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先天欠如歯がある場合の矯正治療

「お子さまの歯がなかなか生えてこない」「大人になってから歯が1本足りないと指摘された」そんな経験はありませんか?実は、生まれつき永久歯が少ない「先天欠如歯」は、日本人の約10人に1人に見られる決して珍しくない症状です。

「自分だけじゃない」と安心する一方で、そのままにしておくと歯並びや噛み合わせが悪化するなど、将来のお口の健康に影響を及ぼす可能性も。この記事では、先天欠如歯の原因から、ご自身の歯を活かす矯正治療をはじめとした様々な治療法まで詳しく解説します。あなたに合った解決策を見つけるための第一歩にしてください。

先天欠如歯の主な特徴3

「周りの子の歯は抜けたのに、うちの子はまだかな?」 「乳歯が抜けたのに、大人の歯がなかなか生えてこない」

お子さまの歯の生え変わりについて、このように感じたことはありませんか。 また、大人になってから歯医者さんでレントゲンを撮り、 「生まれつき永久歯が1本足りませんね」と言われ、 驚いた経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

これは「先天欠如歯(せんてんけつじょし)」と呼ばれる状態で、 生まれつき永久歯の数が少ないことを指します。 永久歯は通常、親知らずを除いて28本ありますが、 それよりも本数が少ない状態です。

遺伝が関係?歯が足りなくなる原因と発生割合

先天欠如歯がなぜ起こるのか、その詳しい原因はまだ完全には解明されていません。 しかし、いくつかの要因が複雑に関係していると考えられています。

  • 遺伝的な要因 ご両親やご兄弟、親戚に同じように歯が少ない方がいる場合、 遺伝が関係している可能性が考えられます。
  • 全身の病気の影響 からだ全体に関わる特定の病気が、 歯が作られる過程に影響を及ぼすことがあります。
  • お薬の副作用 お母さんのお腹の中にいるときに、 服用したお薬が影響する可能性も指摘されています。
  • 妊娠中の栄養不足 歯の元となる「歯胚(しはい)」が作られる時期に、 お母さんの栄養が不足していたことも一因と考えられます。
  • ウイルスなどへの感染 妊娠中にウイルスなどに感染したことが、 歯の形成に影響を与えることもあります。

特に、足りない歯が1〜2本の場合は遺伝以外の要因も多く、 10本以上など多数の歯が足りない場合は、 遺伝的な要因が強く関わっている可能性が高いとされています。

そして、この先天欠如歯は、実はそれほど珍しいものではありません。 日本小児歯科学会が行った大規模な調査では、 7歳以上の子どもたちのうち、約10人に1人(10.1%)に 先天欠如歯が見られたと報告されています。 これは、学校の1クラスに3〜4人くらいはいる計算になります。 ですから、「自分だけがおかしいのでは?」と、 過度に心配する必要はまったくありません。

乳歯が抜けても永久歯が生えてこない?好発部位と見つけ方

乳歯が抜けても永久歯が生えてこないのは、 永久歯のタネである「歯胚(しはい)」が、 生まれつき作られていないことが原因です。

通常、あごの骨の中では永久歯の歯胚が成長し、 下にある乳歯の根っこを少しずつ溶かしながら、 時間をかけて生え変わりの準備をします。 しかし、歯胚がないと乳歯の根が溶かされません。 そのため、大人になっても乳歯がそのまま残っているケースもあります。

先天欠如歯が起こりやすい場所(好発部位)は、ある程度決まっています。

  • 下のあごの第二小臼歯 前から数えて5番目の歯です。
  • 上のあごの側切歯 前から数えて2番目の歯です。
  • 上のあごの第二小臼歯 下のあごと同じく、前から5番目の歯です。
  • 下のあごの前歯 真ん中から1番目、または2番目の歯です。

ご家庭で先天欠如歯を確実に見つけることは難しいですが、 以下のようなサインがあれば、一度歯科医院で相談することをおすすめします。 レントゲン写真を撮ることで、あごの骨の中に永久歯の歯胚があるか、 正確に確認することができます。

【おうちでできるチェックリスト】

  • 周りの歯は抜けたのに、いつまでも抜けない乳歯がある
  • 乳歯が抜けてから、何か月も永久歯が生えてくる気配がない
  • 10歳を過ぎても、前歯が乳歯のままである
  • 13歳を過ぎても、奥歯が生え変わっていない

