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永久歯の生え替わり時期はいつ?
お子様の乳歯が抜けた後、なかなか永久歯が生えてこないと「うちの子は大丈夫?」と心配になりますよね。多くは成長の個人差ですが、その陰には歯科医院での専門的な対応が必要なケースが隠れていることも。放置すると将来の歯並びだけでなく、顎の成長にまで影響を及ぼす可能性があります。
実は、日本小児歯科学会の調査では、お子様の約10人に1人が生まれつき永久歯の数が足りない「先天欠如」と報告されています。他にも歯が骨に埋まってしまう「埋伏歯」など、見ただけではわからない問題が原因かもしれません。
この記事では、永久歯がなかなか生えてこない原因から、放置した場合の深刻なリスク、そして代表的な治療法までを詳しく解説します。お子様の大切な未来のために、正しい知識を身につけましょう。
永久歯が生えない4つの主な原因
お子様の乳歯が抜けたのに、なかなか永久歯が生えてこないと「何か問題があるのでは?」とご心配になることでしょう。多くの場合、生え替わりの時期には個人差があるため、少し様子を見ることで解決します。しかし、中には歯科医院での専門的な対応が必要なケースも隠れています。
永久歯が適切な時期に生えてこない原因は、主に以下の4つが考えられます。
- 歯茎の中に歯が埋まっている「埋伏歯」
- 生まれつき歯の数が足りない「先天欠如」
- 本来の数より歯が多い「過剰歯」
- 乳歯が早く抜けすぎる、または抜けずに残る問題
これらの原因を正しく理解し、適切なタイミングで対応することが、お子様の将来のお口の健康を守るために非常に大切です。
正常な歯の交換時期と順番の目安
永久歯が生えてこないご心配を抱えたとき、まずは一般的な歯の交換時期を知ることが大切です。ただし、お子様の成長には個人差が大きいため、下記の時期や順番はあくまで目安として参考にしてください。数ヶ月程度のズレや、左右の歯で生え方に少し差があっても、過度に心配する必要はありません。
【永久歯への交換時期と順番の目安】
| 年齢の目安 | 生え始める歯の種類(歯の名称) |
| 6歳ごろ | 最初の永久歯である「第一大臼歯(6歳臼歯)」が、乳歯の一番奥に生え始めます。これは生え替わりではなく、新しく追加される歯です。 |
| 7~8歳ごろ | 下の前歯(中切歯・側切歯)が抜け、続いて上の前歯が生え替わります。 |
| 9~10歳ごろ | 前歯と奥歯の間にある「犬歯」や「第一小臼歯」「第二小臼歯」が生え始めます。 |
| 11~12歳ごろ | 第一大臼歯のさらに奥に「第二大臼歯(12歳臼歯)」が生えます。この歯が生えると、親知らずを除いた28本の永久歯がほぼそろいます。 |
一般的に、下の歯から先に生え替わり、その後対応する上の歯が生え替わる傾向があります。この目安から大幅に遅れている、あるいは左右の同じ種類の歯で半年以上の差がある場合は、一度歯科医院に相談してみましょう。
歯茎の中に埋まっている「埋伏歯(まいふくし)」
埋伏歯とは、永久歯が顎の骨や歯茎の中に埋まったままで、正常な位置に生えてこられない状態を指します。お口の中を直接見てもわからないため、歯科医院でのレントゲン検査で初めて発見されることがほとんどです。
埋伏歯が起こる主な原因には、以下のようなものがあります。
- 永久歯が並ぶスペースの不足
顎が小さい、または歯が大きいことで、永久歯がきちんと並ぶための十分なスペースが足りない状態です。現代のお子様は顎が小さい傾向にあり、この原因は多く見られます。
- 歯の生える向きの異常
永久歯が作られる初期の段階で、歯の元となる「歯胚(しはい)」の位置や向きがずれてしまうことがあります。これにより、歯が横や斜めを向いてしまい、まっすぐ生えることができなくなります。
- 萌出(ほうしゅつ)を妨げる障害物
本来の歯の数より多く存在する「過剰歯」や、歯の根の先にできた病気の袋(嚢胞)などが、永久歯が生える進路を物理的に邪魔しているケースです。
- 乳歯のトラブル
抜けるべき乳歯がなかなか抜けずに残っていると、永久歯の出口を塞いでしまいます。逆に、むし歯などで乳歯が早く抜けすぎると、両隣の歯が倒れ込んできて永久歯のスペースを奪ってしまいます。
埋伏歯を放置すると、隣の健康な歯の根を溶かしてしまう「歯根吸収」という深刻なトラブルを引き起こすことがあるため、早期発見と適切な対応が重要です。
