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口臭の原因は舌苔だけじゃない!? 歯科医が教える根本対策
マスク生活で「もしかして自分の息、臭うかも?」と不安になった経験はありませんか。実は、ある調査では4人に1人が口臭で悩んでいるというデータも。あなただけの特別な悩みではないものの、誰にも相談しにくいデリケートな問題ですよね。
その原因を、舌の汚れ(舌苔)や歯磨き不足だけだと思っていませんか?口臭の悩みのうち8割以上はお口のケアで改善できる一方、中には糖尿病や腎臓病といった、思わぬ体の不調が隠れているサインかもしれません。口臭は、あなたの体が発する重要なメッセージなのです。
この記事では、歯科医が口臭の本当の原因と、臭いを元から断つための根本的な対策を徹底解説します。正しい知識でセルフケアを見直し、長年の悩みをスッキリ解消しましょう。
口臭を引き起こす主な原因は3種類
口臭は、大きく次の2つに分けられます。
- 生理的口臭 誰にでも起こる自然な口臭
- 病的口臭 何らかの病気が隠れている口臭
さらに、病的な口臭はお口の中の問題と、体の病気が原因の場合があります。 ご自身の口臭がどのタイプかを知ることが、悩みを解決する第一歩です。 それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
歯周病・舌苔・虫歯など口の中が原因の病的口臭
口臭の悩みのうち、実に8割以上がお口の中に原因があると言われています。 つまり、お口のケアをしっかり行うことで、改善できる可能性が高いのです。
主な原因には、次のようなものがあります。
- 歯周病 歯周病菌は、お口の中のタンパク質を分解するときにガスを出します。 この「メチルメルカプタン」というガスは、玉ねぎが腐ったような強い臭いが特徴です。 ある研究では、歯周病が進んでいる人ほど口臭を強く感じていました。 さらに、味覚も低下する傾向が報告されています。 歯周病を治療すると、口臭だけでなく食事をおいしく感じる力も戻るかもしれません。
- 舌苔(ぜったい) 舌の表面に付く、白い苔のようなものを舌苔と呼びます。 これは細菌や食べカス、お口の細胞の死骸などが集まった塊です。 口臭の原因となる細菌にとって、舌苔は増殖しやすい場所になってしまいます。
- 虫歯 大きな虫歯で穴が開くと、そこに食べ物が詰まりやすくなります。 中で細菌が食べカスを分解し、腐ったような臭いを放ちます。 歯の神経まで虫歯が達すると、さらに強い臭いの原因になります。
このほか、古くなったり、お口に合っていなかったりする詰め物や被せ物のすき間に汚れが溜まることも、口臭の原因となります。
糖尿病や腎臓病など内臓の不調がサインとなる病的口臭
毎日丁寧に歯を磨いているのに、口臭がなかなか良くならない。 その場合、お口の中ではなく、体の病気が原因かもしれません。 口臭は、思わぬ病気を知らせるサインになることがあるため注意が必要です。
病気の種類 | 特徴的な口臭の例 |
---|---|
糖尿病 | 果物が腐ったような、甘酸っぱい「アセトン臭」がすることがあります。 |
腎臓病 | 体の老廃物であるアンモニアがうまく排出されず、ツンとした「アンモニア臭」がすることがあります。 |
肝臓病 | ドブやカビのような、ネズミの尿に似た「アンモニア臭」がすることがあります。 |
消化器系の病気 | 胃炎や胃食道逆流症などにより、食べ物が腐ったような酸っぱい臭いがすることがあります。 |
鼻や喉の病気 | 副鼻腔炎(蓄のう症)などがあると、膿の生臭い臭いが口から感じられることがあります。 |
