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矯正治療におけるアンカースクリューのメリットとは?
「歯並びは治したいけれど、治療期間が長いのは…」「できれば健康な歯は抜きたくない」。そんな思いから、矯正治療の一歩を踏み出せずにいませんか?
アゴの骨に埋め込む直径わずか2mmほどの「アンカースクリュー」を併用することで、治療期間の短縮や、抜歯を避けられる可能性が大きく広がっています。
アンカースクリューを用いる矯正治療の主なメリットから、気になる痛み、そして研究で報告されている注意点などを解説します。
矯正治療を変えるアンカースクリューの主なメリット
「矯正治療は時間がかかるから…」「健康な歯を抜くのはちょっと…」 歯並びを治したいと思っても、このような理由で治療をためらっている方は少なくないでしょう。
アンカースクリューは、そうした矯正治療のお悩みを解決するために登場した方法の一つです。 アゴの骨にチタン製の小さなネジ(ミニスクリュー)を一時的に埋め込みます。 このネジを「動かない土台(固定源)」として歯を引っ張ることで、これまでの矯正治療では対応が難しかった歯の動かし方が可能になるなど、治療の選択肢が広がります。
治療期間の短縮と治療計画の精度向上
アンカースクリューを使う大きなメリットの一つは、治療期間を短くできる可能性があることです。 これまでの矯正治療では、奥歯などを土台にして、動かしたい歯をゴムなどで引っ張っていました。 しかし、土台となる奥歯も少し前に動いてしまうため、力が分散してしまう問題がありました。
アンカースクリューは、アゴの骨に直接固定されるため、全く動かない強力な土台になります。 これにより、動かしたい歯だけを狙って、効率よく力をかけることができるのです。
- 効率的な歯の移動
- 力のロスがなくなるため、歯の移動がスムーズに進みます。
- 治療計画の精度向上
- 歯の動きを精密にコントロールできるため、治療のゴールをより正確に目指せます。
いくつかの研究報告でも、アンカースクリューを用いることで治療の精度と効率が高まることが示されています。 無駄な歯の動きを最小限に抑えることで、無駄な歯の動きを抑えることで、治療期間の短縮が期待できます。
抜歯の可能性を減らし自分の歯を多く残せる可能性がある
「歯並びはきれいにしたいけれど、できれば歯は抜きたくない」 このように考えるのは、とても自然なことです。
これまでの矯正治療では、歯を並べるスペースが足りない場合、健康な歯(主に前から4番目か5番目の小臼歯)を抜いてスペースを作ることが一般的でした。 しかし、アンカースクリューを使えば、歯並び全体を奥の方へ動かす「遠心移動」が可能になります。
これにより、これまで抜歯が必要とされてきたケースでも、歯を抜かずにスペースを作り出せる可能性が広がりました。 大切なご自身の歯を一本でも多く残しながら、理想の歯並びを目指せるのは大きなメリットです。
出っ歯やガミースマイルなど難しい症例にも対応可能
アンカースクリューの登場で、これまで治療が難しかったり、外科手術が必要だったりした症例にも対応できる可能性が広がっています。 例えば、以下のようなお悩みに有効な場合があります。
- 出っ歯(上顎前突)
- 強力な固定源ができるため、前歯を効率よく後ろに下げることができます。
- ガミースマイル
- 笑った時に歯ぐきが多く見えてしまう状態です。アンカースクリューを使い、前歯を骨の方向へ引き上げ、歯ぐきの見え方を改善します。
- 開咬(かいこう)
- 奥歯でかんでも前歯が閉じない状態です。奥歯を骨の方向へ動かすことで、前歯がしっかりかみ合うように治療します。
特に、前歯が噛み合わない「開咬」の治療において、アンカースクリューは有効な選択肢です。 ある研究では、アンカースクリューを用いた治療について、外科手術と比較した報告もされています。 このように、治療の選択肢が大きく広がったことも、アンカースクリューの重要なメリットです。
アンカースクリュー治療の流れと気になる疑問
アンカースクリューを使った矯正治療について、 「どんなことをするの?」「手術は痛いのかな?」など、 たくさんの疑問や不安が思い浮かぶかもしれません。
安心して治療を受けていただくためには、 事前に全体の流れや具体的な注意点を知ることが大切です。
カウンセリングから埋入・除去までの治療ステップ
アンカースクリュー治療は、とても計画的に進められます。 安全で効果的な治療を行うために、事前の精密検査が欠かせません。 この検査が、より安全で計画的な治療を行うために重要です。
治療の全体的な流れは、一般的に以下のようになります。
