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サイナスリフトを伴うインプラント治療
インプラント治療を希望したものの、「あごの骨が足りないため難しい」と診断され、諦めかけてはいませんか?インプラントを安定させるには一般的に8mmから10mm以上の骨が必要ですが、歯周病などが原因で骨が不足してしまうケースは決して珍しくありません。
上あごの骨が足りない方に行われる「サイナスリフト」は、骨を増やして土台を再構築する治療法です。この技術により、これまでインプラントは不可能とされてきた多くの方が、再び噛む喜びを取り戻しています。
サイナスリフトとは?インプラント治療で骨の造成が必要な2つの理由
インプラントは、歯を失った場所に人工の歯根を埋め込む治療法です。 そのため、インプラントを家だとすれば、あごの骨は「基礎」にあたります。 頑丈な基礎がなければ家が安定しないのと同じで、インプラントもしっかりとした骨に支えられる必要があります。
サイナスリフトは、上あごの奥歯部分の骨が足りない場合に行う「骨を増やす治療(骨造成)」の一つです。 この治療法があるおかげで、以前はインプラントが難しいとされていた方でも、治療を受けられる可能性が大きく広がりました。 インプラント治療を諦める前に、まずは骨を増やす方法があることを知っておきましょう。
上顎の骨が足りなくなる原因とインプラントへの影響
では、なぜ大切な上あごの骨が足りなくなってしまうのでしょうか。 主な原因は3つ考えられます。
- 歯を失った後の骨の減少 歯がなくなると、噛むことによる刺激が骨に伝わらなくなります。 使わなくなった筋肉が衰えるように、骨も刺激がないと少しずつ痩せていってしまうのです。
- 歯周病の進行 歯周病は、歯ぐきの病気というだけではありません。 進行すると、歯周病菌が出す毒素によって歯を支えるあごの骨が溶かされてしまいます。
- 生まれつきの骨格や上顎洞の大きさ もともと骨が薄い方や、鼻の横にある「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞が、下の方まで大きく広がっている方もいます。
インプラントを安定させるためには、一般的に8mmから10mm以上の骨の高さが必要とされています。 もし骨が足りないままインプラントを埋め込むと、インプラントが上顎洞に突き抜けたり、うまく固定できずにぐらついたりする危険性があります。 最悪の場合、せっかく入れたインプラントが抜け落ちてしまうことも考えられます。 インプラントを長く快適に使い続けるために、まずは丈夫な土台作りが非常に大切です。
上顎洞(サイナス)を持ち上げて骨を作るサイナスリフト
サイナスリフトは、上あごの骨の上にある「上顎洞(サイナス)」という空洞を利用して骨を増やす手術です。 上顎洞は、鼻の両脇から頬の奥にかけて広がっている、誰にでもある空間です。
サイナスリフトの基本的な仕組み
- 上顎洞の底には、「シュナイダー膜」という卵の薄皮のような膜があります。 この膜を、特殊な器具を使って丁寧にやさしく持ち上げます。
- 膜を持ち上げて作ったスペースに、「骨補填材」という骨の元になる材料を詰めていきます。
- 数ヶ月かけて、詰めた骨補填材の周りにご自身の骨が作られ、一体化していきます。
安全に手術を行うためには、事前のCT撮影で骨の厚みや上顎洞の形を三次元的に詳しく調べ、綿密な治療計画を立てることが不可欠です。
骨の量で使い分けるソケットリフトとの違い
サイナスリフトとよく似た治療法に、「ソケットリフト」があります。 どちらも上顎洞の底を持ち上げて骨を作る点は同じですが、残っている骨の量や手術の方法に違いがあります。 どちらの方法が適しているかは、CT検査による精密な診断に基づいて判断されます。
項目 | サイナスリフト(横からアプローチ) | ソケットリフト(下からアプローチ) |
---|---|---|
向いている方 | 残っている骨の高さが4〜5mm以下と、かなり少ない方 | 残っている骨の高さが5mm以上あり、少しだけ足りない方 |
手術の方法 | 歯ぐきの横側から小さな窓を開け、そこから膜を持ち上げる | インプラントを入れるために開けた穴から、直接膜を持ち上げる |