実際に、若い慢性腎臓病の患者さんは口臭で悩んでいることが多いです。 その原因の一つは「ジメチルスルフィド」というガスであることが研究で示されています。
このように、特定の病気は特有の臭いを伴うことがあります。 気になる口臭が続く場合は、歯科だけでなく内科や耳鼻咽喉科への相談も大切です。
食べ物・ストレス・加齢が原因の生理的口臭
病気が原因ではない、誰にでも起こりうる口臭を「生理的口臭」と呼びます。 これは一時的なものが多く、生活習慣を見直すことで改善が期待できます。
- 食べ物や飲み物、嗜好品による口臭 ニンニクやニラ、お酒、コーヒーなどは、それ自体が強い臭いを持っています。 また、タバコも「タバコ臭」という特有の口臭の原因となります。 これらは一時的なもので、時間が経つと自然におさまります。
- ストレスや緊張による口臭 強いストレスや緊張を感じると、自律神経のバランスが乱れます。 すると、お口を潤す唾液の分泌が減ってしまいます。 唾液が少なくなるとお口の中で細菌が増え、口臭が強くなるのです。
- 加齢による口臭 年齢を重ねると、唾液の分泌量が自然に減少しやすくなります。 また、お口の中にいる細菌のバランスが変化することもわかっています。 この細菌バランスの乱れは「ディスバイオシス」と呼ばれます。 近年の研究では、この乱れが口臭だけでなく、歯周病や全身の様々な病気とも関連することが指摘されています。
その他、朝起きた直後(モーニングブレス)や空腹時なども、唾液が減るため生理的口臭が強くなりやすいタイミングです。
マスク生活で気になる?唾液減少によるドライマウス
マスクをする生活が当たり前になってから、「自分の口臭が気になる」と感じる方が増えました。 これは、マスクをしていると無意識のうちに口で呼吸しがちになるためです。 口呼吸は、お口の中を乾燥させ、「ドライマウス(口腔乾燥症)」を引き起こします。
唾液には、お口にとって非常に大切な働きがあります。
- 自浄作用 食べカスや細菌を洗い流す働き
- 抗菌作用 細菌が増えるのを抑える働き
ドライマウスで唾液が減ると、これらの働きが弱まってしまいます。 その結果、お口の中で細菌がどんどん増殖します。 そして、食べカスなどを分解して臭いの強いガス(揮発性硫黄化合物)を発生させるため、口臭が強くなるのです。
ドライマウスは口臭だけでなく、虫歯や歯周病のリスクも高めます。 体の病気が原因で口臭が起こる場合でも、お口のケアで舌の汚れが減ると、口臭が改善したという報告もあります。 体の状態にかかわらず、お口の中を潤し、清潔に保つことは非常に重要です。
舌の色や歯茎からの出血でわかるお口の危険サイン
口臭は、お口の中が「助けて!」と送っている大切なサインかもしれません。 鏡を使って、ご自身の舌や歯茎の状態をじっくり見てみましょう。
【お口の危険サイン チェックリスト】
- 舌が真っ白、または黄色くなっていませんか?
- 健康な舌は、きれいなピンク色をしています。
- 表面にうっすらと白い苔(こけ)が付いているのは正常です。
- しかし、この苔が分厚く真っ白だったり、黄色くなっていたりするのは要注意。
- この苔は「舌苔(ぜったい)」と呼ばれ、口臭を作る細菌のすみかです。
- 研究でも、舌苔をきれいにすると口臭が改善することがわかっています。
- 歯磨きのときに血が出ませんか?
- 健康な歯茎は、引き締まった薄いピンク色です。
- もし歯茎が赤くブヨブヨに腫れていたり、歯磨きで血が出たりするのは歯周病のサインです。
- 歯周病菌は、玉ねぎが腐ったような強烈な臭いのガスを出します。
- 無意識に口がポカンと開いていませんか?