放置は危険!歯並びの悪化や噛み合わせの問題

先天欠如歯をそのままにしておくと、 見た目の問題だけでなく、お口全体の健康に さまざまな悪い影響を及ぼす可能性があります。 歯は1本1本が独立しているのではなく、 お互いに支え合い、チームとして機能しているからです。

  • 歯並びが悪くなる 歯がないスペースに向かって、隣の歯が倒れ込んできたり、 かみ合う相手のいない反対側の歯が伸びてきたりして、 全体の歯並びがガタガタになってしまうことがあります。
  • すきっ歯になる 歯と歯の間に隙間ができ、見た目が気になるだけでなく、 食べ物が挟まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
  • 噛み合わせの問題 正しく噛むことができず、食べ物がうまく噛み砕けなくなります。 また、顔の真ん中のラインが左右にずれてしまうこともあります。
  • 他の歯への負担が増える 本来28本で支えるべき噛む力を、少ない本数で支えるため、 残った歯に過剰な負担がかかり、その歯の寿命を縮める原因になります。
  • 発音への影響 歯の隙間から空気が漏れてしまい、「サ行」や「タ行」など、 特定の音が発音しにくくなることがあります。
  • あごへの影響 噛み合わせのバランスが悪い状態が長く続くと、 あごの関節に負担がかかり、「顎関節症」を引き起こすことがあります。 口が開きにくい、あごがカクカク鳴るなどの症状が出ます。

これらの問題は、すぐには現れず、 時間とともに少しずつ進行していくのが特徴です。 お子さまの歯で気になることがあれば、 問題が大きくなる前に、ぜひ一度歯科医師に相談してください。

先天欠如歯の主な治療法3

「生まれつき歯が足りない」とわかると、「これからどうすればいいの?」と、 とても不安な気持ちになるかもしれません。

しかし、心配しすぎる必要はありません。 現在の歯科医療には、そのお悩みを解決するための、 信頼できる治療法がいくつも用意されています。

大切なのは、それぞれの治療法の良い点と、 注意すべき点を正しく理解することです。 そして、あなたのお口の状態や年齢、 将来の希望に合った最適な方法を見つけることです。

ここでは、先天欠如歯の主な治療法である、「矯正治療」「ブリッジ」「インプラント」の3つについて、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。

矯正治療で歯の隙間を閉じる

矯正治療は、ご自身の他の歯を少しずつ動かして、 歯が足りない部分の隙間を閉じていく方法です。 人工の歯を入れるのではなく、 自分の歯だけで歯並びを完成させるのが大きな特徴です。

  • この治療法の良いところ(メリット)
    • 健康な歯を削る必要が一切ありません。
    • すべてご自身の歯なので、見た目やかみ合わせがとても自然です。
    • 人工物を使わないため、長期的に見ても安定しやすいです。
  • 知っておきたい注意点(デメリット)
    • 歯をゆっくり動かすため、治療期間が1年〜3年ほどかかります。
    • 他の方法に比べて、費用が高くなる傾向があります。

特に、あごの骨が成長途中にあるお子さんや、 歯の移動がスムーズに進みやすい20代くらいまでの方に、 よく選ばれる治療法です。 時間をかけて丁寧に歯を動かすことで、 理想的な歯並びとかみ合わせを目指します。

ブリッジで失った歯を補う

ブリッジは、足りない歯の両隣にある健康な歯を支え(土台)にして、 橋をかけるように一体型の人工の歯を固定する方法です。 比較的短い期間で治療を終えられるのが特徴です。

  • この治療法の良いところ(メリット)
    • 外科的な手術が必要ありません。
    • 治療期間が数週間から数か月と短く、早く機能を回復できます。
    • 使う素材によっては健康保険が適用され、費用を抑えられます。
  • 知っておきたい注意点(デメリット)
    • 土台にするために、両隣の健康な歯を削る必要があります。
    • 一度削った歯は、二度と元の状態には戻りません。
    • 土台の歯には常に負担がかかるため、将来的な寿命に影響する可能性があります。

早く見た目や機能を改善したい方に向いている方法ですが、 健康な歯を削るという大きな決断が必要になります。 歯科医師と将来のリスクについてもよく相談することが大切です。