特徴 | ・一度にたくさんの骨を作れる ・手術の範囲がやや広い |
・体への負担が比較的少ない ・多くの場合、インプラント埋入と同時に行える |
簡単に言うと、大がかりな骨の増築工事が必要な場合はサイナスリフト、少しだけ高さを足せばよいリフォームのような場合はソケットリフトが選ばれる、とイメージすると分かりやすいでしょう。
GBR法など他の骨造成治療との比較
骨を増やす治療法は、サイナスリフトやソケットリフトだけではありません。 骨の「高さ」だけでなく、「厚み(幅)」が足りない場合に行われる代表的な治療法に「GBR法」があります。
- GBR法(骨再生誘導法) 骨を増やしたい部分を「メンブレン」という特殊な膜で覆い、骨が再生するためのスペースを確保する治療法です。 この方法は、上あごだけでなく下あごにも適用できます。
これらの治療法は、骨を増やす場所や目的によって使い分けられます。
- サイナスリフト/ソケットリフト 上顎洞という骨の「内側」の空間を利用して骨を増やす方法です。 上あごの奥歯に行われます。
- GBR法 骨の「外側」に骨を盛り足す方法です。 あごの様々な部位に適用できます。
例えば、骨の高さも幅も足りないような複雑なケースでは、サイナスリフトとGBR法を組み合わせて行うこともあります。 どの治療法がご自身の状況に適しているかは、お口の中の状態によって全く異なります。
サイナスリフト手術の全貌と気になる費用・期間の疑問5選
インプラント治療のためにサイナスリフトが必要と聞くと、多くの疑問や不安が浮かぶことでしょう。 「手術は痛いの?」「どのくらい時間がかかるの?」「費用はいくら?」 大切なご自身の体のことですから、一つひとつ納得して治療に進みたいと思うのは当然のことです。
ここでは、患者さんが特に気になる5つのポイントに絞って、手術の全体像を詳しく解説します。
手術の流れと時間:CT撮影からインプラント埋入まで
サイナスリフトは、歯科医院で日帰りで行うことができる手術です。 手術当日の流れや、おおよその時間を知っておくことで、安心して治療に臨むことができます。
【サイナスリフト手術の基本的な流れ】
- 精密検査と治療計画の立案 まずはCT撮影を行い、あごの骨の厚みや上顎洞の形を三次元的に詳しく調べます。 このCT画像という精密な設計図をもとに、より安全性を高めるための手術計画を立てます。
- 麻酔 手術する部分に、しっかりと局所麻酔を行います。 注射の痛みを和らげるために、歯ぐきに塗るタイプの表面麻酔を先に使います。
- 歯ぐきの切開と骨の窓開け 歯ぐきをそっと開き、上顎洞の側面にあたる骨に、専用の器具で小さな窓を作ります。
- 上顎洞膜(シュナイダー膜)の挙上 開けた窓から、卵の薄皮のように繊細な「シュナイダー膜」を傷つけないよう、慎重に持ち上げます。 この膜を持ち上げることで、骨を作るためのスペースが生まれます。
- 骨補填材の充填と縫合 持ち上げて作ったスペースに、骨の元になる材料(骨補填材)を詰めていきます。 その後、開けた窓を特殊な膜で覆い、歯ぐきを元の位置に戻して丁寧に縫い合わせます。
手術そのものにかかる時間は、お口の状態にもよりますが、およそ1時間程度です。 骨の量が十分にある場合は、この手術と同時にインプラントを埋め込むことも可能です。 しかし、骨が非常に少ない場合は、まず骨ができるのを待ってから、改めてインプラント手術を行います。
手術中の痛みは?静脈内鎮静法でリラックスして受ける治療
「手術」という言葉を聞くと、やはり痛みが一番心配になるかもしれません。 サイナスリフトの手術は、局所麻酔がしっかりと効いた状態で行います。 そのため、手術の最中に痛みを感じることはほとんどありませんのでご安心ください。
しかし、痛みはなくても「歯を削る音や振動が怖い」「手術中ずっと緊張してしまう」という方も多いでしょう。 そのような方には、「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」という選択肢があります。
【静脈内鎮静法とは?】
- うたた寝のような心地よさ 点滴から鎮静薬を投与することで、ウトウトと眠っているような、とてもリラックスした状態になります。
