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歯列矯正における抜歯から装着までの流れ

「きれいな歯並びを手に入れたいけれど、何から始めればいいかわからない…」そんな風に、治療への第一歩をためらっていませんか?歯列矯正は、いきなり装置をつけるわけではなく、カウンセリングから精密検査、治療計画の立案まで、あなたに合わせた緻密な計画のもとで進められます。

歯列矯正の開始から治療計画確定までの3ステップ

歯並びをきれいにしたいと思っても、何から始めればよいのかわからず、不安に感じるかもしれません。

歯列矯正は、いきなり装置をつけるわけではありません。 しっかりとした準備段階を経てから治療が始まります。 大きく分けると、次の3つのステップで進みます。

  1. カウンセリング
  2. 精密検査
  3. 治療計画の説明

このステップを踏むことで、あなたに合った最適な治療法を見つけられます。 ここでは、安心して治療の第一歩を踏み出せるように、各ステップの内容を解説します。

初回カウンセリングで相談できる内容

初回カウンセリングは、あなたの悩みや希望を歯科医師に伝え、治療の全体像を知るための大切な時間です。 どんなささいなことでも、遠慮なくご相談ください。

歯科医師に伝えることリスト

  • お悩みや希望  「前歯のガタガタが気になる」「口元をすっきりさせたい」など、具体的にどうなりたいかをお伝えください。
  • 不安なこと  「痛みはどれくらい?」「装置は目立つ?」「費用はいくらかかる?」といった心配事をお話しください。
  • 生活や体のこと  お仕事の内容や食生活、アレルギーの有無や持病、今飲んでいるお薬などについてもお知らせください。

歯科医師から説明されること

  • 考えられる治療法  あなたの歯並びの状態を見て、ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、どのような選択肢があるかを説明します。
  • おおよその期間と費用  精密検査の前なので確定ではありませんが、治療にかかる期間や費用の目安を知ることができます。
  • 治療のメリット・デメリット  それぞれの治療法には良い点だけでなく、注意すべき点もあります。両方についてしっかり説明があります。

精密検査(レントゲン・CT・歯型取り)でわかる骨格や歯の状態

カウンセリングで治療への意思が固まったら、次はお口の中の状態を詳しく調べる「精密検査」に進みます。 検査で得られる情報が多いほど、より正確で安全な治療が可能になります。

検査の種類 何を調べるか なぜ必要か
パノラマレントゲン 口全体の歯、顎の骨、親知らずの状態 歯茎に隠れた虫歯や歯周病の有無、歯の根っこの状態などを確認します。
セファロ(頭部X線規格写真) 横顔のレントゲンで、頭や顎の骨格のバランス、歯の傾き 骨格の問題点を把握し、理想的な歯並びや口元のゴールを設定します。
CT検査 骨の厚みや形、神経や血管の位置を立体的に(3Dで)観察 抜歯や矯正用のネジを使う際に、安全な位置を正確に判断します。
歯型取り・口腔内スキャン 現在の歯並びや噛み合わせの状態をデータ化 治療前後の比較や、治療のシミュレーション、マウスピース装置の作製に利用します。

検査結果に基づく抜歯・非抜歯の判断基準

精密検査の結果が出ると、歯科医師は「歯を抜く必要があるか(抜歯)」、それとも「抜かずに治療できるか(非抜歯)」を判断します。 歯を抜くと聞くと少し怖いかもしれませんが、これは歯をきれいに並べるためのスペースを確保する、大切な選択肢の一つです。

抜歯を検討するのは、主に次のような場合です。

  • スペースが足りない  顎が小さい、または歯が大きいために、すべての歯が並ぶ場所が絶対的に不足している場合。
  • 口元を下げたい  前歯が前に出て口元が突出している状態を、横顔のライン(Eライン)も含めて美しく整えたい場合。
  • 噛み合わせのズレが大きい  上下の歯の噛み合わせが大きくずれており、歯を抜いてスペースを作ることで正しい位置に動かす必要がある場合。

一方で、歯を抜かずに治療できるケースもたくさんあります。 歯の列を少し横に広げたり、歯を奥に移動させたり、歯の表面をわずかに削ったりすることでスペースを作れる場合は、非抜歯での治療が可能です。

この判断は、「歯がガタガタだから抜く」という単純なものではありません。 精密検査で得られた骨格や歯の傾き、顔全体のバランス、そしてあなたの希望をすべて考慮して、精密検査の結果やご希望をふまえ、一人ひとりに合わせた治療方法を総合的に判断します。