生まれつき歯の数が足りない「先天欠如(せんてんけつじょ)」
先天欠如とは、生まれつき永久歯の元となる「歯胚(しはい)」が存在せず、将来にわたって特定の永久歯が生えてこない状態のことです。これは決して珍しいことではありません。2007〜2008年に日本小児歯科学会が行った全国調査では、お子様の約10人に1人の割合で見られると報告されています。
先天欠如が起こりやすい場所はある程度決まっています。特に下の第二小臼歯(前から5番目の歯)や上の側切歯(前から2番目の歯)に多く見られるのが特徴です。
原因は、遺伝的な要因や、お母様のお腹の中にいる間の栄養状態、薬の影響などが関与していると考えられていますが、はっきりとした因果関係はまだ解明されていません。乳歯が抜けない、あるいは抜けたのにいつまでも永久歯が生えてこない場合は、先天欠如の可能性も考えられます。この場合もレントゲン検査で歯胚の有無を確認することで、確定診断が可能です。
レントゲン検査でわかることと歯科医院を受診するタイミング
「永久歯が生えてこない」というお悩みに対して、レントゲン検査は非常に多くの情報をもたらしてくれます。肉眼では確認できない歯茎や顎の骨の中の状態を正確に把握することで、的確な診断と治療計画の立案が可能になります。
【レントゲン検査でわかること】
- 永久歯の有無と数
歯茎の中に、次に生えるべき永久歯がきちんと存在するかを確認します。これにより「先天欠如」や「過剰歯」の有無がわかります。
- 永久歯の位置と向き
永久歯がどの位置にあり、どの方向を向いているかを把握します。「埋伏歯」がまっすぐ生えようとしているのか、斜めや横を向いているのかがわかります。
- 萌出の準備状況
永久歯の根がどのくらい作られているか(歯根形成の程度)を評価します。これによって、あとどのくらいで生えてきそうか、成長段階を予測することができます。
- 萌出を妨げる他の異常
過剰歯や嚢胞(のうほう)など、永久歯の萌出を妨げる他の原因がないかを確認します。
お子様の歯について、以下のような様子が見られたら、一度歯科医院を受診するタイミングです。チェックリストとしてご活用ください。
【歯科医院への受診をおすすめするタイミング】
- ☐ 乳歯が抜けてから半年以上たっても、永久歯が生えてくる気配がない
- ☐ 左右の同じ種類の歯で、生え替わりの時期に半年以上の差がある
- ☐ 目安の年齢を大幅に過ぎても、乳歯が抜けずに残っている
- ☐ 学校などの歯科検診で、歯の数や生え替わりについて指摘を受けた
これらのサインは、歯科医師による専門的なチェックが必要な可能性を示しています。早めに相談することで問題の早期発見につながり、お子様への身体的・精神的な負担が少ない治療法の選択肢も広がります。
永久歯が適切に生えないことによる5つのリスク
お子様の乳歯が抜けた後、永久歯がなかなか顔を出さないと、保護者様としては「このままで大丈夫だろうか」とご心配になることと思います。多くは成長の個人差によるものですが、中には専門的な対応をしないと、将来のお口の健康や全身の成長にまで影響を及ぼすケースが隠れています。
永久歯が適切な時期に生えてこない状態を放置すると、単に歯並びが悪くなるだけでなく、様々なリスクが連鎖的に発生する可能性があります。ここでは、考えられる5つのリスクについて、現場の医師の視点から詳しく解説します。
歯並びや噛み合わせの悪化(不正咬合)
永久歯が本来生えるべき時期・位置に出てこないと、歯並びや噛み合わせが乱れる「不正咬合(ふせいこうごう)」を引き起こすリスクが非常に高まります。歯は、お互いに隣の歯や噛み合う歯と支え合い、絶妙なバランスを保って並んでいます。そのため、1本でも欠けたり位置がずれたりすると、ドミノ倒しのように全体のバランスが崩れてしまうのです。
具体的には、以下のような問題が連鎖して起こることがあります。
- 隣の歯が傾斜・移動してくる
歯が生えるべきスペースが空いたままだと、その空間を埋めようとして両隣の歯が倒れ込んできます。これにより、後から生えてくる永久歯のスペースが完全に失われ、歯が重なり合って生える「叢生(そうせい)」、いわゆる乱ぐい歯の原因となります。
- 噛み合う相手の歯が伸びてくる