- 不安や恐怖心の軽減 治療中の不安や恐怖心が和らぎ、気づいたときには手術が終わっていた、と感じる方がほとんどです。
- 全身麻酔との違い 意識が完全になくなる全身麻酔とは異なり、ご自身で呼吸をすることができます。 血圧や呼吸の状態は常にモニターで管理しながら行うため、体への負担が少ない方法です。
「手術への恐怖心が強くて治療に踏み出せない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
成功率とリスク:感染や上顎洞炎などの合併症
サイナスリフトは、長年の実績がある確立された治療法で、サイナスリフトは、長年の実績がある確立された治療法の一つとされています。 しかし、どんな外科手術にも、可能性はゼロではありませんが、リスクや合併症が伴います。 事前にどのようなことが起こりうるかを知っておくことは、とても大切です。
【考えられるリスクと合併症】
- 上顎洞膜の穿孔(せんこう) 手術中に、上顎洞の底にある薄いシュナイダー膜が意図せず破れてしまうことがあります。 もし小さな穴が開いてしまっても、その場で修復したり、特殊な保護膜で覆ったりして対応できます。
- 術後の感染 手術した部分に細菌が入り込み、歯ぐきの腫れや痛みを引き起こすことがあります。 これを防ぐため、手術後には抗生物質を必ず服用していただきます。
- 上顎洞炎(じょうがくどうえん) まれに、術後の感染が上顎洞にまで広がり、炎症を起こすことがあります。 膿が混じった鼻水が出たり、頬に痛みを感じたりした場合は、すぐにご連絡ください。
治療にかかる総額費用と医療費控除の対象について
サイナスリフトやインプラント治療は、公的医療保険が適用されない「自由診療」です。 そのため、費用は全額自己負担となり、クリニックによっても設定が異なります。
【費用の目安】
- サイナスリフト手術の費用: 約10万円~25万円(片側)
- インプラント治療の総額: 上記の費用に加えて、インプラント本体や被せ物の費用がかかります。
費用は、骨補填材の種類や量、手術の難易度などによって変わります。 治療を開始する前には、必ず詳細な見積書をお渡しし、内容について十分にご説明します。
【医療費控除で負担を軽減】 経済的な負担を軽くするために、ぜひ知っておいてほしいのが「医療費控除」という制度です。
- 制度の概要: 1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の合計が10万円(または総所得金額の5%)を超えた場合に利用できます。 確定申告をすることで、納めた税金の一部が戻ってくる制度です。
- 対象となる費用: サイナスリフトやインプラントの治療費はもちろん、処方された薬代や、通院にかかった公共交通機関の交通費も対象になります。
手続きには領収書が必要不可欠です。必ず大切に保管しておきましょう。
骨の定着から完了までの治療期間の目安
サイナスリフトを伴うインプラント治療は、新しい骨が作られるのを待つ時間が必要です。 そのため、治療が完了するまでには、ある程度の期間がかかります。 焦らずにじっくりと丈夫な土台を作ることが、インプラントを長持ちさせるための重要な鍵となります。
治療ステップ | 期間の目安 | 内容 |
---|---|---|
① サイナスリフト手術 | (1日) | 骨の土台を作る手術を行います。 |
② 骨の定着期間 | 約3ヶ月~6ヶ月 | 骨補填材がご自身の骨と一体化するのを待ちます。 |
③ インプラント埋入手術 | (1日) | できた骨にインプラントを埋め込みます。 |
④ 骨とインプラントの結合期間 | 約3ヶ月~6ヶ月 | 埋め込んだインプラントと骨が強く結合するのを待ちます。 |
⑤ 上部構造(被せ物)の装着 | (数回) | 人工の歯を取り付けて、噛める状態になり治療完了です。 |
【総治療期間の目安】 上記のステップを合わせると、治療開始から最終的な歯が入るまで、全体で約6ヶ月から1年以上かかるのが一般的です。
なぜこれほど長い時間が必要かというと、インプラントを支える「骨の基礎」を、時間をかけて頑丈に作り上げるためです。 この「待つ期間」は、インプラントがご自身の歯のようにしっかりと噛めるようになるために、非常に大切なのです。