治療方法・期間・費用総額の具体的な説明

すべての検査結果と方針が固まったら、いよいよ具体的な治療計画の説明です。

1. 治療方法の決定 ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、あなたの歯並びやライフスタイルに合った治療法を具体的に提案します。

  • ワイヤー矯正  多くの症例に対応でき、歯を細かく動かすのが得意です。
  • マウスピース矯正  透明で目立ちにくく、取り外して食事や歯磨きができます。

2. 治療期間の目安 歯を動かす期間と、動かした歯を安定させる「保定期間」を合わせた、全体の期間が示されます。

  • 部分的な矯正  約6ヶ月~12ヶ月
  • 全体的な矯正  約18ヶ月〜36ヶ月

歯の動き方には個人差があるため、示される期間はあくまで目安です。

3. 費用総額の内訳 

  • 費用の目安  
  • 費用の内訳  

この段階で、治療内容、期間、費用について十分に理解し、すべてに納得した上で、正式に治療を開始することになります。

矯正装置(ワイヤー・マウスピース)の装着プロセス

  • ワイヤー矯正の場合
    1. 歯の表面の清掃  装置をしっかり接着させるため、歯の表面をきれいに磨きます。
    2. ブラケットの装着  「ブラケット」という小さな装置を、専用の接着剤で一つひとつの歯の表面につけます。
    3. ワイヤーの装着  全てのブラケットにワイヤーを通し、ゴムや細い針金で固定します。  これで歯に少しずつ力がかかり始め、歯を動かし始めます。
  • マウスピース矯正の場合
    1. アタッチメントの装着  歯を計画どおりに動かすため、「アタッチメント」という突起を歯につけることがあります。  これは歯の色に似た小さな樹脂でできており、マウスピースの力を効率よく歯に伝えます。
    2. マウスピースの受け取りと装着練習   歯科医院でマウスピースを受け取り、自分でつけ外しする方法を練習します。  通常は7~10日ごとに新しいマウスピースに交換しながら治療を進めます。

歯が動く仕組み:骨のリモデリング(骨の吸収と再生)の促進

「硬い骨の中を、どうして歯が動くの?」と不思議に思う方も多いでしょう。 これは、骨が力を加えられると自ら作り変えられる「骨のリモデリング」という仕組みを利用しています。

歯に矯正装置で持続的な力を加えると、まず歯と骨の間にある「歯根膜」という組織が反応します。 歯根膜は歯と骨をつなぐクッションのような組織で、水分を豊富に含んでいます。 近年の研究では、力がかかるとまずこの中の液体が移動し、歯が動く最初のきっかけになることがわかってきました。

この力が信号となり、私たちの体の中では精密な作業が始まります。 歯が動いていく方向の骨では、骨を溶かす「破骨細胞」が活発になります。 一方で、歯が動いた後の隙間ができた側では、新しい骨を作る「骨芽細胞」が働きます。 この「骨の吸収」と「骨の再生」がゆっくり繰り返されることで、歯は少しずつ移動するのです。

定期的な調整:通院頻度と1回あたりの所要時間

矯正装置をつけたら、治療は終わりではありません。 計画どおりに歯が動くように、定期的に歯科医院へ通い、装置の調整やチェックを受けることが非常に大切です。

ワイヤー矯正の場合は、歯の動きに合わせてワイヤーの太さや形を変えるため、月に1回程度の通院が必要です。 一方、マウスピース矯正はご自身でマウスピースを交換して治療を進めるため、通院頻度はワイヤー矯正よりも少ない傾向にあります。

定期的な通院は、歯の動きを管理するだけではありません。 お口の中の状態をプロの目で確認し、虫歯や歯周病を予防するための大切な機会でもあります。 気になることがあれば、どんな小さなことでも遠慮なく相談してください。

矯正治療に関してよくある疑問

歯並びをきれいにしたいと思っても、治療への不安はつきものです。 「痛みは?」「食事はどうなるの?」といった疑問は、誰もが感じることでしょう。 矯正治療は長いお付き合いになるからこそ、不安を解消することが大切です。

抜歯や装置調整時に発生する痛み

矯正治療では、歯が動く際に痛みを感じることがあります。 これは、歯の周りの骨が新しく作り替えられる「骨のリモデリング」という正常な反応です。 研究では、装置が歯にかける力が、骨の細胞を活発にすることがわかっています。

