particle coated or impregnated acrylic resins in dental applications: A systematic review of in Vivo Evidence on mechanical properties, biocompatibility and clinical performance.
歯科用途におけるナノ粒子コーティングまたは含浸アクリルレジン:機械的特性、生体適合性、臨床性能に関するin vivoエビデンスのシステマティックレビュー 【要約】
- 本システマティックレビューは、ナノ粒子を添加したアクリルレジン(PMMA系)の抗菌性、機械的強度、生体適合性、耐久性を評価したヒトまたは動物を対象としたin vivo研究を対象とした。
- PubMed/MEDLINE、Scopus、Web of Science、Cochrane Library、Embaseを検索し、2025年1月18日までに発表された3154件の記録から、6件の研究が選定基準を満たした。
- 使用されたナノ粒子には、銀、二酸化チタン、ナノ銅、ナノ金、四級アンモニウムポリエチレンイミン(QPEI)が含まれていた。
- ナノ金、ナノ銅、QPEIは持続的な抗菌作用を示した。
- 機械的特性はナノ粒子によって異なり、銀と二酸化チタンナノ粒子は材料強度を低下させたが、ナノ銅は機械的性能を維持した。
- 銀系改変は変色を引き起こしたが、ナノ銅とQPEIは色安定性を維持した。
- ナノ粒子改変アクリルレジンは、特にナノ銅、ナノ金、QPEIを含有する製剤において、抗菌性と生体適合性を向上させた。しかし、銀とチタン系の添加剤では、機械的耐久性と審美的変化が課題として残る。
- これらのナノ強化アクリル材料の臨床適用性を検証するためには、さらに綿密に計画された長期的なランダム化比較試験が必要である。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40822504
[quote_source]: Natarajan P, Kumar SM, Natarajan S, Sridharan DKS and Narayana Kalkura DS. “Nano-particle coated or impregnated acrylic resins in dental applications: A systematic review of in Vivo Evidence on mechanical properties, biocompatibility and clinical performance.” Journal of oral biology and craniofacial research 15, no. 6 (2025): 1190-1199.
[title]: Utilization of cellulose nanofiber in dental applications: A systematic review of in vitro evidence.
セルロースナノファイバーの歯科用途における利用:in vitroエビデンスのシステマティックレビュー 【要約】
- 本システマティックレビューは、in vitroエビデンスに基づき、セルロースナノファイバー(CNF)が歯科材料の機械的特性、生体適合性、機能的多様性をどのように向上させるかを明らかにすることを目的とした。
- PRISMA 2020に従ってシステマティックレビュープロトコルを作成し、MEDLINE/PubMed、Scopus、Web of Science、Embaseを用いて文献検索を実施した(日付制限なし)。
- 180件の論文が得られ、重複を除去した後150件となり、うち23件を全文評価した。
- 最終的に17件のin vitro研究が包含基準を満たし、そのうち13件はバイアスリスクが低く、4件は中等度、高リスクのものはなかった。
- すべての対象研究において、CNFは機械的性能、特に曲げ強度と圧縮強度を向上させ、様々な細胞培養モデルにおいて生体適合性を維持または向上させた。
- CNFのナノファイバー構造と修飾可能な表面化学は、薬物封入や標的抗菌送達などの用途を可能にするなど、機能的多様性を拡大した。
- 全体として、CNFは優れた機械的強化、良好な細胞応答、幅広い機能的修飾を提供する、現代歯科における有望なバイオマテリアルとして浮上している。
- その長期的な安全性と有効性を確認するために、さらなるin vivo研究と臨床試験が必要であり、これらのin vitro知見を標準的な歯科診療に移行させることが重要である。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40510762
[quote_source]: Yang K, Nugraha AP, Chen J, Yang H, Wang J, Sáenz JRV and Hong G. “Utilization of cellulose nanofiber in dental applications: A systematic review of in vitro evidence.” The Japanese dental science review 61, no. (2025): 103-111.