インプラントで人工の歯を入れる

インプラント治療は、歯が足りない部分のあごの骨に、 チタンという体になじみやすい金属でできた人工の歯根を埋め込み、 その上に人工の歯を取り付ける方法です。

  • この治療法の良いところ(メリット)
    • ブリッジのように、周りの健康な歯を全く削る必要がありません。
    • 自分の歯と同じように、しっかりと硬いものでも噛むことができます。
    • 見た目が非常に自然で、他の歯との見分けがつきにくいです。
  • 知っておきたい注意点(デメリット)
    • 人工の歯根を埋め込むための、外科的な手術が必要です。
    • 治療期間が長く、費用も健康保険が使えないため高額になります。
    • あごの骨の量や状態によっては、この治療ができない場合もあります。

他の歯に一切負担をかけず、失った歯の機能と見た目を 高いレベルで回復できるのが、インプラントの最大の魅力です。 あごの成長が終わった大人の方が対象となる治療法です。

各治療法のメリット・デメリット・費用の比較

これまでご紹介した3つの治療法には、 それぞれに異なる特徴があります。 どの治療法が最適かは、患者さん一人ひとりのお口の状態、 年齢、生活スタイル、費用に関するご希望によって変わります。

ここで、それぞれの治療法を比較しやすいように、 下の表にまとめてみました。 ご自身の状況と照らし合わせながら、 治療法を選ぶ際の参考にしてみてください。

治療法 メリット デメリット 保険適用
矯正治療 ・自分の歯だけで歯並びを整えられる
・健康な歯を削らない
・見た目やかみ合わせが自然
・治療期間が長い
・費用が高額になりやすい
・適応できる症例に限りがある
×
(一部例外あり)
ブリッジ ・治療期間が短い
・外科手術が不要
・保険適用できる場合がある
・健康な両隣の歯を削る必要がある
・支えの歯に負担がかかる
・歯ぐきが痩せることがある

(素材による)
インプラント ・自分の歯のように噛める
・見た目が自然で美しい
・周りの歯に負担をかけない
・外科手術が必要
・治療期間が長い
・費用が高額
×

この表はあくまで一般的な目安です。 最終的な治療法の決定は、レントゲン写真などによる精密な検査の後、 歯科医師とよく相談し、それぞれの方法の利点と欠点を 十分に理解した上で進めることが何よりも大切です。

矯正治療で先天欠如歯を治す場合の2つのアプローチ

生まれつき歯が足りないとわかり、矯正治療を考えるとき、「足りない部分は、一体どうやって治すのだろう?」 と、不思議に思うかもしれません。

先天欠如歯の矯正治療には、大きく分けて 2つのゴール設定(アプローチ)があります。

  1. 歯を動かして、足りない部分の隙間を閉じてしまう方法
  2. 将来、人工の歯を入れるためのスペースを、あえて確保する方法

どちらの方法が良いかは、一人ひとりのお口の状態で全く違います。 足りない歯の本数や場所、あごの骨や残っている歯の状態、 そして何より、ご自身がどんな口元になりたいかによって決まります。

歯医者さんとじっくり話し合いながら、 あなたにとって一番良い治療計画を一緒に見つけていきましょう。

隙間を閉じる矯正の方法と治療期間

足りない歯のスペースを、周りにあるご自身の歯を動かして、 ピタッと閉じてしまう方法があります。 これは、人工の歯を一切使わずに、 自分の歯だけで歯並びを完成させるアプローチです。

特に、足りない歯のスペースがそれほど大きくない場合や、 奥歯を前にスムーズに動かせそうな場合に、この方法が選ばれやすいです。 例えば、前から5番目の第二小臼歯(だいにしょうきゅうし)が 1本だけ足りない、といったケースがこれにあたります。

この方法では、ワイヤーを使った装置やマウスピース型の装置を使い、 時間をかけて丁寧に歯を動かして、隙間を埋めていきます。

  • この方法の良いところ(メリット)
    • すべて自分の歯なので、自然な感覚でしっかり噛むことができます。
    • ブリッジのように、健康な隣の歯を削る必要がありません。
    • インプラントのような、外科的な手術も必要ありません。
  • 治療期間の目安
    • 歯を動かす距離や使う装置によって変わりますが、お口全体の歯を動かす場合は、一般的に1年〜3年ほどです。
    • 部分的に歯を動かす場合は、2ヶ月〜1年ほどで終わることもあります。

ただし、これはあくまで目安の期間です。 歯の動きやすさには個人差があるため、 治療を始める前の精密な検査で、詳しい計画を確認することが大切です。

隙間を確保して補綴治療(ブリッジ・インプラント)へつなぐ方法

もう一つのアプローチは、矯正治療によって、 足りない部分に「あえて」適切なスペースを作ることです。そして、そこに人工の歯(補綴物:ほてつぶつ)を入れて、 機能と見た目を回復させる方法です。