特に痛みを感じやすいのは、次の3つのタイミングです。

  • 初めて装置をつけたとき
  • ワイヤーを調整したり、新しいマウスピースに交換したりしたとき
  • 治療のために歯を抜いた(抜歯した)後

痛みは、歯が浮くような、あるいは鈍く押されるような感覚が中心です。 通常は調整してから2〜3日後がピークで、その後自然に和らぎます。

矯正中の食事制限や会話(滑舌)への影響

矯正装置をつけると、毎日の食事や会話に少し慣れが必要です。 しかし、ちょっとした工夫で、快適に過ごすことができます。

【食事で気をつけること】 ワイヤー矯正の場合、装置が壊れたり外れたりしないよう、注意が必要です。

  • 避けたほうがよい食べ物の例
    • 硬いもの:せんべい、ナッツ、氷、りんごの丸かじり
    • くっつきやすいもの:ガム、キャラメル、おもち
    • 絡みやすいもの:ほうれん草やえのきなどの繊維質な野菜

一方、マウスピース矯正は食事の際に取り外せるため、食事制限はありません。 ただし、装置をつけたまま色の濃い飲み物を飲むと、装置が変色します。 コーヒーや紅茶、カレーなどを飲食する際は、必ずマウスピースを外しましょう。

【会話(滑舌)への影響】 装置をつけたばかりの頃は、舌が装置に当たり、少し話しにくく感じることがあります。 特にサ行やタ行が発音しにくいかもしれませんが、これは一時的なものです。 ほとんどの方は1〜2週間ほどで慣れて、普段通りに話せるようになります。

虫歯や歯周病のリスクと効果的なセルフケア方法

矯正中は装置の周りに食べかすが残りやすく、虫歯などのリスクが高まります。 特にマウスピース矯正では、装置で歯が覆われるため注意が必要です。 唾液によるお口の中の自浄作用が働きにくくなり、細菌が増えやすい環境になります。 きれいな歯並びを手に入れるためにも、毎日の丁寧なセルフケアが欠かせません。

治療後の後戻りを防ぐ保定装置(リテーナー)の重要性

矯正治療で歯並びがきれいになっても、それで終わりではありません。 治療後に何もしないと、歯は元の位置に戻ろうとします。 この現象を「後戻り」と呼びます。

後戻りが起きるのは、歯の周りの骨や歯茎が、まだ新しい位置で安定していないためです。 歯を動かす「骨のリモデリング」は、治療後も続いています。 歯の周りの組織が新しい位置をしっかりと記憶するまで、支えが必要です。

この後戻りを防ぐために絶対に必要なのが、「保定装置(リテーナー)」です。 リテーナーは、いわば「歯並びのギプス」のようなものです。 きれいになった歯並びをその場所に固定し、安定させる大切な役割を果たします。

リテーナーの主な種類

  • 取り外し式  ご自身でつけ外しができるマウスピースタイプや、プレートにワイヤーがついたタイプがあります。
  • 固定式  歯の裏側に細いワイヤーを直接接着するタイプで、自分で取り外すことはできません。

まとめ

今回は、歯列矯正を始める前の準備から、装置の装着、そして治療を終えた後までの一連の流れをご紹介しました。

精密な検査に基づいて、あなただけの治療計画が立てられます。 痛みや食事など、治療中のさまざまな不安にも対処法があるので、安心して治療を進めることができます。

きれいな歯並びを手に入れ、それを長く保つためには、歯科医師と二人三脚で進める治療計画と、治療後の保定期間がとても大切になります。

参考文献

  1. Ferreira M, Costa H, Veiga N, Correia MJ, Gomes ATPC, Lopes PC. “Do Clear Aligners Release Toxic Chemicals?-A Systematic Review.” Journal of functional biomaterials 16, no. 5 (2025): .
  2. Kaiser AH, Bourauel C. “Towards a reduced order model of the periodontal ligament.” Scientific reports 15, no. 1 (2025): 5779.
  3. Men X, Chiou WC, Li X, Li Q, Chen X, Zhang K, Jiang X, Chen S. “Klotho senses mechanical stimuli and modulates tension-induced osteogenesis.” Bone 195, no. (2025): 117464.
  4. Wu B, Hu K, Yang F, Lu Y, Jiang D, Yi Y, Yan B. “[Relationship between fluid shear stress in alveolar bone under orthodontic forces and bone remodeling rate].” Hua xi kou qiang yi xue za zhi = Huaxi kouqiang yixue zazhi = West China journal of stomatology 43, no. 2 (2025): 190-196.
  5. Topuria M, Zavradashvili N, Nakudashvili N, Sharashenidze A, Maminaishvili T, Tsiklauri S, Turabelidze-Robaqidze S, Chkhitauri L, Sanikidze T. “NASAL SEPTUM AND THE ROLE OF SURGICAL INTERVENTIONS IN SYSTEMIC HEALTH.” Georgian medical news, no. 362 (2025): 152-159.

追加情報

[title]: Do Clear Aligners Release Toxic Chemicals?-A Systematic Review.