手術後の注意点と治療を迷う方への3つの選択肢
サイナスリフトという手術を乗り越えた後、どのように過ごせばよいのか、ご不安に思う方も多いかもしれません。 また、骨を増やす大がかりな治療と聞いて、一歩踏み出せずに迷っている方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、手術後の過ごし方で特に気をつけていただきたいこと、そしてサイナスリフト以外の治療の選択肢について、わかりやすくご説明します。 ご自身の状況と照らし合わせながら、安心して治療に臨むための参考にしてください。
術後の腫れや痛みの期間と日常生活での禁止事項
手術の後は、体が「びっくり」して少し腫れたり痛んだりします。 これは、体が傷を治そうと頑張っている証拠なので、自然な反応です。 多くの場合、腫れや痛みのピークは手術から2~3日後です。 その後は1週間ほどかけて、少しずつ楽になっていきます。
クリニックから処方される痛み止めや、ばい菌の感染を防ぐ抗生物質を正しく服用することが、回復への近道です。 そして、手術で作ったデリケートな骨の土台をしっかりと守るために、術後しばらくは日常生活でいくつか注意していただきたい点があります。
▼術後の大切なお約束(守ってほしいこと)
注意事項 | なぜ?(その理由) |
---|---|
鼻を強くかまない | 鼻の奥の空洞(上顎洞)の圧力が急に高まり、持ち上げた膜が破れたり、骨の材料がずれたりするのを防ぐためです。 |
くしゃみは口を開けてする | 鼻をかむのと同じ理由です。口を開けることで、鼻にかかる圧力を「プシュッ」と外に逃がすことができます。 |
激しい運動や長風呂、お酒を飲む | 体の血のめぐりが良くなりすぎると、痛みが増したり、手術した場所から出血したりする原因になるため、シャワー程度にしましょう。 |
うつぶせで寝ない | 手術した方の頬に体重がかかり、腫れや痛みがひどくなるのを防ぐためです。 |
タバコを吸わない | タバコに含まれる有害な物質が血管を縮め、傷の治りを悪くします。感染のリスクも高まるため、禁煙することが望ましいです。 |
これらの注意点は、主に術後1~2週間程度、守っていただく必要があります。 ご自身の判断でやめてしまわず、必ず歯科医師の指示に従ってください。
喫煙や糖尿病が治療に与える影響と手術が受けられないケース
サイナスリフトの成功には、お口の中だけでなく、体全体の健康状態も大きく関係します。 特に、喫煙の習慣と糖尿病は、治療結果に大きく影響するため注意が必要です。
喫煙が与える影響 タバコに含まれるニコチンは、体中の血管を細くしてしまいます。 すると、傷を治すために必要な酸素や栄養を運ぶ血液の流れが悪くなります。 結果として、傷の治りが遅れたり、細菌と戦う力が弱まって感染しやすくなったりします。 新しく作った骨とインプラントがしっかりくっつくのを邪魔する原因にもなります。 治療の成功率を高めるためには、少なくとも手術の前後期間は禁煙することが強く推奨されます。
糖尿病との関係 糖尿病をお持ちの方でも、血糖値が安定していれば手術は可能です。 しかし、血糖コントロールが良くないと、体の免疫力が低下して感染しやすくなり、傷の治りも遅くなります。 治療を始める前には、必ずかかりつけ医に相談し、歯科医師と情報を共有することが、安全な治療のために不可欠です。
▼手術が難しい可能性のあるケース
- 血糖コントロールが非常に悪い重度の糖尿病の方
- 重い心臓の病気や肝臓の病気など、全身の疾患をお持ちの方
- 骨粗しょう症の特定の治療薬(ビスフォスフォネート製剤など)を服用中の方
- がん治療などで、あごの骨の周りに放射線治療を受けたことがある方
これらはあくまで一例です。 ご自身が手術を受けられるかどうかは、精密な検査とカウンセリングを通して、安全を第一に歯科医師が慎重に判断します。
サイナスリフト以外の選択肢:ショートインプラント・入れ歯・ブリッジ