足りない歯のスペースが大きい場合や、複数の歯が足りない場合、また、全体の噛み合わせのバランスを考えると、 こちらの方法が適していることがあります。

  • 治療の基本的な流れ
    1. 矯正治療でスペースを確保する
      • まず矯正装置を使い、将来ブリッジやインプラントを入れるのに最適な大きさのスペースを計画的に作ります。
      • 同時に、傾いている歯をまっすぐに起こしたり、全体の歯並びを整えたりして、理想的な噛み合わせの土台を作ります。
    2. 補綴治療(ほてつちりょう)を行う
      • 矯正治療で歯並びが整ったら、確保したスペースにブリッジやインプラントといった人工の歯を入れて、治療を完成させます。

この方法の良い点は、理想的な大きさや形の歯を人工的に作れることです。 そのため、より自然でバランスの取れた美しい見た目に仕上げやすくなります。 一方で、矯正治療と補綴治療の両方が必要になるため、 治療期間が長くなったり、費用がそれぞれにかかったりする場合があります。

目立たない装置(マウスピース矯正・裏側矯正)の選択肢

矯正治療をためらってしまう理由の一つに、「装置が目立つのが気になる」という見た目の問題があります。 お仕事をされている方や、学校生活を送る多感な時期のお子さんにとって、これは大きな悩みかもしれません。

しかし、最近では目立ちにくい矯正装置の選択肢も増えていますので、 安心して治療を始めやすくなっています。

  • マウスピース矯正(インビザラインなど)
    • 特徴
      • 透明なマウスピース型の装置で、装着していてもほとんど気づかれません。
      • 食事や歯磨きの時には自分で取り外せるため、衛生的で快適に過ごしやすいのが大きな利点です。
    • 知っておきたい注意点
      • 効果をしっかり出すためには、1日20時間以上といった決められた装着時間をきちんと守る必要があります。
      • 歯の動き方によっては、この装置が使えないケースもあります。
  • 裏側矯正(舌側矯正:ぜっそくきょうせい)
    • 特徴
      • 歯の裏側(舌がある側)にワイヤーとブラケットを装着する方法です。
      • 外側からは装置が全く見えないため、周りの人に気づかれずに治療を進めることができます。
    • 知っておきたい注意点
      • 装置が舌に触れるため、慣れるまでは話しにくさや違和感を感じることがあります。
      • 構造が複雑なため、費用が高くなる傾向があり、歯磨きにも少し工夫が必要です。

どちらの装置にも良い点と注意すべき点があります。 ご自身の生活スタイルやご希望、歯並びの状態に合わせて、 最適なものを選びましょう。

保険適用は?育成医療・更生医療制度と医療費控除について

先天欠如歯の治療を考えるうえで、費用はとても大切な問題です。 治療費の負担を少しでも軽くするために、 利用できる可能性のある制度について知っておきましょう。

  • 基本的な保険適用について
    • 矯正治療・インプラント治療
      • 先天欠如歯の治療であっても、基本的に健康保険が使えない自費診療となります。
    • ブリッジ・部分入れ歯
      • 使う材料によっては、保険が適用される場合があります。
  • 医療費控除
    • 噛み合わせの改善など、機能的な問題を解決するための「治療」と診断された場合の矯正治療費は、医療費控除の対象になります。
    • これは、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合に、確定申告をすることで、納めた税金の一部が戻ってくる制度です。
    • 治療費の領収書は、申告の際に必要になるため、大切に保管しておきましょう。

まとめ

今回は、先天欠如歯の特徴と、矯正治療をはじめとする様々な治療法についてご紹介しました。 生まれつき歯が足りないと聞くと、ご自身やお子さまのことなど、心配になるかもしれません。 しかし、決して珍しいことではなく、ご自身の歯だけで歯並びを整える矯正治療や、ブリッジ、インプラントなど、状況に合わせた様々な選択肢があることをお分かりいただけたのではないでしょうか。

大切なのは、一人で悩まずに専門家の意見を聞くことです。 どの治療法が最適かは、お口の状態や年齢、将来のご希望によって異なります。 まずは気軽に歯科医院へ相談し、レントゲンなどで詳しく診てもらったうえで、あなたに合った治療計画を一緒に見つけていきましょう。