透明アライナーからの有害化学物質の放出に関する系統的レビュー 【要約】

  • 透明アライナーは、歯列不正を効果的に治療する近代的な矯正治療法である。
  • 臨床的な副作用としては、口腔粘膜の軽い炎症、局所的な炎症、過敏症などが報告されている。
  • ポリウレタンやPET-Gなどの高度なポリマー材料が使用されているが、化学物質の放出の可能性に関する懸念が残る。
  • PubMed、Scopus、Cochraneなどの電子データベースで広範な系統的検索を行い、関連データを含む論文を特定した。
  • PRISMAガイドラインに従って、413報の候補論文から7報の論文を選定しレビューを行った。
  • 結果として、透明アライナーは一般的に安全であるが、熱可塑性材料からの化学物質の溶出、唾液の流れの減少による細菌の蓄積、軽度の炎症反応に関する懸念が残る。
  • 多くの材料は生体適合性を持つものの、一部は中等度の細胞毒性を示し、患者の口腔健康に影響を与える可能性がある。
  • 材料組成の継続的な研究と改善が必要である。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40422837

[quote_source]: Ferreira M, Costa H, Veiga N, Correia MJ, Gomes ATPC and Lopes PC. “Do Clear Aligners Release Toxic Chemicals?-A Systematic Review.” Journal of functional biomaterials 16, no. 5 (2025): .

[title]: Towards a reduced order model of the periodontal ligament.

【要約】

  • ブタの下顎小臼歯を用いたin vitro実験に基づき、歯列矯正による歯の移動初期段階における歯周靭帯の反応シミュレーションについて記述している。
  • 歯周靭帯の初期反応は、多孔質粘弾性超弾性モデルでシミュレーションできる。基質には、圧縮可能な材料のための超弾性構成モデルが用いられた。
  • パラメータ同定を容易にするために、低次元モデルと最適補間メタモデルが用いられた。
  • 同定された構成モデルのパラメータは、発表されている値とよく一致しており、歯周靭帯の高い初期圧縮性を示している。これは、歯周靭帯内の血管系の圧縮性によるものと考えられる。
  • 無次元解析により、粘弾性緩和が進むにつれて、多孔質弾性挙動は徐々に消失することが示唆された。これはシミュレーションでも観察され、物理的に妥当な範囲内で多孔質弾性モデルのパラメータを変えることで確認された。
  • 歯槽骨の透過性は、多孔質弾性による歯周組織における間隙流体の流れに大きな影響を与える。
  • 生体内の歯槽骨の穿孔は、主要な負荷状況に最適化するために局所的に適応する可能性があると論じられている。
  • シミュレーションでは網羅されていない、ひずみ速度硬化効果が観察されており、今後の調査対象となる可能性がある。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39962174

[quote_source]: Kaiser AH and Bourauel C. “Towards a reduced order model of the periodontal ligament.” Scientific reports 15, no. 1 (2025): 5779.

[title]: Klotho senses mechanical stimuli and modulates tension-induced osteogenesis.

Klothoは機械的刺激を感知し、張力誘導性骨形成を調節する 【要約】

  • 歯の矯正移動(OTM)において、繊細な外部メカノセンシング、効率的な細胞内メカノトランスダクション、効果的な歯槽骨リモデリングが基礎となる。歯根膜幹細胞(PDLSCs)は、矯正治療中に機械的刺激に耐え、生体力学的シグナルに応答する主要な細胞と考えられている。しかし、矯正力誘導性メカノシグナリングとPDLSCsにおける骨形成の細胞・分子メカニズムは未だ不明な点が多い。
  • 本研究では、老化抑制因子であるKlothoが、矯正力によって引き起こされる機械的シグナリングカスケードと関連し、歯槽骨リモデリングにさらに寄与するという仮説を立てた。
  • その結果、OTM中の張力側では、Klothoの発現が細胞骨格-核を介したエピジェネティックな修飾を介して顕著にアップレギュレートされ、骨形成分化と一致することが明らかになった。
  • さらに、Klotho欠損は、NFκBおよびPI3K/Akt依存的な様式で、張力誘導性の新骨形成を損なう。
  • 注目すべきは、RNAシーケンス(RNA-seq)の結果と標的化された力の適用実験により、Klothoは外部ストレスの下流エフェクターとして機能するだけでなく、初めて機械的シグナリングの上流レギュレーターとしても機能することが明らかになった。
  • 要約すると、本研究はメカノトランスダクションと歯槽骨形成におけるKlothoの不可欠な役割を明らかにした。これは、将来の研究において細胞老化と機械的力を結びつける潜在的なターゲットを提供し、矯正力誘導性歯の移動と骨リモデリングに関する新たな知見を提供する。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40118264

[quote_source]: Men X, Chiou WC, Li X, Li Q, Chen X, Zhang K, Jiang X and Chen S. “Klotho senses mechanical stimuli and modulates tension-induced osteogenesis.” Bone 195, no. (2025): 117464.