骨が足りない場合、サイナスリフトだけが唯一の方法ではありません。 お口の状態や患者さんのご希望によっては、他の選択肢も考えられます。 それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解し、ご自身に合った方法を選ぶことが大切です。
1. ショートインプラント
- 通常よりも長さが短いインプラントです。
- 骨の高さが少しだけ足りない場合に、骨を増やす手術をせずにインプラント治療ができる可能性があります。
2. 入れ歯
- 失った歯の部分を、取り外しできる人工の歯で補う方法です。
- 外科手術が不要で、比較的費用を抑えられるという特徴があります。
3. ブリッジ
- 失った歯の両隣にある健康な歯を土台にして、橋(ブリッジ)のように連結した人工の歯をかぶせる方法です。
- 固定式なので、入れ歯のような違和感は少ないです。
治療法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ショートインプラント | ・体への負担が少ない ・治療期間が短い |
・適応できる骨の状態が限られる |
入れ歯 | ・手術が不要 ・比較的費用を抑えられる |
・違和感や異物感がある ・硬いものが食べにくいことがある |
ブリッジ | ・違和感が少ない ・固定式で安定している |
・土台にするために健康な歯を削る必要がある |
どの治療法が最適かは、専門的な判断が必要です。 それぞれの良い点、注意すべき点を丁寧にご説明しますので、歯科医師とよく相談し、納得のいく方法を選びましょう。
治療後のインプラントを長持ちさせるメンテナンスの重要性
サイナスリフトを経て無事にインプラントが入っても、それがゴールではありません。 治療したインプラントをできるだけ長く、快適に使い続けるためには、治療後のメンテナンスが非常に重要になります。 インプラントは人工物なので虫歯にはなりませんが、歯周病と同じような「インプラント周囲炎」という病気にかかるリスクがあります。
インプラント周囲炎は、インプラントの周りの歯ぐきが炎症を起こす病気です。 進行するとインプラントを支えているあごの骨を溶かしてしまい、最悪の場合、せっかく入れたインプラントが抜け落ちてしまいます。 自覚症状がないまま進行することが多いため、とても怖い病気です。
これを防ぐためには、ご自宅でのセルフケアと、歯科医院でのプロフェッショナルケアの両方が不可欠です。
▼インプラントを守るための2つのケア
- セルフケア
- 毎日の丁寧な歯みがきが基本です。
- 特にインプラントと歯ぐきの境目を意識し、歯間ブラシなども使いながら清潔に保ちましょう。
- プロフェッショナルケア
- 3~6ヶ月に1回程度の定期検診を受けましょう。
- 歯科医院でインプラントの状態や噛み合わせをチェックし、専門的なクリーニングを受けることが大切です。
まとめ
今回は、上あごの骨が足りない場合に行う「サイナスリフト」について、手術の流れから費用、術後の注意点まで詳しく解説しました。
「骨がないからインプラントはできない」と諦めていた方にとって、サイナスリフトは再びしっかりと噛める喜びを取り戻すための、確立された治療法の一つです。
大切なのは、ご自身の状態をCTなどで精密に検査し、歯科医師とよく相談することです。その上で、サイナスリフトだけでなくブリッジや入れ歯といった他の選択肢も含め、ご自身が心から納得できる治療法を選ぶことが重要になります。
インプラント治療に関する不安や疑問があれば、まずは専門の歯科医師に相談し、あなたに合った方法を見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献
- Saleh MHA, Sabri H, Di Pietro N, Comuzzi L, Geurs NC, Bou Semaan L, Piattelli A. Clinical Indications and Outcomes of Sinus Floor Augmentation With Bone Substitutes: An Evidence-Based Review. Clinical implant dentistry and related research 27, no. 1 (2025): e13400.