上下の歯は、互いに噛み合うことで適切な位置を保っています。例えば、下の歯が生えてこない場合、噛み合う相手である上の歯は支えを失い、空いたスペースに向かって伸びてきてしまうこと(挺出:ていしゅつ)があります。
- 顎の関節への負担増加
これらの問題が複合的に生じると、全体の噛み合わせが深くなったり、ズレが生じたりします。その結果、食べ物を効率よく噛めなくなるだけでなく、顎の関節に過剰な負担がかかり、「顎関節症(がくかんせつしょう)」を発症する原因にもなり得ます。
隣接する健康な歯の根を溶かす歯根吸収
歯茎の中に埋まったまま出てこられない「埋伏歯(まいふくし)」は、隣にある健康な歯に深刻なダメージを与えることがあります。その中でも特に警戒すべきなのが「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」です。これは、文字通り、健康な歯の根(歯根)が徐々に溶かされて短くなってしまう現象を指します。
歯根吸収は、以下のようなメカニズムで進行します。
- 埋伏歯が、隣の歯の根にぶつかるような異常な方向へ成長します。
- 歯の根に継続的な圧力がかかることで、歯の組織を溶かす「破歯細胞(はしさいぼう)」という細胞が活性化します。
- 活性化した破歯細胞が、本来は健康なはずの隣の歯の根を、少しずつ溶かしていきます。
この歯根吸収の最も恐ろしい点は、痛みや腫れといった自覚症状がほとんどないまま、静かに進行することです。異変に気づいたときには、すでに歯の根がかなり溶けて短くなっており、歯がグラグラと揺れ始めていることも少なくありません。最悪の場合、むし歯でもない健康な歯を、抜歯せざるを得なくなるケースもあります。埋伏歯の有無や歯根吸収のリスクは、歯科医院でのレントゲン検査でしか確認できません。
顎の骨の正常な成長への悪影響
歯には、食べ物を噛み砕く機能だけでなく、顎の骨の健全な成長を促すという非常に重要な役割があります。私たちが食事で物を噛むときの刺激(咬合力:こうごうりょく)は、歯の根を通じて顎の骨へと伝わります。この適度な刺激が、骨の新陳代謝を促し、成長期のお子様の顎を大きく発達させる原動力となるのです。
しかし、永久歯が適切な本数生えそろわないと、この重要なメカニズムが正常に働きません。
- 顎の成長のアンバランス
例えば、右側だけ歯が生えてこず、左側は正常に生えている場合、お子様は無意識のうちに噛みやすい左側ばかりで物を噛むようになります。その結果、片側の顎の筋肉や骨ばかりが発達し、左右の顎の大きさに差が生じ、顔貌の非対称(顔の歪み)につながる可能性があります。
- 顎全体の発育不全
生えてこない歯の本数が多い場合、顎の骨全体に伝わる刺激そのものが不足します。これにより、顎の骨が本来の大きさにまで十分に発達しない「顎骨劣成長(がっこつれつせいちょう)」を引き起こすことがあります。
特にお子様の身体が大きく成長する学童期から思春期は、顎の骨も活発に成長する大切な時期です。この時期に適切な噛み合わせが確立されていないと、将来的な骨格の形成にまで影響が及ぶ可能性があるため、注意深い観察が必要です。
むし歯や歯周病になりやすくなる
歯並びや噛み合わせの乱れは、お口の清掃性を著しく低下させ、むし歯や歯周病のリスクを高める直接的な原因となります。歯並びが複雑な場所は、歯ブラシの毛先が届きにくく、細菌の塊である歯垢(プラーク)がどうしても残りやすくなるためです。
具体的には、以下のような状況でお口のトラブルのリスクが高まります。
| 歯並びの状態 | むし歯・歯周病のリスクが高まる理由 |
| 歯が重なり合っている | 歯と歯が重なった部分は、歯ブラシが届かず汚れの温床になります。フロスも通しにくく、むし歯が進行しやすくなります。 |
| 歯が傾いている | 傾いた歯と歯茎の境目には深い溝(歯周ポケット)ができやすく、歯周病菌が繁殖する格好の住処となってしまいます。 |
| 乳歯が抜けずに残っている | 乳歯は永久歯と高さや形が異なるため、隣の永久歯との間に段差ができます。この段差に汚れが溜まり、両方の歯がむし歯になるリスクが高まります。 |
また、噛み合わせが悪いと、特定の歯だけに食事のたびに過剰な力がかかり続けます。この過度な負担は、歯を支える歯茎や骨にダメージを与え、歯周病を悪化させる一因にもなります。「磨きにくい」状態を放置することは、将来的に多くの歯を失うことにつながりかねません。
発音や見た目のコンプレックスにつながる可能性