- カウンセリングと精密検査 お口の悩みやご希望を伺い、アンカースクリュー治療が適切かを診断します。 骨や歯ぐきの状態を詳細に分析し、埋め込む位置や本数、治療計画を丁寧に立てていきます。
- 埋入手術 お口の中をきれいに消毒し、歯ぐきに部分的な麻酔(局所麻酔)をします。 その後、アンカースクリューをアゴの骨に埋め込みます。 手術にかかる時間は、10分から15分程度です。
- 矯正治療の開始 アンカースクリューが骨にしっかりと固定されたら、いよいよ矯正治療の開始です。 このネジを「動かない土台」として、歯を計画通りに動かしていきます。
- 除去 計画通りに歯の移動が終わったら、アンカースクリューを取り除きます。
埋入時の痛みと麻酔の方法について
「手術」と聞くと、痛みを心配される方がほとんどです。 アンカースクリューを埋め込む際は、しっかりと局所麻酔を行います。 そのため、手術中は麻酔をしますので、痛みを感じにくくなっています。
手術後は、麻酔が切れると少し痛みや違和感が出ることがあります。 しかし、手術後の痛みは、処方される痛み止めで和らげることができます。 手術後の痛みは、処方される痛み止めで対応できることがほとんどですが、痛みが長引く場合はご相談ください。
装着中の食事や歯磨きなど日常生活での注意点
アンカースクリューを装着している間は、お口の中を清潔に保つことが非常に重要です。 スクリューの周りは汚れがたまりやすく、不潔な状態が続くと歯ぐきが炎症を起こします。 炎症が起きると、スクリューが緩んだり抜けたりする原因にもなりかねません。
知っておきたいアンカースクリューのリスクと注意点5つ
アンカースクリューを使った矯正治療は、多くのメリットが期待できる方法の一つです。 しかし、どんな治療にもメリットがあれば、注意すべき点もいくつか存在します。
スクリューが緩む・外れる原因と対処法
アンカースクリューはアゴの骨に固定されますが、ごくまれに緩んだり、自然に抜けたりすることがあります。 その主な原因は、次の3つです。
- 骨の状態 スクリューを埋める場所の骨が、もともと柔らかかったり、密度が低かったりする場合です。 特に上の奥歯のあたりは、骨がスポンジのように柔らかい傾向があります。
- お口の衛生状態 スクリューの周りの歯磨きが不十分だと、歯ぐきが炎症を起こします。 この炎症が、スクリューを支えている骨を弱らせる原因になります。
- 余計な力が加わる 指や舌でスクリューを頻繁に触ったり、硬い食べ物が強く当たったりすると、 スクリューに負担がかかり、緩みの原因となることがあります。
もし、スクリューの緩みや違和感に気づいた場合は、ご自身で触ったり戻そうとしたりせず、すぐにクリニックへご連絡ください。 歯科医師が状態を確認し、締め直す、あるいは一度除去して別の安全な位置に埋め直すなど、適切な処置を行います。
感染や炎症、周囲の歯への影響
お口の中には、常にたくさんの細菌が存在しています。 そのため、アンカースクリューの周りのケアを怠ると、感染や炎症を引き起こす可能性があります。
スクリューの周りに歯垢(プラーク)という細菌のかたまりが溜まると、歯ぐきが赤く腫れてしまうことがあります。 これを放置すると、スクリューが抜け落ちる原因にもなりかねません。
除去後の歯茎の状態と傷跡について
矯正治療で役目を終えたアンカースクリューは、取り外します。 「抜いた後の穴はどうなるの?」と心配される方もいらっしゃいますが、スクリューによってできた小さな穴は、通常、自然に治癒していきます。
除去の処置はとても簡単で、麻酔も必要ない場合がほとんどです。 ドライバーのような器具で、ネジをクルクルと回して外すだけなので、数分で完了し、痛みを感じることもほとんどありません。
スクリューによってできた穴は直径2mm程度と非常に小さく、体自身の力で自然に治っていきます。
- 歯ぐきの穴 2〜3日から1週間ほどで、きれいにふさがります。
- 骨の穴 数週間から数ヶ月かけて、徐々に新しい骨で満たされていきます。
除去した後の傷はきれいに治癒することが多く、傷跡が残ることはまれです。 処置後は、治りを良くするためにも、指や舌で傷口を触らず、清潔な状態を保つように心がけてください。
金属アレルギーがある場合の材質の選択
アンカースクリューの材質には、主に「チタン」が使われています。 チタンは、人工関節やインプラントにも使用される金属です。 体との相性(生体親和性)が非常に良く、アレルギー反応を起こしにくいという大きな特徴があります。
そのため、金属アレルギーをお持ちの方でも、多くの場合、問題なく使用することができます。 しかし、アレルギーが心配な方は、治療を始める前に必ず医師にお知らせください。
- 事前の問診 アクセサリーなどでかぶれた経験がないかなど、詳しくお話をうかがいます。