- 口で呼吸する「口呼吸」は、お口の中をカラカラに乾燥させます。
- 乾燥したお口は細菌が繁殖しやすい環境となり、口臭の原因になります。
- ある研究では、口呼吸や夜間の歯ぎしりも、口臭の原因として多く報告されています。
これらのサインは、お口の健康状態を知るためのバロメーターです。 一つでも当てはまる場合は、早めに歯医者さんに相談することをおすすめします。
口臭の悩みで受診すべき診療科(歯科・内科・耳鼻咽喉科)
口臭の原因はいろいろあるので、どこに相談すれば良いか迷うかもしれませんね。 基本的には、次の順番で受診することをおすすめします。
① まずは「歯医者さん(歯科)」へ 口臭の悩みのうち、8割以上はお口の中に原因があります。 歯周病や虫歯、舌の汚れなどがないか、専門的にチェックしてもらいましょう。 口臭測定器がある歯医者さんなら、より詳しい検査が受けられます。
② 歯が原因でないなら「お医者さん(内科)」へ 歯医者さんで「お口に問題はない」と言われたのに口臭が続く場合。 その場合は、体の病気がサインを出しているのかもしれません。 糖尿病や腎臓病、胃や腸の病気などが原因のこともあります。 歯医者さんから紹介状をもらって、内科を受診しましょう。
③ 鼻や喉の症状があれば「耳鼻科(耳鼻咽喉科)」へ 鼻づまりがひどかったり、喉に違和感があったりしませんか。 蓄膿症(ちくのうしょう)などで鼻や喉に膿がたまると、それが臭うことがあります。 また、鼻づまりによる口呼吸も、お口を乾燥させ口臭を強くします。 心当たりがあれば、耳鼻科で相談してみましょう。
口臭は、体からの大切なメッセージです。 一人で抱え込まず、まずは信頼できる専門家に相談してくださいね。
歯科医が教える口臭の根本対策と再発予防
いろいろな口臭ケアを試しても良くならない、とお悩みではありませんか。 口臭は、ただ臭いを隠すだけでは根本的な解決にはなりません。 大切なのは、口臭の原因をしっかりと突き止め、それを取り除くことです。
ここでは、歯科医院で行う専門的な治療や、ご自身でできる予防策を解説します。 原因に合わせた正しい対策を続けることが、お口の健康を取り戻す近道です。 さわやかな息を維持し、自信のある毎日を送りましょう。
舌を傷つけないための舌ブラシの選び方と正しい使い方
口臭の大きな原因の一つが、舌の表面につく「舌苔(ぜったい)」です。 これは細菌のすみかであり、臭いのもととなるガスを作り出します。 だからといって、硬い歯ブラシでゴシゴシこするのは絶対にやめましょう。
舌の表面はとてもデリケートな組織でできています。 特に、味を感じるための大切な細胞「味蕾(みらい)」を傷つける恐れがあります。 舌のケアには、専用の「舌ブラシ」を正しく使うことが重要です。
【舌ブラシ選びのポイント】
- 素材 舌を傷つけにくい、シリコンや柔らかいゴム製のものがおすすめです。
- 形 ブラシタイプや、ヘラのように汚れをかき出すタイプがあります。 ご自身が使いやすいと感じるものを選びましょう。
【舌の正しいケア方法】
- タイミング 1日1回、朝起きてすぐなど、舌苔が気になる時に行いましょう。 やりすぎは舌を傷つけるので禁物です。
- 方法 鏡で舌の位置を確認しながら、ブラシを舌の奥の方に軽く当てます。 「おえっ」となるのを防ぐため、息を軽く止めるのがコツです。
- 動かし方 奥から手前に向かって、必ず一方向にゆっくり動かします。 力を入れすぎず、なでるような優しい力加減がポイントです。
- 回数 2〜3回程度で十分です。汚れが取れないからと、何度もこすらないでください。
正しいケアは口臭予防だけでなく、味覚を正常に保つためにも大切です。 お口の中の細菌バランスを整えるためにも、優しい舌ケアを習慣にしましょう。
歯周病治療による原因除去と定期メンテナンスの重要性