[title]: [Relationship between fluid shear stress in alveolar bone under orthodontic forces and bone remodeling rate].

【要約】

  • 本研究は、矯正力下における歯槽海綿骨内での流体流れの違いを調査し、流体せん断応力と骨リモデリングの関係を解明することを目的とした。これは矯正歯移動の生体力学的メカニズムを理解するための基礎となる。
  • ヒト歯槽骨サンプルを用いた応力緩和試験を行い、プロニー級数を使用して材料パラメータを決定した。その後、歯槽骨の逆モデルを開発し、数値シミュレーションにより海綿骨内の流体流れを計算した。同時に、ラットを用いた歯移動モデルを作成し、異なる部位における骨リモデリング速度の変化を調べた。
  • ヒトとラットの海綿状歯槽骨の微細構造分布は類似していた。骨容積分率と骨梁厚は歯根頸部から歯根頂部にかけて徐々に減少し、骨梁間隙は徐々に増加した。矯正力の影響下では、海綿骨内の流体せん断応力は部位によって異なり、歯根頂部で最も高く、0~0.9366 Paの範囲であった。さらに、ラットの歯移動モデルでは、歯根頂部で骨リモデリングがより速く起こることが示された。
  • 流体刺激は歯槽骨リモデリングに著しい影響を与え、歯槽骨の構造変化を引き起こし、最終的に構造リモデリングの速度を調節する。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40132964

[quote_source]: Wu B, Hu K, Yang F, Lu Y, Jiang D, Yi Y and Yan B. “[Relationship between fluid shear stress in alveolar bone under orthodontic forces and bone remodeling rate].” Hua xi kou qiang yi xue za zhi = Huaxi kouqiang yixue zazhi = West China journal of stomatology 43, no. 2 (2025): 190-196.

[title]: NASAL SEPTUM AND THE ROLE OF SURGICAL INTERVENTIONS IN SYSTEMIC HEALTH.

鼻中隔と外科的介入の全身健康への役割 【要約】

  • 鼻中隔彎曲症(DNS)と下鼻甲介肥大症(ITH)は、慢性鼻閉塞の最も一般的な解剖学的要因である。
  • これらは、症状の軽減のために行われてきたが、全身の生理機能、精神健康、医療資源の利用への広範な影響が明らかになっている。
  • 本論文では、DNSとITHの解剖学的および病態生理学的関連性、その全身的および精神社会的な結果、外科的矯正の結果、および医療システムへの影響に関する現在の証拠を統合的にレビューした。
  • 鼻閉塞とその外科的治療に関連する臨床的、心理的、経済的結果を強調した包括的な文献分析を実施した。
  • 特に、生活の質、合併症、鼻中隔形成術と下鼻甲介形成術の費用対効果、および各国における医療費用の支払いモデルの変動を評価した研究に注目した。
  • 鼻の構造的閉塞は、正常な空気の流れと呼吸パターンを妨げ、睡眠障害、交感神経系の過剰活動、認知および感情の調節不全に寄与する。
  • 鼻中隔形成術と下鼻甲介形成術などの外科的介入は、鼻機能の回復、全身的健康パラメーターの改善、および精神社会的な幸福の向上に効果的であることが示されている。
  • さらに、これらの処置は、長期的な医療利用の削減と価値に基づくケアの成果の改善に関連している。
  • 鼻中隔と下鼻甲介の異常を標的とした鼻手術は、局所的な鼻機能を超えた多次元の利点をもたらす。
  • 全身健康、精神的健康、医療効率におけるそれらの役割を認識することが不可欠である。
  • 公的資金によるシステム(例:英国、ドイツ、カナダ)から混合型または自己負担モデル(例:米国、ジョージア州、インド)まで、アクセスと資金調達における国際的な不平等に対処することも、公平でエビデンスに基づいた健康政策を進め、患者の転帰を最適化するために重要である。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40737663

[quote_source]: Topuria M, Zavradashvili N, Nakudashvili N, Sharashenidze A, Maminaishvili T, Tsiklauri S, Turabelidze-Robaqidze S, Chkhitauri L and Sanikidze T. “NASAL SEPTUM AND THE ROLE OF SURGICAL INTERVENTIONS IN SYSTEMIC HEALTH.” Georgian medical news , no. 362 (2025): 152-159.