- アレルギー検査 ご心配な場合は、皮膚科でパッチテストを受けていただき、 チタンにアレルギーがないかを確認することも可能です。
万が一、治療中に口内炎ができやすい、歯ぐきの赤みが引かないなど、アレルギーが疑われる症状が出た場合は、すぐにスクリューを除去するなどの対応をとります。
状態を十分に考慮する必要があります。 治療計画を立てる際には、関連する研究報告も参考に、安全性に配慮することが重要です。
まとめ
今回は、矯正治療におけるアンカースクリューのメリットから注意点まで、詳しく解説しました。
アンカースクリューは、治療期間を短縮したり、健康な歯を抜かずに済む可能性を高めたりと、治療期間の短縮や、健康な歯を抜かずに済む可能性を高めるなど、これまでの矯正治療に新たな選択肢をもたらす方法です。出っ歯やガミースマイルといった難しい症例にも対応できるため、治療の選択肢が大きく広がります。
もちろん、どんな治療にもメリットと注意点がありますが、事前の精密な検査や医師との相談、そして治療中の適切なケアにより、リスクの低減に努めます。
歯並びのお悩みや治療への不安があれば、まずは一人で抱え込まず、専門の歯科医師に相談してみましょう。ご自身に合った治療法を見つけ、理想の笑顔への第一歩を踏み出してください。
参考文献
- Ishihara A, Namura Y, Miyama W, Uchida Y, Kimura F, Gakiya Y and Motoyoshi M. “Relationships between periodontal biotype and anatomical bone features of placement sites for orthodontic anchoring screw: a cross-sectional study.” Clinical oral investigations 29, no. 2 (2025): 124.
- Albertini E, Colonna A, Albertini P, Lombardo L and Fukawa R. “Non-surgical correction of an adult Class II high-angle with occlusal plane cant by four compromised permanent first molars extraction, preadjusted lingual appliance and miniscrews: A case report.” International orthodontics 23, no. 2 (2025): 100965.
- Zhao Y, Ge Y, Chen W, Chen S and Wang Z. “Upper airway hydrodynamics changes after molar distalization with aligners in adult patients.” Clinical oral investigations 28, no. 12 (2024): 630.
- Burgos-Lancero P, Ibor-Miguel M, Marqués-Martínez L, Boo-Gordillo P, García-Miralles E and Guinot-Barona C. “Correction of Anterior Open Bite Using Temporary Anchorage Devices: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Journal of clinical medicine 14, no. 14 (2025): .
- Kwon TG, Elnagar MH, Shirazi S, Goben AH, Miloro M and Han MD. “Orthodontic correction of anterior open bite using skeletal anchorage: systematic review and meta-analysis.” International journal of oral and maxillofacial surgery 53, no. 5 (2024): 393-404.
追加情報
[title]: Relationships between periodontal biotype and anatomical bone features of placement sites for orthodontic anchoring screw: a cross-sectional study.