永久歯が適切に生えてこないことは、これまで述べてきた機能的な問題だけでなく、お子様の心理的な側面にも大きな影響を与えることがあります。特に人目に付きやすい前歯が生えてこない場合や、歯並びが大きく乱れている場合は、お子様にとって深刻な悩みとなる可能性があります。
- 発音への影響
歯、とりわけ前歯は、きれいな発音を形成するために不可欠な器官です。歯と歯の間に大きな隙間があると、そこから息が漏れてしまい、「サ行」や「タ行」などの音が不明瞭になる「構音障害(こうおんしょうがい)」の原因となることがあります。はっきりと話せないことが、お友達とのコミュニケーションに自信をなくすきっかけになることも考えられます。
- 見た目のコンプレックス
小学校高学年から中学生にかけての多感な時期は、自分と周りの友人との違いに非常に敏感になります。「歯が抜けたままで生えてこない」「歯並びがガタガタだ」といった口元の見た目を気に病み、人前で自然に話したり、思いきり笑ったりすることに抵抗を感じるようになるお子様は少なくありません。このようなコンプレックスは、自己肯定感の低下にもつながる可能性があります。
お子様が心身ともに健やかに成長していくためには、お口の中の問題にも早期に気づき、適切に対処してあげることが、保護者様や我々医療者の大切な役割だと考えています。
永久歯が生えない場合の3つの治療法と費用
お子様の永久歯がなかなか生えてこないと、「このまま放置して大丈夫だろうか」「何か特別な治療が必要なのだろうか」とご心配になることと思います。永久歯が生えてこない原因は様々であり、それぞれの状態に合わせた専門的なアプローチが必要です。
治療法は、主に以下の3つに大別されます。
- 自然な萌出を待つ「経過観察」
- 歯を外科的に誘導する「開窓牽引(かいそうけんいん)」
- 歯が並ぶ土台を整える「矯正治療」
どの治療法が最適かは、レントゲン検査やCT検査でお口の中の状態を三次元的に詳しく調べ、歯や顎の状態を総合的に評価した上で、歯科医師が慎重に判断します。
定期的な観察で自然な萌出を待つ「経過観察」
「経過観察」は、すぐに積極的な治療は行わず、定期的に歯科医院で専門的なチェックを受けながら、永久歯が自力で生えてくるのを待つ方法です。歯が本来持っている「生える力(萌出力)」と、お子様の顎の成長を最大限に活かすアプローチと言えます。
乳歯が抜けてから永久歯が生えるまでの期間には個人差が大きいため、単に生えるのが少し遅れているだけであれば、この方法が第一選択となることも少なくありません。
【経過観察が選択される主なケース】
- レントゲン検査で、永久歯が生える方向が良く、萌出経路に大きな障害がない場合
- 歯の根の成長がまだ途中の段階で、もう少し成長を待つ時間的な余裕がある場合
- 生え替わりの遅れが、お子様の成長発育における個人差の範囲内だと判断される場合
具体的には、3ヶ月から半年に一度のペースでご来院いただき、レントゲン撮影などでお口の中の精密な状態を確認します。この際、単に待つのではなく、以下の点を専門的に評価しています。
- 永久歯の位置と移動: 埋まっている歯が正しい方向へ少しずつ移動しているか
- 歯根の成長度合い: 歯の根が順調に成長し、萌出の準備が進んでいるか
- 顎の成長とスペース: 顎の成長に伴い、歯が生えるためのスペースが確保されそうか
この方法は、お子様への身体的な負担が最も少ないという大きな利点があります。ただし、「何もしない」のではなく、「専門的な管理のもとで、治療介入が必要なタイミングを的確に見極める」ための重要な期間とご理解ください。
歯茎を切開して歯を引っ張り出す「開窓牽引(かいそうけんいん)」
「開窓牽引」は、歯茎や顎の骨の中に埋まったまま出てこられない「埋伏歯(まいふくし)」に対して行われる、より積極的な治療法です。歯が生えようとする力は十分にあるものの、向きが少しずれていたり、歯茎が硬かったりすることが原因の場合に有効です。
この治療は、埋まっているご自身の歯を抜かずに活かし、歯列に正しく並べることを目的とします。
【開窓牽引の一般的な手順】
- 局所麻酔
処置を行う部分の歯茎に、痛みを抑えるための麻酔をしっかりと行います。
- 開窓手術(かいそうしゅじゅつ)
埋まっている歯の上の歯茎を小さく切開し、歯の頭の部分(歯冠)が見えるように、骨の窓を開けるような処置をします。