[title]: Clinical Efficacy Analysis of Guided Tissue Regeneration Combined with Microscrew Implant Anchorage Technique in the Treatment of Periodontitis with Malocclusion.
歯周病と不正咬合を伴う患者における、誘導組織再生療法とマイクロスクリューインプラントアンカレッジ法併用治療の臨床的有効性分析 【要約】
- 歯周病と不正咬合を併発する60人の患者を、従来の矯正治療と誘導組織再生療法(GTR)を併用する対照群(30人)と、マイクロスクリューインプラントアンカレッジ法とGTRを併用する観察群(30人)に無作為に割り当てた。
- 歯肉指数(GI)、歯溝出血指数(SBI)、プラーク指数(PLI)、プロービング深度(PD)、臨床付着レベル(CAL)などの歯周指標、咬合力、咀嚼効率、ピンク審美スコア(PES)などの審美指標、さらに歯肉溝液中のインターロイキン-6(IL-6)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP-8)、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)のレベルを両群で測定した。
- 治療6ヶ月後、観察群は対照群と比較して、GI、SBI、PLI、PD、CALの値が低く、咬合力、咀嚼効率、PESが改善していた(p<0.05)。
- 治療6週間後、観察群は対照群と比較して、歯肉溝液中のIL-6とMMP-8のレベルが低く、TGF-βのレベルが高かった(p<0.05)。
- 全体的な治療効果においても、観察群は対照群よりも優れていた(p<0.05)。
- マイクロスクリューインプラントアンカレッジ法とGTRの併用は、歯周病と不正咬合を伴う患者において、優れた治療効果を示すことが結論づけられた。このアプローチは、歯周組織の健康状態を効果的に改善し、局所的な歯周環境を最適化し、咀嚼機能を向上させ、審美的な結果を促進する。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40488382
[quote_source]: Liang Y, Zou J and Meng X. “Clinical Efficacy Analysis of Guided Tissue Regeneration Combined with Microscrew Implant Anchorage Technique in the Treatment of Periodontitis with Malocclusion.” Journal of investigative surgery : the official journal of the Academy of Surgical Research 38, no. 1 (2025): 2507233.
[title]: Treatment of obstructive sleep apnea syndrome (OSAS) with mandibular advancement devices-A statement of the Portuguese Society of Pulmonology, the Portuguese Society of Stomatology and Dental Medicine, the Portuguese Dental Association, and the Portuguese
睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に対する下顎前進装置による治療:ポルトガル肺臓学会、ポルトガル口腔・歯学部会、ポルトガル歯科医師会、およびポルトガル[団体名省略]による声明 【要約】
- 睡眠呼吸障害(SBD)の患者管理に関わる専門家向けに、臨床上の指針に関するコンセンサスを確立することを目的として、この分野に関わる学際的な科学団体グループが、アメリカ歯科医師会、アメリカ睡眠医学会、アメリカ歯科睡眠医学会、および欧州の関連団体から発表された国際的なガイドラインをすべて検討・レビューした。
- SBDの治療は多職種連携で行われ、患者の負担(個人、社会、経済的)を軽減するために、患者、睡眠専門医、資格のある歯科医が協力して行われるべきである。
- 本コンセンサス文書は、利用可能なエビデンスに基づいて、SBD患者管理に関するポルトガル専門家チームの現在の考え方を示している。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39003191
[quote_source]: Sousa S, Correia S, de Almeida AM, Videira G, Dias R, Ramos SF and Fonseca J. “Treatment of obstructive sleep apnea syndrome (OSAS) with mandibular advancement devices-A statement of the Portuguese Society of Pulmonology, the Portuguese Society of Stomatology and Dental Medicine, the Portuguese Dental Association, and the Portuguese Society of Temporomandibular Disorders, Orofacial Pain and Sleep.” Pulmonology 31, no. 1 (2025): 2416848.