歯周組織バイオタイプと矯正用アンカースクリュー埋入部位の骨解剖学的特徴の関連性:断面研究 【要約】
- 本研究は、セファログラムとコーンビームCT(CBCT)を用いて、矯正用アンカースクリュー(OAS)の埋入部位における骨厚と歯周組織バイオタイプ(PB)の関連性を調べた。
- 上顎中心切歯におけるPBを3つのカテゴリーに分類し、71人の患者を対象にセファログラムを用いてPBと口蓋骨厚の関連性を検討した。さらに、CBCTデータのある57人を対象に、PBと口蓋側および頬側の骨厚の関連性を詳細に検討した。Mann-Whitney U検定とt検定を用いて各PB群間の比較を行った。
- セファログラムによる後前位(PA)撮影では、厚いバイオタイプ患者の口蓋骨厚(p=0.010)と皮質骨厚(p=0.006)は薄いバイオタイプ患者よりも有意に大きかった。CBCT評価では、小臼歯間の部分における正中傍の骨厚は、厚いバイオタイプ(8.38 ± 2.61 mm)が薄いバイオタイプ(6.41 ± 2.95 mm、p=0.000)よりも有意に大きかった。頬側歯槽部では、厚いバイオタイプの皮質骨厚は、中等度および薄いバイオタイプよりも大きかった(p<0.0167)。
- PAセファログラムでは、厚いバイオタイプは薄いバイオタイプよりも正中傍の骨と口蓋皮質が厚かった。CBCT画像から、小臼歯間の部分における正中傍の骨厚はPBによって有意差を示した。上顎第一小臼歯から第二大臼歯までの頬側領域の皮質骨厚は、PB間で統計的に有意な差を示した。
- OAS設置のための術前スクリーニング検査として、PBが有用である可能性が示唆された。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39920461
[quote_source]: Ishihara A, Namura Y, Miyama W, Uchida Y, Kimura F, Gakiya Y and Motoyoshi M. “Relationships between periodontal biotype and anatomical bone features of placement sites for orthodontic anchoring screw: a cross-sectional study.” Clinical oral investigations 29, no. 2 (2025): 124.
[title]: Non-surgical correction of an adult Class II high-angle with occlusal plane cant by four compromised permanent first molars extraction, preadjusted lingual appliance and miniscrews: A case report.
成人のII級高角症例における、4本の第一大臼歯の抜歯、調整済みリンガルアプライアンス、およびミニスクリューを用いた非外科的矯正:症例報告 【要約】
- 成人患者のII級高角症(上顎前突と咬合平面傾斜を伴う)に対して、4本の第一大臼歯の抜歯、調整済みリンガルアプライアンス、そしてミニスクリューを用いた非外科的矯正治療が行われた症例報告である。
- 治療計画は、過剰な上顎前突の改善、咬合平面傾斜の是正、そして良好な咬合関係の獲得を目指した。
- リンガルアプライアンスを使用することで、審美性を保ちながら効率的な歯の移動を実現した。
- ミニスクリュー(アンカースクリュー)は、歯の移動におけるアンカーとして機能し、治療の精度と効率を高めた。
- この症例報告は、複雑な症例においても、抜歯、調整済みリンガルアプライアンス、ミニスクリューを組み合わせることで、非外科的に良好な治療結果を得られる可能性を示唆している。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39818043
[quote_source]: Albertini E, Colonna A, Albertini P, Lombardo L and Fukawa R. “Non-surgical correction of an adult Class II high-angle with occlusal plane cant by four compromised permanent first molars extraction, preadjusted lingual appliance and miniscrews: A case report.” International orthodontics 23, no. 2 (2025): 100965.
[title]: Upper airway hydrodynamics changes after molar distalization with aligners in adult patients.
成人患者におけるアライナーを用いた臼歯遠心移動後の上気道流体力学の変化 【要約】
- アライナーを用いた臼歯遠心移動後の上気道換気機能の変化を、計算流体力学シミュレーションによって評価することを目的とした研究。
- 15人の成人患者(男性3名、女性12名、平均年齢20.00±0.50歳)を対象に、Invisalignアライナーを用いた全歯列の遠心移動が行われた。CBCT画像からMimics 19.0ソフトウェアを用いて上気道の再構築を行い、治療前後の最小断面積と容積を測定。Ansysソフトウェアを用いて吸気時の上気道流れをシミュレーションし評価。治療前後の形態学的および流体力学的パラメータを対応のあるt検定を用いて比較した。
- 形態学的評価では、治療前後で軟口蓋、舌咽頭、喉頭咽頭の容積変化に統計的有意差は認められなかったが、上気道の最小断面積は有意に減少した。流体力学的パラメータでは、最小圧力、最大せん断力、軟口蓋および舌咽頭の圧力降下がそれぞれ50.2 Pa、0.66 Pa、5.78 Pa、5.32 Pa増加した。CFDデータと最小断面積との相関分析には統計的有意差はなかった。
- 非抜歯によるアライナーとミニスクリューを用いた臼歯遠心移動は、上気道流体力学に悪影響を及ぼし、咽頭虚脱のリスクを高める可能性がある。
- 上顎および/または下顎の歯の遠心移動のために目立たない装置とアンカースクリューを組み合わせた治療法は、一般的な矯正技術となっている。臨床医は、既存の呼吸器疾患を持つ患者や換気の問題のリスクが高い患者に対してこのような治療を検討する際には、呼吸機能への潜在的な影響を考慮すべきである。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39505792
[quote_source]: Zhao Y, Ge Y, Chen W, Chen S and Wang Z. “Upper airway hydrodynamics changes after molar distalization with aligners in adult patients.” Clinical oral investigations 28, no. 12 (2024): 630.