- 装置の接着
露出させた歯の表面に、牽引用の小さなボタンのような矯正装置を接着します。
- 牽引(けんいん)
接着した装置にゴムやワイヤーをかけ、周囲の歯に装着した矯正装置を土台にして、非常に弱い力でゆっくりと歯を正しい位置へと引っ張り出します。
この治療は外科的な処置を伴いますが、隣の健康な歯の根を溶かす「歯根吸収」などの深刻なトラブルを防ぐために非常に重要です。多くの場合、歯を引っ張るための土台として、部分的な矯正治療を併用する必要があります。
歯並びを整えスペースを作る「矯正治療」
永久歯が生えてこない大きな原因の一つに、歯が並ぶための「スペース不足」があります。顎が小さい、あるいは歯が大きいことで、すべての永久歯がきれいに並ぶ場所が足りない状態です。このような場合には、矯正治療によってスペースを作り、永久歯がスムーズに生えるのを手助けします。
また、生まれつき永久歯の数が足りない「先天欠如」の場合にも、矯正治療は重要な役割を果たします。
【矯正治療による主なアプローチ】
- 歯列の拡大
特に成長期のお子様の場合、矯正装置を使って上顎の骨格自体を側方に広げ、歯が並ぶアーチを大きくしてスペースを確保します。
- 歯の移動
奥歯をさらに後ろへ動かす(遠心移動)など、個々の歯を精密にコントロールしてスペースを作り出します。
- 先天欠如への対応
欠損部の隙間を、隣の歯を動かして閉じる計画や、逆に将来ブリッジやインプラント治療を行うために最適なスペースを確保しておく計画を立てます。
矯正治療は、単に歯が生えるのを助けるだけでなく、お子様の将来の正しい噛み合わせや、お口全体の機能、そして見た目の美しさを確立するという、長期的かつ包括的な目的を担っています。
各治療法の期間・費用と保険適用の可否
永久歯が生えない場合の治療は、それぞれ期間や費用、保険適用の条件が異なります。どの治療法を選択するかは、お子様のお口の状態やご家庭のご希望などを総合的に考慮して決定します。
| 治療法 | 期間の目安 | 費用の目安(3割負担の場合) | 保険適用の可否 |
| 経過観察 | 数ヶ月~数年 | 1回あたり数千円程度(検査費用) | 保険適用 |
| 開窓牽引 | 数ヶ月~1年程度 | 数万円~(手術費用のみ) | 条件付きで保険適用 (前歯3本以上の萌出不全に起因した咬合異常など、特定の診断名がつく場合。牽引のための矯正装置は自費の場合が多い) |
| 矯正治療 | 1年~数年 | 数十万円~百万円以上 | 自費診療 |
【保険適用に関する補足】 矯正治療は、審美的な改善を目的とする側面が強いため、多くの場合、健康保険が適用されない「自費診療」となります。ただし、例外として「6歯以上の先天性欠如」や「唇顎口蓋裂」といった国が定める特定の疾患に該当し、かつ「指定自立支援医療機関(育成・更生医療)」の認可を受けた医療機関で治療を受ける場合に限り、保険が適用されます。
費用はあくまで一般的な目安であり、治療の難易度や範囲、使用する装置によって異なります。治療を開始する前には、必ず治療計画と総額について、歯科医師から十分な説明を受けることが大切です。ご不明な点があれば、遠慮なくご相談ください。
まとめ
今回は、永久歯がなかなか生えてこない原因や、それに伴うリスク、そして治療法について詳しく解説しました。
お子様の歯の生え替わりは個人差が大きく、少し様子を見ることで解決する場合も多いです。しかしその一方で、歯が歯茎に埋まっていたり、生まれつき歯の数が足りなかったりと、専門的な対応が必要なケースも隠れています。
「そのうち生えるだろう」という自己判断は、将来の歯並びや噛み合わせに影響を及ぼすリスクも否定できません。記事中のチェックリストに当てはまるなど、少しでもご不安な点があれば、それが歯科医院に相談する良いタイミングです。
お子様のかけがえのないお口の健康を守るため、まずは専門家と一緒に現状を正しく把握することから始めましょう。
監修者情報

牧野歯科・矯正歯科 歯科医師
牧野 盛太郎Seitaro Makino
略歴
所属学会
- 日本口腔外科学会認定医
- 日本再生医療学会認定医
- 日本口腔外科学会
- 日本再生医療学会
- 日本顎顔面インプラント学会
- 日本口腔インプラント学会
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