ご自身でケアを頑張っているのに口臭が改善しない。 その場合、自分では気づきにくい歯周病が隠れている可能性があります。 歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨が細菌によって壊される病気です。 そして、玉ねぎが腐ったような強い口臭(メチルメルカプタン)を発生させます。
歯周病が原因の場合、歯科医院での根本的な治療が必要です。
- 歯周ポケットの検査 歯と歯ぐきの間の溝の深さを測り、歯周病の進行度を調べます。
- スケーリング・ルートプレーニング(SRP) 専用の器具で、歯の表面や根っこにこびりついた歯石や細菌の膜を取り除きます。
ある研究では、こうした歯周病の専門的な治療が素晴らしい効果をもたらすことが報告されています。 治療によって、患者さんが自分で感じる口臭が大きく改善したのです。 さらに驚くことに、低下していた味覚や嗅覚も改善する可能性が示されました。 これは、臭いの原因菌が減ったことで、お口全体の環境が良くなったためです。 歯周病を治療すると、口臭の悩みが消えるだけでなく、毎日の食事がより美味しく感じられるようになるかもしれません。
治療後も、良い状態を保つためには定期的なメンテナンスが欠かせません。 専門家によるクリーニング(PMTC)と日々の正しい歯磨きを続けること。 これが、歯周病と口臭の再発を防ぐために重要な方法です。
食生活の改善と唾液腺マッサージによるドライマウス対策
お口の中が乾く「ドライマウス(口腔乾燥症)」も、口臭の大きな原因です。 唾液には、お口の中の汚れを洗い流したり、細菌が増えるのを抑えたりする大切な働きがあります。
- 自浄作用 食べカスや細菌を洗い流す働き
- 抗菌作用 細菌が増えるのを抑える働き
唾液が減るとこの働きが弱まり、細菌が増えて口臭が強くなってしまいます。 加齢やストレス、また全身の病気で飲んでいるお薬の影響で唾液が減ることもあります。 今日からできるドライマウス対策をご紹介します。
【食生活の改善】
- よく噛む 噛む回数が増えると、唾液の分泌が促されます。 少し歯ごたえのある食材を食事に取り入れるのがおすすめです。
- 水分補給 こまめに水やお茶を飲み、お口の中を常に潤しましょう。
【唾液腺マッサージ】 唾液は「唾液腺」という場所で作られます。 ここを優しくマッサージすると、唾液の分泌を助けることができます。
- 耳下腺(じかせん)マッサージ 耳の前あたりに指をあて、後ろから前に向かって円を描くように優しくもみます。
- 顎下腺(がっかせん)マッサージ あごの骨の内側の柔らかい部分に指をあて、耳の下からあごの先へ優しく押します。
- 舌下腺(ぜっかせん)マッサージ あごの真下から、舌を上に押し上げるように、両手の親指でゆっくりと圧迫します。
まとめ
今回は、口臭の様々な原因と、その根本的な対策についてご紹介しました。口臭は舌の汚れだけでなく、自分では気づきにくい歯周病や体の不調、生活習慣など、多くの要因が隠されています。
大切なのは、臭いを一時的にごまかすのではなく、原因に合わせた正しいケアを続けることです。口臭の悩みの8割以上はお口の中に原因があるため、まずは優しい舌ケアや丁寧な歯磨きから始めてみましょう。
それでも改善しない、あるいは不安が続く場合は、一人で抱え込まずに、まずは歯科医院で相談してみてください。専門家と一緒に原因を突き止めることが、悩みを解決する一番の近道です。さわやかな息で、自信のある毎日を取り戻しましょう。
参考文献
- Goswami M, Bhatara S, Bhatara M, Singh SR. “Parental perspectives on oral health-related quality of life in children and adolescents with autism spectrum disorder: A systematic review.” Special care in dentistry 44, no. 3 (2024): 700-718.