[title]: Correction of Anterior Open Bite Using Temporary Anchorage Devices: A Systematic Review and Meta-Analysis.
一時的アンカースクリューを用いた前歯部開咬の矯正:系統的レビューとメタアナリシス 【要約】
- 前歯部開咬(AOB)は、上下の歯の垂直的重なりがない複雑な不正咬合であり、機能障害や審美的問題を引き起こす。従来の成人に対する治療法である外科手術は効果的だが侵襲性が高い。
- 一時的アンカースクリュー(TADs)は、低侵襲な代替手段として台頭してきた。本系統的レビューとメタアナリシスは、AOB矯正における小臼歯の遠心移動におけるTADsの有効性を評価することを目的とした。
- PubMedとScopusで2025年3月まで電子検索を行い、過去10年間に英語またはスペイン語で発表されたヒトを対象とした臨床研究を対象とした。バイアスのリスクは、RoB 2、ROBINS-I、およびJoanna Briggs Instituteツールを用いて評価した。プールされた遠心移動量を推定するためにランダム効果メタアナリシスを行い、CochranのQ検定とI²統計量を用いて異質性を評価した。
- 12件の研究が選択された。TADsを用いた小臼歯の遠心移動は、有意な過蓋咬合の改善をもたらし、プールされた平均遠心移動量は1.70mm(95%CI:0.53〜2.87mm)であった。研究間の異質性は高かった(I²=88.5%)。力の大きさやTADの種類にばらつきがあるものの、軽い力は一般的に同様の結果と副作用の減少に関連していた。
- TADsは、AOB矯正に対する外科手術に比べて予測可能で侵襲性の低い代替手段を提供する。適切な適応と生体力学的管理が行われれば、成人患者において効果的な垂直的制御と短期から中期的な安定性を提供する。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40725652
[quote_source]: Burgos-Lancero P, Ibor-Miguel M, Marqués-Martínez L, Boo-Gordillo P, García-Miralles E and Guinot-Barona C. “Correction of Anterior Open Bite Using Temporary Anchorage Devices: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Journal of clinical medicine 14, no. 14 (2025): .
[title]:
歯科矯正用アンカースクリューを用いた前顎開咬の矯正:システマティックレビューとメタアナリシス 【要約】
- 前顎開咬(AOB)の歯科矯正における歯科矯正用アンカースクリューの効果についての科学的なエビデンスを調査した研究です
- 永久歯が生えているか、少なくとも12歳以上の患者を対象としたSA(skeletal anchorage)を使用したAOBの臨床研究を収集しました
- 最長で2年以上の結果を収集し、集計データから平均差を算出しました
- メタアナリシスには、362人の被験者を含む24の適格な論文が選択されました
- オーバーバイトが有意に増加しました(3.88mm、P<0.001)し、上顎第一大臼歯が内側に沈んだ(-2.15mm、P<0.001)ことが示されました
- 下顎は反時計回りに回転し、前上方への下顎運動も起こりました(いずれもP<0.001)
- 長期的には、オーバーバイトの減少率が19.9%、第一大臼歯の位置下降率が22.9%、下顎のプロジェクション減少率がANB(A点ー鼻根点ーB点角度)において14.6%、下顎前後位置において46.2%となりました
- 収録論文の全体的なバイアスリスクは中程度から高く、いくつかの重要な変数には出版バイアスが存在しました
- 上顎第一大臼歯の内陥において、SAは歯牙および骨格的な結果を効果的に改善しましたが、オーバーバイトの長期的な減少と上顎第一大臼歯の位置に低下が見られました
- 調査された結果のデータ品質のばらつき、異質性、および出版バイアスは、結果の解釈において制約となります 【著作権情報】 2023 International Association of Oral and Maxillofacial Surgeons. Published by Elsevier Inc. All rights reserved. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37949782
[quote_source]: Kwon TG, Elnagar MH, Shirazi S, Goben AH, Miloro M and Han MD. “Orthodontic correction of anterior open bite using skeletal anchorage: systematic review and meta-analysis.” International journal of oral and maxillofacial surgery 53, no. 5 (2024): 393-404.