- Estrin NE, Basma H, Espinoza AR, Pinto MAC, Pikos MA, Miron RJ. Extended Platelet-Rich Fibrin as a Membrane for Lateral Window Sinus Lifts: A Case Series. Clinical implant dentistry and related research 27, no. 1 (2025): e13427.
追加情報
[title]: Clinical Indications and Outcomes of Sinus Floor Augmentation With Bone Substitutes: An Evidence-Based Review.
骨代替材を用いたサイナスリフトの臨床適応とアウトカム:エビデンスに基づくレビュー 【要約】
- 本論文は、骨代替材を用いたサイナスリフト(上顎洞底挙上術)の臨床適応と治療結果に関するエビデンスに基づいたレビューである。
- サイナスリフトは、上顎後部の歯槽骨が不足している場合に、インプラント埋入のための骨量を増やすための外科手術である。本レビューでは、様々な骨代替材を用いたサイナスリフトの有効性、安全性を評価した臨床研究を網羅的に検討している。
- 検討された研究の結果から、骨代替材を用いたサイナスリフトは、インプラント治療における骨造成のための有効な方法であることが示唆されている。
- しかしながら、手術の成功率や合併症発生率は、使用する骨代替材の種類、患者の骨質、手術手技など様々な要因に影響されることが示されている。
- 今後の研究として、より長期的な追跡調査や、様々な患者集団におけるサイナスリフトの有効性・安全性の評価が重要であると結論付けている。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39415739
[quote_source]: Saleh MHA, Sabri H, Di Pietro N, Comuzzi L, Geurs NC, Bou Semaan L and Piattelli A. “Clinical Indications and Outcomes of Sinus Floor Augmentation With Bone Substitutes: An Evidence-Based Review.” Clinical implant dentistry and related research 27, no. 1 (2025): e13400.
[title]: Extended Platelet-Rich Fibrin as a Membrane for Lateral Window Sinus Lifts: A Case Series.
拡張型血小板濃縮線維素膜(e-PRF膜)を用いたサイナスリフト:症例集 【要約】
- 拡張型血小板濃縮線維素(e-PRF)膜は、吸収時間が4~6ヶ月と長く、従来のコラーゲン膜に代わる骨造成材料として注目されている。
- 本症例集では、上顎洞底挙上術(サイナスリフト)における側方窓閉鎖にe-PRF膜を用いた22症例(31インプラント)の結果を報告している。
- 6ヶ月後の術後CT検査で、平均8.0mmの上顎洞底骨量の増加、平均12.3mmの術後上顎洞高を確認。合併症は認められず、e-PRF膜は側方窓の閉鎖に有効であると結論付けた。
- 本研究はe-PRF膜を側方窓閉鎖に用いた最初の症例集であり、今後、コラーゲン膜との比較研究や長期的な追跡調査が必要である。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39671152
[quote_source]: Estrin NE, Basma H, Espinoza AR, Pinto MAC, Pikos MA and Miron RJ. “Extended Platelet-Rich Fibrin as a Membrane for Lateral Window Sinus Lifts: A Case Series.” Clinical implant dentistry and related research 27, no. 1 (2025): e13427.