- Tastan Eroglu Z, Kalender ME, Ucan Yarkac F, Babayigit O, Ozkan Sen D. “Impact of non-surgical periodontal therapy on self-perceived halitosis, and the senses of smell and taste: a prospective clinical study.” BMC oral health 25, no. 1 (2025): 321.
- Song Y, Kim J, Choi Y, Lee JH, Cheong J, Park W. “Oral hygiene changes & compliance with telemonitoring device in individuals with intellectual/developmental disabilities: a randomized controlled crossover trial.” Clinical oral investigations 28, no. 9 (2024): 471.
- Hoefer KC, Barbe AG, Adams A, Schoppmeier C, Wicht MJ, Weber LT, Noack MJ, Graf I. “Halitosis in young patients with chronic kidney disease: findings from a randomized controlled trial.” Head & face medicine 20, no. 1 (2024): 32.
- Deng L, Guan G, Cannon RD, Mei L. “Age-related oral microbiota dysbiosis and systemic diseases.” Microbial pathogenesis 205, no. (2025): 107717.
追加情報
[title]: Parental perspectives on oral health-related quality of life in children and adolescents with autism spectrum disorder: A systematic review.
自閉症スペクトラム障害を持つ子供と青少年の口腔保健に関する親の視点:システマティックレビュー 【要約】
- 背景
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ子供は、口腔保健に関連する困難に直面し、日常生活に悪影響を及ぼし、全体的な生活の質を著しく損なう可能性があります。
- ASDを持つ子供の主要な介護者は、口腔保健を提供し求めることにおいて重要な役割を果たしています。したがって、彼らの視点を研究し、子供の口腔保健とその生活の質への影響を調査することは重要です。
- 目的
- 自閉症の子供の口腔保健に関連する生活の質に対する親の認識を探ること。
- 方法
- 適切なMeSH用語、キーワード、およびその他の用語を使用して、Medline(PubMed経由)、Embase、Google Scholar、Scopus、およびLILACSで2003年1月から2023年5月に発表された論文をシステマティックに電子的および手動で検索しました。
- PRISMAガイドラインに従って、4つのフェーズの研究選択プロセスを実施し、データ抽出と統合を抽出フォームを使用して行いました。選択された研究は、QATSDDとCrombieの評価ツールを使用して厳密に評価されました。 kappaを用いた線形重み係数による間柄者同意の評価も行いました。
- 結果
- 885件の結果のうち、2つの選択フェーズ後に15件の研究がレビューに含まれ、研究の特性は表形式でまとめられました。研究の品質はかなり異なり、42の可能なQATSDDスコアのうち、個々の研究のスコアは14から40まで範囲がありました。7つの基準のバイアスリスクは低いことが判明しました。
- 結論
- ASDを持つ子供のOHRQoLに対する親の認識は低く、最も認識される影響は、子供の機能的および社会的な側面にあります。親介護者認識アンケートが最も一般的に使用されました。最も頻繁な症状には、口臭、食物の詰まり、口呼吸、夜間の歯ぎしりが含まれます。家族の影響と兄弟のOHRQoLへの影響も研究されました。 【著作権情報】
- 2023 Special Care Dentistry Association and Wiley Periodicals LLC. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38156791
[quote_source]: Goswami M, Bhatara S, Bhatara M and Singh SR. “Parental perspectives on oral health-related quality of life in children and adolescents with autism spectrum disorder: A systematic review.” Special care in dentistry : official publication of the American Association of Hospital Dentists, the Academy of Dentistry for the Handicapped, and the American Society for Geriatric Dentistry 44, no. 3 (2024): 700-718.
[title]: Impact of non-surgical periodontal therapy on self-perceived halitosis, and the senses of smell and taste: a prospective clinical study.
非外科的歯周治療が自己認知される口臭、嗅覚、味覚に及ぼす影響:前向き臨床研究 【要約】
- 歯周病は口臭を引き起こし、味覚と嗅覚を損なう可能性がある。非外科的歯周治療は口臭軽減に効果があることが知られているが、味覚と嗅覚への影響についてはあまり研究されていない。本研究は、自己認知される口臭、味覚、嗅覚に影響を与える因子、および歯周治療後のこれらの知覚の変化を調査することを目的とした。
- 183人の参加者を、歯周炎患者61人、歯肉炎患者61人、歯肉健康者61人の3群に分け、視覚的アナログ尺度(VAS)を用いて、歯周パラメーターと自己認知される口臭、味覚、嗅覚を治療前と非外科的歯周治療後4週間で評価した。ロバスト回帰分析を用いて、ベースラインVAS評価に影響を与える独立変数を評価した。
- 歯周炎群は、味覚知覚が最も低く、自己認知される口臭スコアが最も高かった(p<0.05)。味覚知覚は、4mm以上の歯周ポケットと負の関連があった(p=0.002)。プラーク指数と自己認知される口臭の間にも正の関連が認められた(p=0.030)。治療後、歯周パラメーターの改善と並行して、すべての群で味覚知覚が有意に改善した(p<0.05)。さらに、自己認知される口臭は有意に減少した(p<0.05)。嗅覚知覚の改善は、歯肉健康群と歯周炎群で統計的に有意であった(p<0.05)。
- 歯周病は化学感覚障害の発症に寄与する可能性がある。歯周治療の主な目標は疾患管理であるが、味覚と嗅覚機能の改善にもつながる可能性がある。口腔衛生習慣は、これらの改善において重要な役割を果たす。しかし、この主題に関するさらなる研究が必要である。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40022178
[quote_source]: Tastan Eroglu Z, Kalender ME, Ucan Yarkac F, Babayigit O and Ozkan Sen D. “Impact of non-surgical periodontal therapy on self-perceived halitosis, and the senses of smell and taste: a prospective clinical study.” BMC oral health 25, no. 1 (2025): 321.
[title]: Oral hygiene changes & compliance with telemonitoring device in individuals with intellectual/developmental disabilities: a randomized controlled crossover trial.
知的・発達障害者の口腔衛生管理における遠隔モニタリングデバイスの使用に関するランダム化クロスオーバー試験 【要約】
- 本研究は、知的・発達障害者における遠隔モニタリングデバイスによる口腔衛生管理の効果と口腔衛生の促進における役割を評価することを目的としている。
- 参加者は、遠隔モニタリングデバイスを最初に使用したグループと、後に使用したグループの2つのグループに分けられ、1ヶ月のウォッシュアウト期間を設けた。
- プラク指数、口臭、口腔マイクロバイオータの変化、保護者のアンケート回答を2つのグループ間で比較した。
- 結果として、遠隔モニタリングデバイスを使用しているグループでは、プラク指数が有意に低下し、歯ブラシの使用頻度、時間、協力度が増加した。
- しかし、手動歯ブラシに切り替えると、これらの指標は低下した。
- 口腔マイクロバイオータには、これらの異なる時点間で有意な差はなかった。
- この研究は、遠隔モニタリングデバイスがプラク指数を効果的に減らし、歯ブラシの使用頻度、時間、協力を向上させることを示している。
- しかし、これらの利点は手動歯ブラシに切り替えると低下する。
- 遠隔モニタリングデバイスの使用に対する満足度とコンプライアンスを評価するために、フォローアップが必要である。
- 知的・発達障害者の口腔衛生管理に遠隔モニタリングデバイスを使用すると、口腔衛生の質を向上させることができる。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39110259
[quote_source]: Song Y, Kim J, Choi Y, Lee JH, Cheong J and Park W. “Oral hygiene changes & compliance with telemonitoring device in individuals with intellectual/developmental disabilities: a randomized controlled crossover trial.” Clinical oral investigations 28, no. 9 (2024): 471.
[title]: Halitosis in young patients with chronic kidney disease: findings from a randomized controlled trial.
慢性腎臓病の若年患者における口臭:無作為化比較試験の結果 【要約】
- 背景: 慢性腎臓病(CKD)は口腔健康に直接影響を与える。しかし、若いCKD患者における口臭と歯科予防に対する影響に関するデータは限られている。したがって、この無作為化比較試験の一環として、集中的または標準的な口腔予防処置を受ける若いCKD患者の口臭について調査することが目的とされた。
- 方法: CKDの若年患者30人(平均年齢14.2歳、男性16人、女性14人)で3つの揮発性硫黄化合物(硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルスルフィド)の測定を行った。呼気サンプルは3ヶ月と6ヶ月後に採取され、選択的ガスクロマトグラフィー(OralChroma)で分析された。舌コーティング(Winkel指数)および局所炎症または口腔衛生を評価する臨床指標(Papillary Bleeding IndexおよびQuigley-Hein Index)も評価された。詳細なアンケート調査を行い、患者およびその母親、看護師から口臭の感じ方について直接の引用を記録した。患者は集中的なニーズに基づく口腔保健措置(口腔予防プログラム、OPP)または一段階の標準的な予防措置(通常治療、TAU)に無作為に割り当てられた。
- 結果: 測定の3つの時点においてTAUとOPPの間で揮発性硫黄化合物のレベルに差はなかった(p > 0.05)が、OPPグループでは時間の経過とともにジメチルスルフィドと硫化水素の減少傾向がみられた。舌コーティングに関して両グループ間の差異を見ると、OPPグループでは基線と研究開始後3ヶ月間、TAUグループでは基線と研究開始後6ヶ月間で有意差が観察された(p < 0.05)。口臭の負担は頻繁に患者の母親と看護師から報告された。
- 結論: 若いCKD患者は定期的に口臭に悩まされ、それは主にジメチルスルフィドが原因である。予防措置は主に舌コーティングの減少に結果が現れた。
- 登録番号: ドイツ臨床試験登録(DRKS00010580) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38750491
[quote_source]: Hoefer KC, Barbe AG, Adams A, Schoppmeier C, Wicht MJ, Weber LT, Noack MJ and Graf I. “Halitosis in young patients with chronic kidney disease: findings from a randomized controlled trial.” Head & face medicine 20, no. 1 (2024): 32.
[title]: Age-related oral microbiota dysbiosis and systemic diseases.
加齢に伴う口腔内細菌叢のディスバイオシスと全身疾患 【要約】
- 口腔内細菌叢は健康維持に重要な役割を果たす人体内の微生物群集であり、高齢者では加齢に伴う変化が全身および口腔の健康障害と関連している。
- 高齢者の全身疾患に対する様々な薬物使用も、口腔疾患の発症に寄与する可能性がある。
- 口腔内細菌叢のディスバイオシス(不均衡)は、宿主の免疫応答の乱れや持続的な炎症とともに、様々な疾患の発症と進行に密接に関連している。
- 口腔内細菌叢のディスバイオシスは、う蝕、歯周病、口臭などの口腔疾患に関与し、アルツハイマー病、2型糖尿病、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、誤嚥性肺炎などの全身疾患とも関連付けられている。
- 本レビューは、アルツハイマー病、2型糖尿病、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、誤嚥性肺炎に焦点を当て、高齢者の健康転帰に口腔内細菌叢がどのように影響するかを探求することを目的とする。
- 口腔内細菌叢は、心血管疾患、代謝疾患、感染症、自己免疫疾患の管理における診断ツール、治療標的、予後バイオマーカーとしての可能性を秘めている。
- 高齢者の健康増進のためには、適切な口腔ケアと、全身疾患治療薬が口腔内細菌叢に及ぼす影響に関する理解を促進することが重要であると考えられる。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40403989
[quote_source]: Deng L, Guan G, Cannon RD and Mei L. “Age-related oral microbiota dysbiosis and systemic diseases.” Microbial pathogenesis 205, no. (2025): 107717.